セリーナ・ウィリアムズ【写真:Getty Images】

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ムラトグルー氏、コーチングは他陣営も行っていると恨み節「私には全く理解できない」

 テニスの今季グランドスラム最終戦、全米オープンは8日(日本時間9日)、女子シングルス決勝で世界ランク19位の大坂なおみ(日清食品)は女王セリーナ・ウィリアムズ(米国)と対戦し、6-2、6-4でストレート勝ち。敗れたセリーナは試合中、客席から受けたコーチングで警告を受けたことをきっかけに激怒。主審を「泥棒」呼ばわりするなど波紋を広げたが、セリーナのコーチは助言を認めた上で、試合中のコーチングが他陣営も常態化していると主張している。米スポーツ専門局「ESPN」が報じている。

 主審への抗議、ラケット破壊、コート上での号泣……。グランドスラム優勝23回の女王は1セット失った後、冷静さを保つことができなかった。記事によると、きっかけは第2セットの序盤。セリーナに対し、コーチのパトリック・ムラトグルー氏は客席からハンドシグナルを送っていた。これがコーチング違反となり、警告を受けた。セリーナは審判に歩み寄ると「私は勝つためにインチキはしない。負けた方がいい」と言い放つなど、次第に感情的になっていった。

 実際にコーチングはあったのか。ムラトグルー氏は試合後、スタンドで全米中継していたESPNの取材を受け、元女王リンゼイ・ダベンポートさんの直撃を受けた名参謀は「正直に言うけど、私はコーチングをしていた。彼女は私を見ていなかったと思うけど、私は100%コーチングをしていた。試合中、100%だ」とあっさりと非を認めた。だが、コーチによる試合中の指導はルール違反と規定されているが、常態化していると主張したという。

「だが、偽善者のようなことはやめよう。サーシャだって全てのポイントでコーチングしている。この試合のチェアアンパイアはラファ(ナダル)の決勝でトニ(元コーチ)がほとんど全てのポイントで指導していたのに、警告を与えなかった。私には全く理解できない。みんなやっているさ」

セリーナのラケット破壊も擁護「大したことじゃないと思う」

 大坂のコーチ、サーシャ・バイン氏もスタンドから指導していたと主張。ポルトガル人のカルロス・ラモス主審は、男子世界ランク1位のラファエル・ナダル(スペイン)も伯父のトニ・ナダル元コーチから指導を受けていたが、ペナルティを与えていないと恨み節を漏らしたという。だが、ダベンポートさんは厳しかった。「セリーナはコーチングの違反がコードバイオレーションに相当すると理解していると思いますか? それによって彼女はラケットを破壊してポイントを失ったのです」と質問した。

 参謀役は「自分は理解していたと思わない。でも、試合をプレーしているのは彼女だ。自分の感情を表現することもある。ポジティブな反応もネガティブな感情も露わにすることもある。彼女は人間なのだから。私は常に言っている。自分の感情を表現していけない選手に言うことは愚かなことだと。ラケット破壊も大したことじゃないと思う」と力説したという。女王がルールを把握していなかったとしながらも、コート上で取り乱したセリーナのラケット破壊も擁護していた。(THE ANSWER編集部)