ブラジルW杯以来の復帰となる内田。久しぶりの代表のピッチでどんなプレーを見せてくれるだろうか。(C) SOCCER DIGEST

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 ブラジル・ワールドカップ以来の代表復帰となった内田篤人だが、状態は決して万全ではない。以前から痛めていた膝は完治したわけではなく、加えて11月8日のフライブルク戦では左手を踏まれて強度の打撲を負った。

【写真で振り返る内田篤人の代表キャリア】
 
 それでもハビエル・アギーレ監督が、この右SBの招集を熱望したのは、「(右SBで)何人かの選手を試してきたが、そこに彼の経験やプレーのクオリティーを加えてほしい」(アギーレ監督)からだ。これまで右SBには4人(酒井高徳、酒井宏樹、松原健、西大伍)を招集したが、やはり経験豊富なこの男の力が必要だと痛感したのだろう。
 
 内田自身も、今回の代表復帰について前向きに捉えている。合流当初は、自身の“代表引退説”がひとり歩きしていたことへの不信感を隠さなかったが、新チームの印象や戦術については以前と同じく率直に言葉を紡いだ。
 
「(ザッケローニ前監督とは)戦術の細かい部分は、だいぶ違いますね。誰と組むかは分からないけど、前線の選手をサポートしたいと思っている。でも、練習は自分たちの形を確認できるけど、試合は相手があることだから、やってみないと分からないですね」
 
 試合前々日の8対8のミニゲームでは、新体制下で全試合に出場する森重真人らとともに主力組の最終ラインでプレーし、守備に重点を置く新チームのスタイルを確認した。しかし、把握できたのはベースの部分だけで、いくらトレーニングで共通理解を深めても実戦は別物だと言う。
 
 内田はさらに、語気を強めてこうも語った。
「ただ、選手はテストとか関係なく勝ちにこだわったほうがいい。ワールドカップの時は結果に結びつかなかったから、『自分たちのサッカーにこだわった』と言われていたけど、自分たちは勝ちに行っていたし、それはこれからも変わらない」
 
 新体制発足からまだ3か月で、内田自身も初合流という手探りの状態だが、チーム作りの最中だという理由で結果を度外視していいわけではない。「プレーのクオリティー」だけでなく、こうした強い勝負へのこだわりもアギーレ監督が求める「経験」なのかもしれない。
 
取材・文:五十嵐創(週刊サッカーダイジェスト)