リーグ・アン得点ランキングで第12節現在トップ(ベンゼマ、8得点)に2差の2位につけるスティーブ・サビダン(カーン)。加えて5アシストはリーグトップという活躍に、マルセイユのエリック・ゲレツ監督からは「キラー」の称号を贈られ、チームにほしい選手とラブコールを受けた。

 フランスきっての人気チーム、加えてPSVアイントホーフェン、ガラタサライなど名門を渡り歩いたベテラン監督からこんなセリフを言われれば、普通なら舞い上がってもおかしくはないが、サビダンの反応は冷静そのもの。

 サビダンはレキップ紙に「マルセイユのようなクラブの監督にこう言われたら、3つの反応があるだろうね」と前置きし、「1つは、舞い上がってすぐにサインしようとする。2つめは、うれしい、自分の仕事が実を結びはじめた、と感じる。3つめは、自分のチームの選手に、もっと足を動かせという教育的メッセージを送ったと考える」と他人事のように話すと、自分は最後の2つだと言い切った。

 そう考えるのは「自然なこと」という。「自分は3年契約を交わしたクラブに来たばかり。クラブは僕に投資したわけだし、自分はそれに応えるために全力を出すのが当然だ。それに、交渉があったとして、それは両クラブの会長の間で行なわれること。選手が出てくるのはそのあとだ」と淡々と語った。

 サビダンには2年前のヴァランシエンヌ時代に、リヨンが獲得の意思を示したことがある。「ビッグクラブとサインをしなかったからといって、後悔なんてしていない。まだこれからだってチャンスはあるし、自分の道はいまあるものでしかないからね」と30歳とはいえ焦りは少しもない。

 サビダンといえば、28歳でようやくリーグ・アンにデビューし、それまでは8年間にわたって2部と3部のクラブを転々、一時は妻も自分もアルバイトという生活をしたこともある苦労人。リーグ・アン屈指のストライカーとして脚光を浴びても自分を見失わないのはそれゆえか。

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