大後寿々花(撮影:野原誠治)
 2000年、明治座の演劇で7歳にしてデビュー、映画「SAYURI」でチャン・ツィイーの幼少期を演じ話題を集めた女優・大後寿々花(おおごすずか)。ドラマ「セクシーボイスアンドロボ」(日本テレビ)、ドラマ「シバトラ」(日本テレビ)など話題作に次々と出演している。また、その透明感のある無垢な美しさと、力強い演技力に定評があり映画「女の子ものがたり」でも主役級のキャストに起用されている。今回、大後が挑戦したのは崔洋一監督最新作「カムイ外伝」だ。松山ケンイチ演じる孤独な男カムイが、初めて心を許す相手サヤカを好演した。そんな大後の演技感、崔監督の印象、16歳の女性としての素顔などに迫った。

――作品を拝見して、迫力のある映像と現代にも通じる強いメッセージ性に心打たれました。最初にお話をいただいた時の感想をまず教えてください。

大後寿々花:(以下、大後)漫画が原作だというのは聞いていたのですが、読んだことがありませんでした。学校の先生に「今度『カムイ外伝』の撮影するんです」って言ったら、すごく先生が喜んでくれて、「本当に有名な漫画だし、そんな作品に出させてもらえるなんて本当にすごい事なんだよ」って言われて、そこで改めてこの作品を大切に思いました。

――大後さんが演じたサヤカという役は、全体的に緊張感が張り詰めているこの作品において、人々をほっとさせる温かさを持っていたと思います。

大後:私は普段現場には自然体で行こうと決めていて、そんなに役について深く考えたことが無かったんですけど、サヤカに関しては自分の中で考えがあったんです。でも、現場で何度も何度も撮りなおしをすることが多くて、今まで出させていただいた作品以上に、役について考えていた作品だったのでショックでした。けれども撮影の途中に崔監督に「全部演じなくていいんじゃない?」って言ってもらって。

――そこから自然体になれた?

大後:そうですね。サヤカとはほぼ同じ年だし、あの年頃の女の子が恋をするのは、今の時代も同じですし、「半分はサヤカで半分は私でいよう」と思ったらすごく楽になったんです。「私は自然体で行こう、それが1番私に合ってる」って思えた瞬間でもありました。

――大声を出したり、走ったり過酷なロケだったのかなと感じたのですが、一番苦労したシーンはどこですか?

大後::やっぱり海に潜るシーンは大変でした。泳ぐのは元から好きだったんですけど、潜ったことは無かったので、撮影の何ヶ月も前から水深5メートルのプールで練習をしました。その分、初めて潜れた時はすごく嬉しかったです。

――完成した作品を観て1番お気に入りのシーンはどこですか?

大後:どのシーンも思い入れが強くて、撮影も沖縄で暑かったので印象に残っています。全部のシーンが大好きですが、1番好きなのは、カムイに月日貝の説明をしているシーンです。