リバプールが1月の移籍マーケットにおける人員整理の方針を固めつつある。中でも、十分な出場機会を与えられずに不満を抱くFWピーター・クラウチとMFモハメド・シッソコの放出はほぼ確実な情勢となっている。

 夏の移籍マーケットで大型補強を敢行した今シーズンのリバプール。特に攻撃陣では、スペイン代表FWフェルナンド・トーレスやウクライナ代表FWアンドリー・ヴォロニン、そしてオランダ代表FWライアン・バベルといった即戦力を獲得し、その陣容は大きく様変わりした。その影響で活躍の場を失ったのがイングランド代表FWクラウチだ。ラファエル・ベニテス監督はこの長身ストライカーを第4FWとして扱い、開幕直後はベンチ入りメンバーからも外す試合もあるほど。近頃ではクラウチ自身から退団をほのめかす発言も聞かれるようになっていた。

 そんなクラウチにはニューカッスル、ポーツマス、アストン・ビラといったプレミアクラブに加え、セリエAのユベントスも獲得に興味を示すなど、移籍マーケットでは引く手あまたの状態。それでもベニテスは、クラウチを簡単に手放すつもりはなく、クラブ首脳陣に対し1000万ポンド(約23億円)以上の移籍金を設定するよう指示しているとも伝えられている。リバプールとの契約を18ヶ月残しているクラウチの去就は、ベニテスが与える出場機会とクラブ側が設定する金額に大きく左右されそうだ。

 一方、ベニテスに移籍を直訴したといわれているのが、マリ代表のMFシッソコだ。高い守備力が売りのシッソコだが、イングランド代表MFスティーブン・ジェラードのパートナーの座を巡り、ハビエル・マスチェラーノやシャビ・アロンソの後塵を拝している。シッソコについても、ユベントスをはじめとする海外クラブや複数のプレミアクラブが獲得に名乗りを挙げており、1月の移籍マーケットでは熾烈な争奪戦が繰り広げられる見通しだ。

 クラウチとシッソコというレギュラー級の移籍要求に難しい対応を迫られているベニテス。この両選手には獲得を望むクラブが後を絶たないだけにリバプールとしては可能な限り移籍金を吊り上げたいところだが、クラウチ獲得に動いていたマンチェスター・シティが高額な移籍金にオファーを取り下げた経緯もあるだけに、金額の設定が与える影響は大きい。夏の大型補強が生んだ不満分子の整理は一筋縄ではいきそうにない。