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●着ている洋服や髪の"色"を取り出すインタラクション装置東京都・渋谷の通称キャットストリートに、ちょっと変わったアパレルのセレクトショップがオープンした。「色」で洋服を提案するお店「IROYA(いろや)」だ。

IROYAでは、毎月1色の決められたマンスリーカラーを基調とする服やアイテムを販売する。3月の色は「白」で、店内は真っ白な商品で埋め尽くされた。4月のカラーは「青」。毎月1日に商品は総入れ替えされ、店舗の内装の一部もその月の色に変わる。

実は、このお店の演出に、東京駅のプロジェクションマッピング「TOKYO STATION VISION」や、歌手のレディー・ガガさんが来日した際に行われたプロモーション「GAGA DOLL」のデバイスを手がけたことで知られるクリエイティブチーム「aircord」が協力している。

店内の一角には、iPadとカメラとディスプレイを組み合わせた装置があり、IROYAを訪れた人が遊べるインタラクションスペースになっている。ディスプレイの前に立ち、専用のiPadアプリで自分の全身写真を撮影する。すると、自分がいま着ている洋服や髪などの色が最大6色まで自動で抽出され、その色が組み合わさった幾何学模様が生成される。

アパレルのセレクトショップにこのような先端的なデジタルの仕掛けを持ち込んだ理由について、同店を運営するブラックの代表大野氏は、「店舗の意義は、そのブランドの世界観を体現するチャネルだけにとどまらないのでは、と考えたことがきっかけ。お客様にとって来店すること、それ自体がひとつの体験となり、それをカタチに残せないかと考えた」という。

テーマパークなどに遊びにいくと似たような写真撮影のアトラクションがあるが、その要領で来店促進にもつながればと話す。筆者も実際に体験してみたが、あらためて自分が好んで着ている洋服の色を再認識し、また色の楽しさに触れた気がした。

●aircordが語る、IROYAのインタラクション装置の"技術的な挑戦"装置の開発に携わったaircordの橋本俊行氏に、今回の技術的なチャレンジについて聞いたところ、「最適な色情報を取得するため、使用するカメラにこだわった。当初はウェブカメラやKinectなどの3Dカメラなどを試したが、色情報をきれいに取得できなかったので、最終的にCANONの一眼レフカメラを使うことにした。このカメラのSDKを使い、独自の"IROGRAM"システムに連携させるプログラムを開発することで、高精細な色情報を取得することに成功した」という。

また、取得した色情報がデータベースと照合されることで、RGBの値を表示することができる。その結果はサーバーにアップロードされ、これをもとに幾何学模様を生成。この模様は、お店の外壁に設置された縦3面のディスプレイに表示される。

そのほか、IROYAは店舗だけでなく、Eコマースサイトも同時オープンしている。サイトでは、店舗に陳列していた過去の色のアイテムが追加され、月日が経つに連れて、さまざまな色で洋服を検索することが可能になる仕組みだ。サイトに掲載されるアイテムの写真にはすべてアートディレクターによる編集が施されており、ファッション雑誌のように読み応えのあるサイトを目指している。

お店で、そしてサイトで、「色」で洋服を選ぶという新しいファッションの買い物を体験してみては?

(岡徳之)