ところどころ剥がれた木肌の模様のようにエコパ・スタジアムに空席が目立つ。とても残念な光景だった。


実質的に最終予選の壮行試合となった5月23日のアゼルバイジャン戦。いよいよ6月から始まる決戦に向け、ググッと気持ちが高ぶってくるはずなんだが、一向にそうならない。


ツイッターでは「アセラナクテモイイジャン」とか茶化してたが、そんな皮肉を最後まで地でいってしまった。本田圭佑のFK、香川真司のビューティフルゴール、高橋秀人、酒井宏樹、宮市亮の3選手がフル代表初キャップと、見せ場はそこそこあったものの、あくまで調整試合の域を出ない内容だった。


思い出したのが、19年前の国立でのアメリカW杯最終予選・壮行試合、対コートジボアール戦。W杯初出場を目指し、カズやラモスを中心とした代表の盛り上がりは最高潮だった。「アメリカへ行こう」のお題目の下、ファンは選手たちに感情移入し、興奮はMAX。







僕らはどこへ向かっているんだろう?


何を夢見て応援しているんだろう?





長年のW杯出場の悲願はとうに叶ってしまった。それどころかW杯が日本で開催されるという夢みたいなことすら10年前に実現してしまった。一体、ブラジルW杯では、代表はどんな目標を掲げてていけばいいのか?


ザッケローニ監督は、この点あまり明言はしてない。あくまで、本大会出場を目指し、一戦一戦、最終予選を戦っていくニュアンスだ。


「海外組全盛」という、かつて経験したことのない新たなステージにあるサッカー日本代表。もう少し欲張って、見栄を張って、ハッタリ効かせて、ビックマウスでファンを喜ばせてもいい気もする。世間を巻き込み、上昇気流のイケイケモードに。


岡田前監督のように「W杯ベスト4」、本田選手のように「優勝しかない」でもいい。そろそろ、選手・ファンが一体となって掲げた目標に向かっていくムードが欲しい。いつまでもベスト16止まりでは、納得がいかない。次の新たなステップを自信もって目標にしたい。


2002年の韓国のベスト4に並ぶかそれ以上を目指したいところ。いまのメンツなら、ポテンシャルは十分だ。いつまでも「あの頃は良かった」と、ノスタルジーに浸るのはたくさん。新しい夢や歓喜が観たい、味わいたい、浸りたい。


まずは最終予選突破を。ぬるま湯は終わりだ。ピリピリとした本気の戦いはいよいよ来月幕を開ける。以上、居酒屋のオヤジ的ボヤキでした。





おわり