元フランス代表で、レアル・マドリー、チェルシーと名門を渡り歩き、世界最高のボランチのひとりと称されたクロード・マケレレが21日、リーグ・アンのパリ・サンジェルマン(PSG)に入団した。

 今オフの補強で出遅れた感のあったPSGだが、セセニョン、ジュリに続くマケレレの獲得により、PSGで5シーズン目を迎えるロテンと合わせて、中盤は完成した、との見方が大勢を占める。

 中盤の補強はここ数年、PSGにとってつねに懸案事項だった。昨シーズンはシャントム(アーセナルのベンゲル監督から高い評価を受けている)、クレマンという将来有望な若手を多用したが、物足りなさは否めなかった。

 また、ここ2年間のPSGは、潜在力はありながらも、それを十分に発揮できないと言われてきた。その結果、2 シーズンつづけて下位に甘んじ、降格の危機に立たされた。“何かが足りない”と言われ続けた結果、経営陣はその“何か”が、数々の大舞台を経験したベテランによるリーダーシップであると判断した。ジュリ、そしてとくにマケレレはその意味で待望の役者と言えるだろう。ビルヌーブ会長は、「役員、株主、スカウト部長、監督の満場一致」でマケレレ獲得に動いたと語っている。

 しかしPSGサポーターの反応を見ると、歓喜の声が上がる一方で、批判的な意見も少なくない。ジュリはともかくとして、マケレレについては「35 歳という年齢からスピードは期待できない」という誰もが抱く不安から「犬みたいにボールを追いかけるしか能がない」という辛辣な批判まである。

 背景には、スター選手にこだわり過ぎた経営陣への不信感があるようだ。直前に年会費の値上げが発表されたのだからなおさらだ。マケレレのケースでは移籍金を払わずにチェルシーから獲得できたが、それでも年棒がチーム随一の高額であることに変わりはない。マケレレの入団が決まった後、PSGの練習場にはサポーターから「法外な年会費、無駄な補強」という横断幕が掲げられたという。

 また、中盤こそ“完成”の域に達したが、パウレタ、ディアネの抜けたFW、ジェペスの抜けたセンターバックと、まだ課題は残っている。FWについては、レンヌのブリアンを筆頭に、グジョンセン(バルセロナ)、リカルド・オリベイラ(サラゴサ)、クラウディオ・ピサーロ(チェルシー)を狙っているとされるが、レキップ紙によると交渉の進展具合はどれも芳しくない。CBについては、ル・マンのマルコ・バシャ獲得に向けた交渉が難航していると伝えられる。