口径8.2mという大きな望遠鏡を4台組み合わせて観測を行う超大型望遠鏡VLTが、地球から370光年離れたところで誕生しようとしている星「PDS 70b」の原始の姿を捉えることに成功しました。

First Confirmed Image of Newborn Planet Caught with ESO’s VLT | ESO

https://www.eso.org/public/news/eso1821/

この画像は、ヨーロッパ南天天文台(ESO)がチリ・パラナル天文台に建設した、口径8.2mの望遠鏡4台の総称「超大型望遠鏡VLT」が捉えたもの。観測した画像を解析する装置「SPHERE」によって得られた以下の画像には、リング状に分布する「ちり」の中心にひときわ明るく光る球状のエリアが存在しているのがわかります。この、明るく輝く部分が、今後長い時間をかけて新しい星へとなっていきます。



これは、地球から370光年の距離にある年齢1000万年という若い矮(わい)星「PDS 70」の回りに、天体「PDS 70b」が誕生しようとしている場面。星の赤ちゃんの部分をアップにするとこんな感じで、ひときわ明るく光る部分が星の素となる部分。その近くに見える黒いエリアは、近くにあるPDS 70による光の影響を排除するためにマスキングされている部分であるとのこと。明るく輝く部分には太陽系の木星の数倍という非常に大きな質量の物質が集まっており、この領域の温度はセ氏1000度にも達しているそうです。



PDS 70bの様子は、ESOが作成した以下の4Kムービーでも詳しく解説されています。

ESOcast 169 Light: First Confirmed Image of Newborn Planet (4K UHD) - YouTube

今回、PDS 70bの発見の手助けになったのが、チリのパラナル天文台に建設された「超巨大望遠鏡VLT」。



PDS 70bは、広大な宇宙の中でも以下の赤枠で囲った部分を詳細に調査することで発見されました。



宇宙の写真を何倍にも拡大することでPDS 70bが近くに位置するわい星「PDS 70」の姿がやっと現れました。ムービーを見れば、実に多くの星が存在する宇宙の中から、このPDS 70bが発見されたことのすごさが伝わってきます。



そして超巨大望遠鏡VLTが捉えたのが、このPDS 70bの姿。黒くマスキングされている部分には、わい星PDS 70が存在しているとのこと。



今回の観測で画期的だったのが、スペクトル分析によって「PDS 70bには雲が存在している」ということが判明した点にあります。



PDS 70bはすでに星の地殻が存在している模様で、その周囲には雲が漂っているとのこと。この観測結果は今後、惑星が進化するステージの詳細な把握と、太陽系外の惑星にはどのような世界が広がっているのかを理解することに役立てられると考えられています。