言わずと知れた傑作中の傑作、オスカー・ワイルドの「幸福の王子」。キリスト教的な「博愛、自己犠牲、献身」を描いた物語だが、それだけの話ではないのが名作たるゆえんだろう。同性愛を理由に牢獄に入れられ破滅的な死を遂げた作者のオスカーは、本当は何を伝えたかったのか。本稿は、山本茂喜『大人もときめく国語教科書の名作ガイド』(東洋館出版社)の一部を抜粋・編集したものです。デカダンス文学の代表者オスカー・ワイル