Photo / Nozomu Nakajima 中島望

写真拡大

全米オープンの日本予選が終了。出場枠の5枠をめぐった戦いに石川遼は敗れ、「遼くん、残念だったね」なんてフレーズがあちらこちらから聞こえてくる。そんな日本国民のリアクションを眺めるにつけ、石川がいかに広く愛されているスターであるかが、よくわかる。

その一方で、石川とともに「ティーンエイジャートリオ」と呼ばれ、注目されている北アイルランドのローリー・マキロイの人気や評判は、昨今、ちょっぴり雲行きが怪しくなりつつある。

そもそも、最初にケチが付いたのはマスターズ2日目の出来事。18番ホールでバンカーにつかまったマキロイは、そこからの脱出ショットに失敗し、ボールは依然としてバンカーの中。その怒りに任せ、思わずバンカー内の砂を蹴った……という嫌疑がアテスト後に浮上したのだが、最終的にマキロイは「蹴ったんじゃない。砂の中にできた自分の足跡をシューズの底でなぞって直しただけ」と主張。まるで言い訳のようなこの主張を、しかしマスターズ委員会は認め、「おとがめなし」となったマキロイは失格を免れた。

だが、「本当に直しただけなのか?」という疑いは人々の胸の中に残ってしまった。そんな折り、今度は米ツアーのスペシャル・テンポラリーメンバーになる資格を得ながら、マキロイがそれを「蹴った」ことで、米国のゴルフファンや関係者から「生意気!」の声。米ツアーメンバーになれる絶好のチャンスを足蹴にするなんて……と。マキロイいわく、彼は今季は欧州ツアーを主戦場にしたいと考えており、「米ツアーメンバーになると年間15試合の出場が義務付けられて欧州ツアーに出る予定が狂ってしまう」というのが、米ツアーメンバーシップを蹴った理由だそうだ。

ここまでは、マキロイの主張を「まあ、それはそうかもね」と米国ファンも受け入れることができた。しかし、ライダーカップに対する彼の爆弾発言は、米国のみならず欧州ファンや欧州選手たちをも激怒させてしまったようだ。

「ライダーカップは素晴らしいゴルフの戦いだけど、最後は見せ物。楽しいものではあるけれど、僕にとっては重要じゃないよ」

ライダーカップは米国と欧州が国や大陸の名誉をかけて戦う2年に1度のチーム戦。どちらの選手たちも、ライダーカップのチーム入りを果たし、名誉のために戦うことを「生涯最高の誇り」としている。多くの選手がライダーカップ出場を夢見ており、個人戦の通常の試合とは異なる「何より重要な団体戦」とされている。

そんな中、まだライダーカップ出場経験がなく、チームメンバーの候補にもなっていないマキロイが「僕にとっては重要じゃない」なんて言い放ってしまったわけだから、欧米の人々が怒るのも無理はない。とりわけ、欧州チーム・キャプテンのコリン・モンゴメリーは「2006年大会でダレン・クラークがエモーショナルなストーリーとなるゴルフを展開していたとき、(マキロイは)テレビでアニメでも観ていたのか?」と痛烈な皮肉。さらには「自分がトライするまでは、ノックすべきではないよ(出場に向けて挑んでもいないうちにライダーカップを批判するべきではない)」と、マキロイの発言を厳しく批難した。

センセーショナルに世界へデビューしたのは今年始め。しかし、4月以降、どうも問題行動、問題発言が続いているマキロイ。なんとなく彼の歩みは、かつてのセルジオ・ガルシアに似ているが、これは欧州出身の天才的若手選手に共通する特性なのだろうか?いや、そんなはずはない。せっかくなら、世界中から愛される若者になってほしい。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)