テリー 楽天時代、ホームランは何本打ちました?

山崎 1年目は25本です。

テリー すごいですよね。

山崎 自分のバッティングが崩れていたので、田尾(安志)さんに技術指導をしてもらいました。

テリー 田尾さんは人柄がいいでしょう。

山崎 はい。でも、こうだっていうことは絶対に曲げない人なので、バッティングも毎日ダメ出しされて、怒られて、いろいろ指導を受けていったら、バッティングの感覚をつかみ始めてきたんですね。

テリー でも田尾さんは1年で退任されて、今度は野村監督との出会いですね。

山崎 野村監督就任と聞いた瞬間に「俺は終わったな」と思いましたね。もう絶対に性格が合わないだろうと思ったので(笑)。1年間、東北で野球をエンジョイして帰ろうと、そんな心境になってました。

テリー 実際に会ってみて、どうでしたか。

山崎 第一印象も悪かったし、キャンプが始まって最初に言われたのが「お前、ズボンの裾が長げえ。そんなんでコケたら大罰金だぞ」と。それから、言葉も交わさないんです。「ああ、また俺はイジメられるのか‥‥」と思ってたら、半月たった頃に、突然、呼び出され。

テリー 半月っていうのは2月ですか。

山崎 そうですね。始まってから、2月半ばでやっと会話をしたんです。池山(隆寛)さんに呼ばれて野村監督のところに行ったら、いきなり「お前、態度悪いな」と言って。「ええっ?」みたいな(笑)。

テリー そんなことを突然言われたら、嫌だよね。

山崎 「お前は見栄えが悪いし、態度が悪い。俺と一緒やな」と。

テリー ああ〜野村さんだねぇ。

山崎 そして「勘違いされることが多いだろう? 俺もまったくそうでなあー」と1時間ぐらい話してくれて、それから毎日会話してくれるようになりました。

テリー 野村さんも、人見知りするところがある方だからね。

山崎 そうなんです。誰が自分を避けてるとか誰が好意的に思ってくれてるか、というのをしっかりと見ているんですよ。その対話がきっかけで、野村監督の野球観をあらためていろいろと見るようになったんですね。

テリー すると?

山崎 「この人、すげえな」と思い始めて。自分の野球のダメ出しをダーッとされるわけです。「お前はホントに頭使ってねえな」とか「もっと勉強しろ」とか。でも、普通は努力しても、成果ってなかなか出ないじゃないですか。

テリー それはそうだ。

山崎 それが意外と早く成果が出たんです。「あれ、今日はこんなことができた」「今日はこんな成果が出た」ということがどんどん続いて、勉強することが楽しくなってきちゃって。