「音声通話アプリ」を比較すると……

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■「LTEプラン」で通話料が割高に

携帯電話の利用料金を抑えるにはどうすればいいか。スマートフォンを使っている場合、料金プランの選択肢は限られている。データ通信に関しては、事実上パケット代定額プランを選ぶしかない。

スマホはデータ通信量が多いため、定額プランも高くなると思われがちだが、実際にはそうなっていない。たしかに額面では従来のプランよりも高いのだが、キャリア各社はスマホへの移行を促すために、割引キャンペーンを展開しており、実際の支払い料金が引き上げられるのはまだ先だ。

だが「スマホに機種変更してから月々の支払いが増えた」と話す人は、筆者の周辺にも複数いる。何が原因なのか。そういう人はまず料金明細の「通話料金」を確認してほしい。恐らく以前より高くなっているはずだ。そう、実はスマホの通話料金は割高なのだ。

最新のスマホは「LTE」という通信規格を利用しており、これにあわせて料金プランも大きく変わった。ドコモは「Xi」、auやソフトバンクは「4G」とも呼んでいるサービスだ。これ以前の料金プランでは原則として「無料通話分」が基本料金に組み込まれていた。しかしLTEプランでは無料通話分がなくなり、大手3キャリアはいずれも「30秒21円」という通話料になった。

携帯電話の料金プランは「複雑でわかりづらい」と言われれてきた。通話料に関してはシンプルになっている。だがそのかわりに割高になった。たとえばドコモでは従来のFOMA向け「タイプLバリュー」の通話料は「30秒10.5円」だった。基本料金が1番安い「タイプSSバリュー」でも「30秒21円」で、1050円の無料通話分があった。

LTEプランでは、通話は割高になったが、各社とも「自社携帯への通話は無料」としている。つまり通話料金が高止まりしている人は、「他社携帯または固定電話への通話が多い」という人だ。

通話料金を抑えるにはどうすればいいか。有力な解決策は「音声通話アプリ」の活用だ。アプリ同士の通話は無料で、なかには固定電話に架電できるものもある。

ビジネス用途で固定電話への発信が多い人には、NTTコミュニケーションズの「050Plus」がおすすめだ。基本料金は月額315円。「050」で始まる専用番号が付与され、格安で通話ができる。固定電話への通話は「3分8.4円」とLTEプランの15分の1。携帯電話への通話も「1分16.8円」と格安だ。付与された電話番号は相手に通知され、受電することもできる。課題は通話品質。通信状況の不安定な場所では途切れがちになる。タクシーなど移動中の利用は難しい。

音声通話アプリでは、老舗の「Skype」も有名だ。定額の「無制限プラン」では月額690円で国内の固定電話にかけ放題となる。ただし、「050Plus」と違って「発信者番号通知」には対応していない。

ユーザー数を急速に増やしている「LINE」は、ユーザー同士の音声通話は無料だ。携帯電話や固定電話にダイヤルすることはできないが、「友だち」を電話帳から自動登録している人も多く、若者を中心に電話の代わりに活用されるケースが目立っている。

携帯電話の通信網は「音声通信」と「データ通信」の2層に分けられるが、こうした音声通話アプリの普及で、データ通信への負担が高まっている。このため各社は一定量以上のデータ通信には速度制限を行うようになった。無料だからとLTE回線で長電話を繰り返すと、自分だけでなく相手も速度制限の対象になり、無料通話がしづらくなる恐れがある。

(フリーライター 呉 琢磨)