仕事も恋も、ストレートに向かいあうだけ。成田 凌、23歳の現在地。
19歳で受けたモデルのオーディションで「俳優志望」を明言した。それから約3年、その言葉は形となり、成田 凌は俳優として着実に…いや、着実という言葉がそぐわないほど急角度の階段を上り続ける。ドラマ『ふれなばおちん』(NHK)で年下の不倫相手を演じ、世の女性たちの心をざわつかせ、その後も映画『君の名は。』、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)など話題作に出演。そして、映画『L-エル-』でも寓話的な世界で存在感を放っている。文字通りブレイク前夜の23歳は、その視線の先に何を捉えているのか? 将来から恋愛観まで話を聞いた。

撮影/祭貴義道 取材・文/黒豆直樹 制作/iD inc.



役作りの軸は所作! 「四六時中、考えてる」



――『L-エル-』はAcid Black Cherryの同名のアルバムを原作に、ヒロイン“エル”の生涯を描いた作品です。成田さんは、傷ついたエルが身を寄せ、やがて恋に落ちて結婚する、実直なパン屋の男を演じていますね。

パン屋ということで当然、パンを作るシーンがあるので、パン作りのセットを事前にお借りして、家でもこねたり切ったり、パンを形にしたりというのを練習しました。



――映画ではエルの数々の苦難が描かれますが、その中で、パン屋でのシーンでは結婚し、お腹に新たな命を宿すなど、これまでにない幸せな時間を過ごすことになります。

そうなんです。ただ、僕自身はセリフが非常に少なくて、その中で、出会いから告白、結婚、妊娠、そして結末まで表現しないといけなくて、表情やひとつひとつの所作がとても重要でした。パン屋にやって来た小さな子どもにパンを渡す動作ひとつでも、立って渡すのか? かがむのか? 片手か? 両手か? そこは現場で丁寧に繊細に作っていきました。




――本作に限らず普段から、役作りの中で、どのようなことを大切にされていますか?

やはり、所作で人はどう見えるかが決まると思うので、そこは四六時中、考えてますね。ひとつの役を演じている最中は、その役柄次第で聴いている音楽も変わるし、しゃべり方さえも若干、変化しますね。

――カメラの回ってないところから役になりきっていく感じなんですね。

もちろん、カメラの前に立たないと、“本物”って出てこないと思うんですが、それでも周りの人間を観察したり、あれこれ考えたりと、行ったり来たりを繰り返してますね。

――まさに四六時中。

あとはやはり、セリフの中でできることもあるし、しゃべらないときにできることもあるので、いろんなプランは考えますが…。かといって「これ!」というやり方が決まってるわけでもなく…。



――今回、エルを演じたのは広瀬アリスさんでしたが、現場で彼女を目の前にいて、引き出されたりした部分も?

ありましたね。出会いは、僕らの関係そのままに初々しく、噛み合わなくていいんですけど、グッと距離が縮まるシーンになると、実際に現場での会話も増えていきましたし。エルにとっては大変な思いをしてきて、やっとたどり着いた憩いの時間。パン屋は、彼女の過去を知らないからこそ、僕自身もその場で目の前にいるエルだけを見て、向き合えたと思います。



料理をつくる時間がリフレッシュになっている



――所作が大事とおっしゃってましたが、パン作りの一連の動作が、惚れ惚れするほどお見事でした!

わりと、上手にできたかな…?(笑) 今回の作品は、ある種の寓話的な世界で“わかりやすさ”も求められていたので、やりすぎなくらいガンガンと生地を叩きつけたかと思えば、すごく繊細にこねたりと“職人感”を大事にしました。

――プライベートでもよく料理はされるんですか?

しますね。そういう意味では料理するのは慣れているし、小さい頃から母親がパンを作ったりするのも見てました。



――ひとり暮らしで、自炊をされてるということですよね?

もちろん、自分のためだけにも作りますし、雑誌の撮影の現場が早く終わって、モデルの後輩や友達を家に連れてきて、ゲームで遊んだりするときにふるまったりもしますね。

――「ちょっと何か作るよ」と? ちなみに普段はどんな料理を?

基本、カレーが多いですね。僕、食事ってカレーでいいんですよ(笑)。かといって食べることがめんどくさいとか嫌いってわけではなく、カレーが好き。あ、今朝も食べました(笑)。

――いわゆる市販のルーを使って…?

普通のスーパーで売ってるヤツです。というか、日本のカレー最高ですよ。いろいろ、そこに足したりするんですけど、まあ自己満足の世界ですね。「こんな材料を入れてる俺、かっけー」みたいな(笑)。 他には…「何食べたい?」って考えても、だいたい、ナポリタンとかオムライスとか、子どもっぽいメニューが多いかな?

――お忙しいでしょうし、時間も不規則なことが多いと思いますけど、それでもきちんとご自分で作られるんですね。

「これ!」と思ったらパッと作っちゃう。3日くらい前に、夜中の12時に帰ってからふと「豚汁食べたい!」って思って、作り始めたんですよ。結構、ゆっくり作るから1時くらいになっちゃって「もういらない」となって、結局、朝ごはんで食べて、その日、仕事から帰ってからカレーにしました(笑)。

――完全に、料理に慣れている人のやりかたですね。料理って、ひとつひとつの作業に集中ができて、意外とリフレッシュになるという人もいますが…。

考えてそうしてるわけじゃないんですけど、料理している間はそのことに集中してて、確かにそれがリフレッシュになっているのかもしれないですね。今回もそうですけど、料理ができるのは、俳優という仕事に役に立つことだと思うので、今後、またどこかで活きたらいいですね。



同世代はライバルであり、応援したい存在



――映画は音楽アルバムを原作にしていますが、成田さんは普段、どんな音楽を聴かれるんですか?

最近は若手、特に自分と同世代のミュージシャンの曲を聴くことが多いですね。いま、ちょうどナレーションの仕事でSuchmos(サチモス)というバンドとお仕事をしてるんですけど、もともと、彼らとは友達なんです。

――プライベートで仲の良いミュージシャンとコラボレーションを?

仕事はたまたま、まったくの別ルートからいただいたんですが、そうやって同世代と関わっていけるのはうれしいですね。何より、普通に僕自身「カッコいい!」と思って聴いて応援してましたし。

――俳優の仕事でも“同世代”の存在というのは意識されてますか?

してますね。「応援したい」って気持ちが強いです。

――ライバル意識は?

そりゃ、ないわけないです(笑)。やはり、同じひとつの役柄を取り合う関係なんですから。でも、一生やっていくつもりなので、お互いに将来長いですし、どこまで行ってもついてくるものですしね。ライバルというか、仲間というか…。



――特別な存在として見ている。

普通に同世代で「見たい!」って思う役者、応援したい役者もいます。いい俳優なのになんでフィーチャーされないんだ? と思ったら、積極的に自分が間に立って、紹介したいし、自分がそうしてもらうこともあるかもしれないし。横のつながりって大事にしたいです。

――同世代だとやはり、“壁”を取っ払いやすいですか?

変な緊張をしないで、最初から話しやすい部分はありますよね。昨日もちょうど、同世代の俳優と飲んだんですけど、普通に世代の話になるんですよね。「○年生まれって誰がいるっけ?」とか。どこかで意識してるから、話題として出てくると、みんな食いつきやすい(笑)。



「表に出て勝負したい!」19歳で芽生えた思い



――その中で、成田さんご自身について、より深く、お伺いしてまいります。2014年にドラマ『FLASHBACK』(フジテレビNEXT)で俳優としてデビューされ、昨年、今年とめざましい活躍をされています。いま、自分が置かれている状況、立ち位置をどんなふうに捉えてますか?

そこが本当に自分でもわかってなくて(苦笑)。よく、マネージャーさんともそういう話をするんですけど、“現在地”って実は自分が一番理解してないのかも…。それこそ、同世代の話をしてても「じゃあ、自分はどれくらいなんだ?」って。まあ、あえて言うなら全然なんだと思います。

――全然?

まだ全然、自分が求めるところにいられていないですね。もっと頑張らなきゃって思います。いろんな周りの方の力をお借りしながら、なんとかここに立ってるなと思うし。

――とはいえ、いろんな作品に求められるようになって、目まぐるしく状況が変わり、車のスピードがグングン上がって、周りの風景も変わっていくような感覚は?

それはありますね。もちろん、まだまだなんですけど、渦の中に飲み込まれるような感覚というか…。ただ、1年ずつ積み重ねて、一昨年も、去年も、今年も「来年が勝負だね」って言ってるんですよね(笑)。それは、きっと一生続くと思います。その意味で、自分の立ち位置とか現在地はわかんなくてもいいのかなって。



――周囲が勝手に答えを求め、カテゴライズしようとする部分もあると思いますし…。

そこに“正解”があるわけでもないですからね。まあ、みなさんがおっしゃってくれるありがたい言葉を鵜呑みにして(笑)、一生懸命頑張ればいいかなって。

――モデルとしてこの世界に入り、『MEN'S NON-NO』(集英社)の専属モデルも務められていますが、以前から俳優になりたいと?

なりたいと思ったのは19歳のときですね。モデルを始めるときに、オーディションで「役者になりたいと思っていますので、協力してください」って言いました。

――小さい頃から憧れなどは持っていた?

昔から表に出るのは好きだったし、ものすごいTVっ子でしたね。夜9時、10時のドラマを見て寝る子でしたし(笑)。そういう世界への憧れはもともと持っていたのかもしれません。

――その思いが、19歳での“決断”に結びついた?

一度、専門学校にも通い始めたんですよ。でも「やっぱり自分は表に出たいんだな」と思って…。ちょうどそのタイミングでスカウトしていただいたので、勝負してみようと。




成功を掴みたいし、上を目指したい!



――モデル活動を始めて、約1年後に俳優業も始めましたが、実際にこの世界に入ってみていかがですか?

まだ、自分の出た作品をまともに見られないんですよ。なんか不思議な感覚で…なんでなんでしょうね(笑)。

――とはいえ、撮影の現場では相応の“覚悟”が求められると思います。

それは、この世界に入ったときからありました。「これで飯食っていくしかないんだ」と。実際、やってみたら楽しいし、大変なこともあるけど、好きなんですよね。大変なことを一生懸命やっている自分が好きってところもあるんでしょうけど(笑)。

――最初からプロ意識を持って臨んでいた。

実際、プロですし。仕事をしている人間は誰しも何かのプロですよね。その意味で、俳優を“職業”として捉えてる部分は強いですね。現場に入れば作品作りの中で、いち俳優部の人間ですし、そこで演じるということを一生懸命やれば、結果はついてくるかなと思ってます。

――まだ数年ではありますが、現場を重ねていく中で、ご自身の成長や変化は感じますか?

少し前に、中国で主演の作品を撮らせていただいたんですよ。僕はデビュー作で主演を張らせていただいてはいたんですが、その当時は感じることができなかった“主演”ということのありがたみや重み、座長としての責任を感じることができました。



――経験を積んで、他の作品で他人が座長を務めるのも見てきたからこそ、主演のすごさがわかった?

初日でそれをガツンと感じて、以降、スタッフさんや共演者のみなさんとの関わり、現場での立ち居振る舞い、まったく違うものになったと思います。自分がどうこうってことじゃなく、作品のために何ができるか? カメラは回ってないところも含めて、考えさせられました。

――もともと、しっかりと覚悟を持ってこの世界に入ってきたとおっしゃってましたが、それとはまた違う経験があるからこそ持ちうる覚悟や責任が芽生えたんですね。

覚悟を持っている「つもり」だったんだなと反省しましたね(苦笑)。いまでも現場に行けば日々、反省と勉強ですが、それが楽しいです。

――『ふれなばおちん』『君の名は。』『逃げ恥』と話題作への出演が続いています。

それは、正直、僕が云々ではなく、作品の力であり、普段から支えてくれる周りのみなさんのおかげでそういう作品に出られているんだなと感じます。ただ、そういう作品に関われることは素直にうれしいです。

――間違いなく、成田さんの存在もヒットや話題性に寄与していると思いますが…。

自分の芝居に関して「いいな」と思うことはまずないんですが…。ただ、手応えという意味では、一度、ご一緒した監督さんやスタッフさんにまた呼んでいただけることが多くなっていて、それはすごくありがたいことですし、励みになってます。それくらいですかね?(笑)。

――いまの目標は?

うーん、カッコいい車を買う?(笑)

――「若者の車離れ」が叫ばれる中、イマドキらしからぬ目標がでてきました(笑)。

いま一緒にいるチーム(※マネージャー、スタイリストなど)の会話が、車のことばかりなんですよ。話を聞いてて「俺も車欲しい!」って思うけど、そんな金ないし(笑)。

――成功の象徴として?

やっぱり、この世界に入ったからには成功を掴みたいし、上を目指したい。その一歩目として車を持ちたいと思ってます(笑)。



包容力のある女性に叱られたい願望が…?



――恋愛についてもぜひ伺いたいと思います。これまで作品ごとにさまざまな恋愛シチュエーションに身を置いてきましたが、プライベートで恋愛に関して、大切にされていることは?

好きだと思ったら行く!

――ストレートに?

もちろん!

――本作のパン屋よりは、積極的にガンガンと攻めていくタイプですか?

いや、このパン屋さん、実直ですけど意外とガンガン行ってますよね(笑)。

――『ふれなばおちん』の年下男子・龍のようなアプローチはどう思いますか?

まあ、このご時世、恋愛のシチュエーションとしてはありえないですが、アプローチに関しては…いち男女のあり方としてはありなのかな? いきなりハグしてキスしてってのは無理ですけど(笑)。僕は、かなりの気にしいで、嫌われたくないので、その微妙なラインを衝いていく感じですね。

――理想の女性像は?

包容力があってほしいですかね。すぐにどこかに飲みに行っちゃうので。「しょうがないなぁ」って感じで…いや、それはダメだな(笑)。それは包容力云々じゃなくて「許してほしい」ってなってるな。ドンと構えている女性に叱られたいんですよね(笑)。

――『ふれなば』の龍とはまた違ったタイプの年下キャラなんでしょうか?(笑)

うちの母は、いわゆる“肝っ玉母さん”タイプなんですけど、でも、ちょっと親バカが過ぎて、僕はこんな感じになっちゃってるんですよね…(笑)。

――自覚症状があるんですか…。先ほどの料理のくだりや立ち位置の話でも感じましたが、“カッコつけてる自分”“できない自分”を非常に冷静に客観視しているところが、すごくもあり、ズルい(笑)。母性本能をくすぐられる女性が多そうですね。

(笑)。どしっと構えた面倒見のいい女性に「ちゃんとして!」って言われたいです。



【プロフィール】
成田 凌(なりた・りょう)/1993年11月22日生まれ。埼玉県出身。O型。2013年より『MEN'S NON-NO』(集英社)で専属モデルとして活動を始める。2014年、連続ドラマ『FLASHBACK』(フジテレビNEXT)で俳優デビューにして初主演を果たす。ドラマ『学校のカイダン』(日本テレビ系)、『いつかティファニーで朝食を』(日本テレビ系)、『ふれなばおちん』(NHK)、映画『飛べないコトリとメリーゴーランド』、『残穢-住んではいけない部屋-』に出演したほか『ONE PIECE FILM GOLD』『君の名は。』では声優を務めた。現在はドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)に出演中。2017年には『キセキ -あの日のソビト-』(1月28日公開)の公開が控える。
【Twitter】@nr_yo


■映画『L−エル−』
11月25日(金)全国ロードショー!
http://acidblackcherry-movie-l.net


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■受付期間:2016年11月24日(木)12:00〜11月30日(水)12:00

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