ヤフーが、六本木ヒルズの「大屋根プラザ」で、三陸鉄道と共同で「Yahoo!応援改札 #ピッは応援になる」を開催しています。交通系ICカードを使って三陸鉄道に寄付ができるイベントで、東日本大震災の記憶を風化させないことが目的です。

ヤフー「これからも継続的な支援する」

 ヤフーが2018年3月9日(金)から11日(日)までの3日間、東京都港区の六本木ヒルズ 大屋根プラザで、三陸鉄道との共同イベント「Yahoo!応援改札 #ピッは応援になる」を開催します。


会場に置かれた改札を通過して、寄付を行う来場者(2018年3月9日、乗りものニュース編集部撮影)。

「Yahoo!応援改札 #ピッは応援になる」の目的は、今月11日で発生から7年を迎える東日本大震災の記憶を風化から防ぐことで、今回が初開催です。

 会場に置かれた改札機「Yahoo!応援改札」にて交通系ICカードをスキャンすると、三陸鉄道に100円の寄付ができるほか、三陸鉄道公認の特別乗車券がもらえます。100円を超える額を寄付したい人は、改札の通過回数に応じて、そのぶんを寄付できます(例:5回通過で500円寄付)。

 今回のような寄付スタイルをとった理由について、ヤフー広報担当は「交通系ICカードは、誰もが普段の生活で何気なく使っているもので、寄付への(心理的な)ハードルが低いからです」と説明します。対応する交通系ICカードは「Suica」「PASMO」「Kitaca」「TOICA」「ICOCA」「SUGOCA」「manaca(マナカ)」「はやかけん」「nimoca」です。

 会場には「Yahoo!応援改札」のほか、三陸鉄道の車両を10分の1の大きさで再現したヤフーオリジナルの模型が展示され、車窓の映像を流す150インチのLEDモニターも設置。「現在のリアルな東北」(ヤフー広報担当)を旅しているような感覚を体験できます。

 映像は2月25日(日)に、南リアス線の盛〜釜石間を約30分間撮影したもので、交通系ICカードをスキャンすると、映像内に桜の花や赤べこ、風船などのイラストが表示される仕掛けになっています。

 ヤフー広報担当は「三陸鉄道さんとはこれまでも一緒に写真集を作ったり、ネット募金などを通じて支援を行ってきました。これからも継続して行っていきたいです」と話しています。

来場者が話す、東北への思い

 初日となった9日は、3名の三陸鉄道職員が参加、改札に立ちました(参加は9日のみ)。天気はあいにくの雨天。風も強く、決して恵まれた環境とはいえなかったものの、職員とスタッフは、会場を訪れた人たちに熱心に話しかけていました。


車窓の映像を流すモニターと1/10スケール三陸鉄道車両模型。

寄付するともらえる三陸鉄道公認の特別乗車券。

12歳のとき被災したという三陸鉄道の古舘さん(右)。

 映画のチケットを買いに六本木ヒルズを訪れていた東京在住50代自営業の男性は、岩手県盛岡市の出身だといいます。「7年前の3月11日は、東京にいました。地震が起きてすぐ盛岡の実家に電話、親族は無事でホッとしました。津波の映像を観たとき、まるで怪獣映画のワンシーンを見ているような衝撃を受けました。私は毎年正月に帰省しているのですが、地方都市はまだまだ寂しい雰囲気が残っています。(ヤフーのような)東京の企業が東北を支援してくれるのは、とても心強いです」と話しました。

 ランチで会場付近を訪れたという、7歳の子どもを連れた30代の主婦は「震災当時は子どもがまだ0歳。震災の次の日、12日夜に夫と子どもと一緒に、京都に住んでいる叔母のもとに避難しました。夫は仕事の関係で数日後に東京へ戻りましたが、私たちは1か月間身を寄せていました。私の『ママ友』にも同じような人が何人かいたのを覚えています。日が経つにつれて、震災の怖さがこみ上げてきました。東京の企業には、これからももっともっと積極的に支援をしてもらいたいです」と言います。

「Yahoo!応援改札」に立った三陸鉄道の古舘龍太さん(19歳)は入社2年目。普段は久慈駅(岩手県久慈市)に勤務しているといいます。「震災があったのは、私が12歳の時、小学校の卒業式の間近でした。実家は内陸部だったのですが、停電でテレビも見られませんでした。電気が復旧したのは1週間後。それまで情報はラジオから得ていました。初めて津波の映像を観たときは言葉になりませんでした。でも、いまは街が少しずつ元気を取り戻しており、うれしいです。三陸鉄道は、ローカル線ならではのきれいな景色を見られますから、東京の皆さんには1回だけでも構いません、ぜひ遊びに来てもらいたいです。今回の取り組みは、東北に住む人間のひとりとして本当にうれしいです」と話しました。

 イベントは、9日(金)が19時まで、10日(土)と11日(日)は午前11時から19時まで開催予定です。