「鉄子」と呼ばれる女性鉄道ファンが、ここ2、3年で急に増殖し始めた。埼玉にある「鉄道博物館」には若い女性の姿も目立つし、ネットのコミュニティで「私、鉄子です」と宣言する人が結構いる。それも最近は、熱烈マニアというより「普通の女の子」の初心者が多いらしい。

「キハ110系、201系、103系がたまりません」

「車両の顔と方向幕が好きです。キハ110系、201系、103系がたまりません」
「東北本線走りの701系と仙石線走りのマンガッタンライナー205系が好きです」
「非電化のローカル線や路面電車が特に好き」

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の「mixi」内にある鉄子のコミュニティには最近、続々とこんな書き込みがされている。

   なかには、「鉄道に詳しいわけではないのですが、電車が好きです」「子供の影響で電車大好きになりました」「彼の影響で鉄子になってきた」という「ソフト」なテツもいる。

   埼玉にある「鉄道博物館」には女性客も多く訪れている。

   広報担当者は、

「鉄道ファンというと男性がほとんどだと思っていましたが、ふたを開けてみたら女性のお客さまも結構います」

と驚いている。

   若い女性のグループや小さい子どもを連れたお母さん、中高年の女性と幅広い。実物の車両を目の前で見られるし、昔の上野駅のホームを再現したスペースもある。時間を忘れて、じっくりと見入る人もいる。

   同館は2007年10月にオープンした。鉄道ファンの間で話題になり、半年で入場者100万人を突破。09年8月末時点で280万人を超えた。

   KDDIは携帯電話「au」のサイトで日本一の鉄道王を決めるクイズ大会「クイズ鉄道王決定戦」を開催中だ。新幹線、ブルートレイン、駅・駅弁、路線、車両、列車、時刻表、豆知識の8ジャンルから、合計1000問を出題した本格的なクイズだ。8月31日午後5時の時点で参加者は約6万7000人にのぼる。

   広報担当者は、

「女性の参加者は2割で、数としては男性のほうが多いですが、上位には女性が結構、入ってきていますよ。1000点満点を取った方が9人で、そのうち7人が女性です。また、上位20人のうち11人が女性となっています」

と明かす。

   応募は09年8月31日で締め切ったが、クイズは 9月30日まで楽しめる。

「ソロ鉄」に「ママ鉄」、そして「ソフト鉄」

   漫画『鉄子の旅』(菊池直恵作、02〜06年連載)や、女子向けに鉄道入門を説いた書籍『女子と鉄道』(酒井順子著、06年11月発行)がきっかけにとなり、「鉄子」が広がったと言われている。07年にユーキャン新語流行語大賞にノミネートされると、鉄道に興味のない人にも知られるようになった。また大ヒットした電車運転ゲーム「電車でGO!」(タイトー)や、鉄道マニアを描いたTBS系ドラマ「特急田中3号」(07年4〜6月放送)も、ブームに影響を与えている。

   「鉄道アイドル」を名乗る女性芸能人も出てきた。その代表格は元タレントの豊岡真澄さんで、結婚、妊娠を機に08年3月に引退し、出産後は「ママ鉄」としてブログなどで活動している。女優の水野裕子さんも鉄道好きを公言している。

   プレイステーション版「電車でGO!」の宣伝責任者を担当した豊田巧さんは、著書「鉄子のDNA」(小学館、09年8月発行)で鉄子をグループ分けしている。

   まず、独身女性の鉄子は「ソロ鉄」だ。ほかの鉄子と知り合う機会が少ないので、ひとりで楽しんでいることが多い。子どもが興味を持ったのをきっかけにはまる人もいて、「ママ鉄」という。

   もっとも多いのが、鉄子のなかでもマニア度が低い「ソフト鉄」。旅好きの女性がなるケースが多い。駅弁や名物料理を食べたり、ゆっくりと温泉につかったりすることが好きなので、ハードな鉄道の旅はやりたくないと思っている。

   また、最近の傾向について、

「鉄子の中にも、緻密な鉄道模型を作ったり、切符を集めたり、ハードな鉄道旅行に出かける方もいるとは思います。しかし、ここ最近増えてきている鉄子について言うと、基本的に普通の女の子が多いということなのです」

といっている。

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