リーグ・アン7連覇を達成したリヨンが、フランス代表の合宿先として知られるアルプスのティーニュで合宿を行なっている。ピュエル新監督のもと、8連覇とともにチャンピオンズリーグ(CL)制覇を新シーズンの目標に掲げるリヨンは、とくに中盤の層を厚くすることに成功した。ピュエル監督とともにリールから加入したジャン・マクーン(カメルーン代表)、ニースから移籍したオノラト・エデルソンの2人に注目が集まっている。

 4日付のレキップ紙にエデルソンのインタビューが掲載された。ブラジル出身の22歳。本国で目立った活躍はなかったが、フランスに渡って3シーズン半をニースで過ごし、欧州のビッグ・クラブが注目する選手に成長した。昨シーズンは36試合に出場して7ゴール。ニースのアントネッティ監督(元ガンバ大阪)をして「ウチにはCL級の選手がいる」と言わしめたほどの逸材で、ニースを16位から8位に引き上げた立役者のひとりとされる。

 チェルシー、アーセナル、レアル・マドリー、インテル、AC ミラン、ユベントスといった名門との争奪戦を制してリヨンが契約を結んだのは、今年の1月。移籍金はこの冬のリーグ・アン移籍市場でもっとも高額の1400万ユーロ(約22億円)に達した。ただし本人がレンタルという形でニースに残ることを希望したため、今回ようやくチームに合流した。

 すでにフランス語もほぼ完璧に話すうえ、ブラジル人選手も多いリヨンにはすんなり溶け込むことができたようだ。「半年間、辛抱強く待った。もちろんニースでは、いい形でシーズンを終えられるよう集中した。でも心の奥には、はやくリヨンに加入したいという思いがあったのも事実」という言葉に、フランス最高のクラブの一員となった喜びが表れている。

 「ジュニーニョの後継者」という期待がかけられていることについては、「彼の後を継ぐためにリヨンに来たわけじゃない。彼のことは非常に尊敬している。自分は、プレーする喜びを得るため、成長するためにここへ来た」と語る。「彼とは特徴が違う。僕のほうがやや攻撃的だ」と、ジュニーニョの代わりとしてではなく、並んでプレーすることも可能と見ている。「ただし決めるのは監督。ニースではいろいろなポジションを経験したし、それが自分の成長につながった」と柔軟に構え、「できるだけ多くの試合に出たいが、控えとして我慢する用意もある」となかなかの落ち着きぶりだ。

 リヨンへの加入は、ブラジル代表入りに向けたステップとも考えている。まずは北京五輪での代表入りに期待がかかる。一次選考50人のリストに名を連ねているという。五輪出場となればリヨンでのスタートに遅れが生じるが? 「ブラジルでは、サッカーは宗教に等しい。招集を拒むのは難しい。呼ばれれば迷わず行くよ。セレソンが唯一獲得していないタイトル(五輪金メダル)に挑戦できるのだとしたら、幸せだ」と語った。