１１日に行われたセリエ第２８節パレルモ対フィオレンティーナ戦（１−１終了）で、フィオレンティーナＦＷムトゥが、パレルモＭＦグアナが倒れている状況で得点を決めたことが物議を呼んでいる。問題は前半３３分、ボールをキープしていたグアナが突然ピッチ上に倒れ込み、ボールを奪ったムトゥがそのままドリブル突破からシュートを決めた場面。ゴール後、パレルモの選手がムトゥを突き飛ばすなどあわや乱闘の事態へと発展。頭に血が上ったパレルモ監督グイドリンは審判への猛抗議で退場宣告後、ピッチを去る際にフィオレンティーナ監督プランデッリに対して「お前が選手を止めるべきだろ！！」と暴言を吐く始末。

　この事態を重く見た現地メディアは問題の場面を詳しく説明すると共に、関係者の声を緊急特集した。最も多く寄せられた声は「グリドリンの怒りは理解できるが、審判に権限がある。プランデッリがゲームを止める立場ではないし、止めることは無理（インテル監督マンチーニ）」で、グイドリン監督を擁護する意見は全く見当たらない。むしろ、現地メディアはグイドリン監督への厳しい処分を予想している。

　試合翌日のテレビ番組の中で「また同じケースが起きた場合でも同じ対応をする」と宣言したグイドリン監督。今季開幕直後には“シチリア旋風”を巻き起こし、前半戦の主役を張ったパレルモだが、大黒柱アマウリ離脱とともに勢いは失速。歯に衣着せぬ発言で有名なザンパリーニ会長、エースの不在、そしてグイドリン監督の失態。孤立無援のグイドリン監督率いるパレルモが、蟻地獄から抜け出すことは容易ではない。

佐藤　貴洋