高松商vs札幌第一

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高松商、守り勝つ野球でベスト4進出

先制点を挙げた大熊 達也(高松商)

 長い間高校野球を観ているファンには懐かしい高松商のユニホームが全国の舞台に帰ってきた。明治神宮大会は37年ぶり。当時は地区の優勝チームが出場したわけでは必ずしもなく、高校の部は決勝戦を除けば基本的に神宮第二球場で行われていた時代である。

 1回戦で関東一に粘り勝った札幌第一との試合、スコア上では2本の本塁打が目立っているが、伝統のある四国のチームらしい守りが光った試合だった。

 高松商は2回表、中前安打の美濃 晃成が犠打で二塁に進み、7番・大熊 達也の中前安打で生還するという手堅い攻めで1点を先取する。

 札幌第一の先発は1回戦で9回に登板し、苦しみながらも抑えきった冨樫 颯太。球に力はあるが、高松商がじわじわと攻略する。得点にはつながらなかったが、3回表には、一塁走者が捕手へのファールフライで二塁にタッチアップし、スタンドを沸かせた。

 そして5回表、二死から3番・米麦 圭造の内野安打、4番・植田 響介の四球の後、暴投で二、三塁に進む。そこで5番・美濃はレフト線に入る二塁打で2人が還り3点差とする。

 一方高松商の先発・浦 大輝は変化球主体の投球で球に速さはさほどなく、三振は9回に1つ奪っただけだが、丁寧な投球を守備陣が好守で盛り上げる。4回裏にはこの回先頭の長門 功の打球を中堅手の安西翼がダイブして好捕。内野陣も、低い姿勢から一塁に正確な送球をする。伝統校らしい守りが鍛えられたチームという印象だ。

兼村 京佑(札幌第一)

 高松商の長尾 健司監督は、「部長先生(犬伏 英人)のノックは厳しいです。引き締めています。1度、守備で負けましたが、守りで何とか四国大会の切符を掴んだのです」と語る。

 7回裏、1回戦は4安打の兼村 京佑の左前安打で1点を返すも、高松商は6回から登板している札幌第一のエース・上出 拓真から、8回表に大熊 達也の本塁打で1点、9回には6番の上田 理久都の2ラン本塁打で2点を入れて突き放す。

 9回裏には兼村の二塁打で1点を返したものの、7対2で高松商が勝利した。兼村はこの日も3安打と当たっていたが、チーム全体の安打数が6では勝負にならない。

 札幌第一の菊池雄人監督は、「兼村はこのまま自信を付けてくれればと思います。ただ打順を今まで動かしていなかったので、生かしきれなかった」と語る。と同時に「なかなかみることがなかった四国野球のねちっこさ、守備のうまさを、全国の舞台で知ることができ、財産になりました」と加えた。出場が確実視されているセンバツを前に、四国の伝統校の守備や攻撃のスキのなさを感じることをできたのは、大きな財産であることは間違いない。

 一方勝った高松商の長尾監督は、「先取点が大きかった。外野もいいプレーがあったし、内野もきっちと集中していました」と語る。次は大阪桐蔭。伝統的な強豪校と、今の現在の強豪校がどのような戦いをするか、なかなか興味深い試合になりそうだ。

(文=大島 裕史)

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