ヌード、エンタメ情報が大充実のエロ本が大量出版されていた90年代をプレイバック!

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『週刊少年ジャンプ』が過去最高の653万部を記録、『ファイナルファンタジーVIII』がシリーズ最高の売り上げを達成、音楽CDの生産がピークに達するなど、華やかな印象のある1990年代のエンタメ界。だが、当時の若者を真に熱狂させたエンタメは「エロ本」だったのでは?

80年代から90年代にかけて日本のエロ本の中心的存在ともいえる存在だったのが英知出版だ。徹底的に「日本の美少女」にこだわった美麗なヌードグラビアは、それまでのエロ本のイメージを大きく変えてしまった。

また英知出版の雑誌で売り出した女のコを、兄弟会社であるAVメーカー宇宙企画でデビューさせるというタイアップ手法は画期的であり、若者は英知・宇宙タッグが送り出してくるAVアイドルに夢中になった。

しかし時代はより過激な表現を求めるようになり、2000年代に入るとソフトな英知スタイルの人気は失速する。そして07年には倒産。『ベッピン』が改題した『Bejean(ビージーン)』など一部の雑誌は別会社に発行が引き継がれるものの、現在はすべて休刊している。

■デラべっぴん(英知出版)

英知出版のグラビアは印刷にもこだわっており、美しい肌色を出すために印刷会社と調整に調整を重ねたという。また、モノクロページでは、アニメ誌以外でははじめて『エヴァンゲリオン』の特集を掲載したり、ワールドカップ特集も人気だった。

■Beppin(英知出版)

「初脱ぎ」グラビアが売りだった。94年に摘発され『Bejean』と改題。惜しくも今年8月に休刊した。

■ビデオボーイ(英知出版)

AVアイドル誌として知られるが連載コラムも濃厚だった。特に杉作J太郎氏の連載はボンクラ度がMAX!

■URECCO(ミリオン出版)

スタイリッシュなグラビアとデザインで人気が高かったのが『URECCO(ウレッコ)』だ。ほとんど文字の入らない表紙は、まるでファッション雑誌のようだった。グラビアに登場するモデルは、ほとんどAV女優だったが、他誌で見る彼女たちとはまったく違って見えたのが印象的。あの渋谷陽一が「持っていても恥ずかしくないエロ本」と評したことも。

■スコラ(スコラ)

エロ色の強い総合グラビア誌の雄。タレントのセクシーグラビアも目玉だったが、体位や女体解剖的な企画色の強いグラビアも楽しかった。1994年には、ヘアに指が触れている、という理由でわいせつ文書図画販売容疑で摘発され社会問題に。99年のスコラ社倒産後は他社で発行された。

■宝島(宝島社)

70年代はサブカルチャー誌、80年代はロックバンド誌として若者文化をリードしてきた『宝島』が90年代に突如ヘアヌードを掲載。素人ヌードに風俗情報、果てはにおい付きヌードと、アダルト記事中心の雑誌に変身した。誰もが驚いたが、この“若者向け『アサ芸』”というコンセプトで売り上げは倍増したという。その後はビジネス誌へと、また路線変更した。

■ザ・ベストマガジンスペシャル(KKベストセラーズ)

2000年代まで「最も売れているエロ本」といわれていた。ひたすら大股開きの連続など、読者のニーズに応えた編集方針がうれしい。その一方で、読み物記事の情報量もかなり濃く、女体の反応をハイテク機器で測定したり、大量のモデルを登場させたりと制作費がかかっていそうな誌面構成だった。

(取材・文/大野智己 尾谷幸憲 安田理央[資料提供も])