フェルナンド・トーレスの決勝点で強豪ドイツを下し、スペインが44年ぶり、2度目の欧州チャンピオンの座に輝いた。新たな歴史の幕開けとなったスペイン代表の監督、選手たちの表情には喜び、誇り、自信が満ち溢れていた。

 今大会限りでスペイン代表の監督を退任するアラゴネス監督は年齢と経験から来る冷静さなのだろうか、有終の美を飾った後も喜びは内に秘めつつ非常に落ち着いた様子で「この勝利は選手たちのものだ。彼らは自信を持って、大会を通して戦ってきた。我々は非常に優れたチームだ。それについては疑いの余地はない。我々がボールを持った時、止めるチームはないと言えるだろう」と選手らを称賛。

 キャプテンとしてチームを引っ張った守護神カシージャスは「僕らは優勝を成し遂げた。まだ優勝したって実感はないけれど、主審がホイッスルを吹いた時は喜びやら感動やらいろんな感情が沸き上がってきた。でも今、冷静になってみると、この気持ちをうまく説明できない。ただすごい喜びだけだね」と言葉にできない喜びであると明かした。

 決勝点をマークし、マンオブザマッチに輝いたトーレスは「僕らは苦しみながらも、チャンスを作った。最高のチームが優勝したと思う。最高のチームが優勝するとは限らないけれど、この大会ではそうだった。フットボールのためにも良いことだね」とスペイン代表への誇りを見せた。

 選手たちはまだユーロ優勝の実感は沸かないと思うと明かしたセスクは、「僕らが明日、マドリーに着いたら、分かるだろうね。今日は一つの国が勝ったんだ。この勝利は感動的なものであり、現実となった夢なんだ」と力を込め、イニエスタは「ようやく僕らも偉大なタイトルを獲得することが出来た。今の気持ちを説明する言葉が見つからない。僕らは初戦から決勝まで良いイメージを出せたし、優勝に値するプレーをした」、セナは「僕らは勝利に値した。フットボールの人生の中でも最高に幸せな時だね」と喜びをそう言い表した。また、昨年8月に亡くなった元代表のプエルタ選手(享年22)と今年の5月に亡くなった約17年間チームドクターを務めたボラス氏(享年62)にこの優勝を捧げたいというシャビ・アロンソ。

 44年間待ち続けたユーロ優勝に選手、監督らスタッフ、そしてスペイン国民が歓喜に沸き上がっている。スペインの“フィエスタ”は始まったばかりだ。

(スペイン通信)