松井大輔が今シーズンから所属するリーグ・アンのサンテティエンヌが26日夜にナンシーのセンターバック、セバスチャン・ピュイグルニエを獲得したと発表したが、ナンシー側は28日、ピュイグルニエの移籍先はロシアのゼニト・サンクトペテルブルクであることを明らかにした。レキップ紙などが報じた。

 ピュイグルニエは30日にもゼニトとの契約書にサインする見通し。ナンシーのルスロ会長は、「両クラブの間には詰めるべき詳細がいくつか残っているだけで、ほとんど決まるだろう。ピュイグルニエにとっては興味深いチャレンジだ。ゼニトはチャンピオンズリーグ本戦出場が決まっているし、UEFAスーパーカップでマンチェスター・ユナイテッドと戦うのだから」と語っている。

 ただし、選手のプレー先を思いやったかのような会長の言葉に反して、ナンシー側の決め手は移籍金。これまで、ピュイグルニエをほしがったどのクラブ(サンテティエンヌのほかに、リール、レンヌ、パリ・サンジェルマンなど)より、はるかに高額のオファーを提示したのがゼニトだった。レキップ紙によると、サンテティエンヌの430万ユーロ(約7億2700万円)に対し、ゼニトが申し出た移籍金は600万ユーロ(約10億1500万円)。加えて外国のクラブなら、ライバルチームに戦力を譲り渡すことも避けられる。

 しかし、本人がゼニト入りを承諾しなければこの話も決まらなかったはずだ。ピュイグルニエは24日にサンテティエンヌのルセー監督と電話で話し、サンテティエンヌ入りの意思を明確に語っていたという。ところがその後、週末にかけて夫人を伴ってサンクトペテルブルクを見学に訪れたピュイグルニエに“心変わり”が生じた。これもおそらくは150万ユーロ(約2億5300万円)を超える年俸の提示が決め手になったと見られる。

 一方、ナンシー側とも予備合意に達し、28日に契約に調印する予定だったサンテティエンヌだが、前日に本人から「約束を取り消したい」と連絡を受け、「呆然としている」という。“心変わり”の理由は「ゼニトから金銭的によりよい条件を提示された」とだけ聞かされた。サンテティエンヌのツメが甘く、発表のタイミングを早まったのはたしかだが、「敬意とモラルが欠けている」と怒りは収まらないようすだ。