EURO2008で敗退したポルトガル代表だが、各選手の夏の移籍マーケットにおける動向に注目が集まっている。また、代表監督を退任するルイス・フェリペ・スコラーリ監督はすでにチェルシー新監督に決定しているだけに、フェリポンことスコラーリがどのような手腕を発揮していくのかもイングランドでは大きな注目となっている。

 もっとも問題はフェリポンの「英語力」。ブラジル・ポルトガル語を母国語とするブラジル人指揮官は、ほとんど同じ言語圏であったポルトガルではコミュニケーション面で何の支障もなかった。ところが新天地は英語圏のイングランド。ここにきて、「通訳」の存在が大きくクローズアップされているのだ。

 理想は「英語とポルトガル語を話せるサッカー経験者、あるいは指導者」。この条件に合致したのが、コベントリーのアシスタントコーチを務めるスティーブ・キーン。現役時代にポルトガルリーグで6年間プレーしただけあって、ポルトガル語は流暢に話す。またイングランドでの指導経験も大きな武器となるだろう。

 しかし本人は困惑気味。というのも、ヘッドハンティングの交渉が「フェリポンの代理人」と名乗る人物からの非公式な打診だったから。キーン自身は「余計な問題は起こしたくない」として、すぐさま現所属のコベントリーに報告したという。これまでも大枚をはたいて、さまざまな指導者、選手を買い集めてきたチェルシー。その強引なやり方はまったく変わっていないようだ。