秋は晴天の日が多く、徐々に気温もおだやかになると同時に山中の虫も減ってきて、キャンプにおすすめのシーズンである。大自然のなかでほどよく体を動かして心も解放し、心身ともに健康になるイメージがあるキャンプだが、実はイメージだけでなくキャンプの健康効果には科学的にしっかりとした裏付けがあった!

【写真】森の中でただ過ごすだけでNK細胞が増加!

キャンプによる健康効果とは?


■キャンプの驚くべき健康効果

まずひとつめの効果は、NK細胞の活性化。NK細胞とはナチュラルキラー細胞のことで、がん細胞やウイルス感染細胞などを攻撃するリンパ球のこと。加齢によって徐々に減少するナチュラルキラー細胞だが、森の中で2〜4時間過ごすことでナチュラルキラー細胞が40パーセント増大すると言われている。

2つめは、木や葉から放出されているフィトンチッドと呼ばれる目に見えない物質の効果だ。生物の死骸や排せつ物がある森で、腐敗臭がしないのはフィトンチッドのおかげともいわれている。人が森の中で過ごすと、このフィトンチッドの影響で、血液が浄化され、新陳代謝が活発となって老廃物を排出。免疫機能も向上して病気にかかりにくい体作りを助けてくれる。

【写真】森の中でただ過ごすだけでNK細胞が増加!


3つめは、キャンプ時の焚き火のリラックス効果。焚き火には人の呼吸や心拍と同じリズムの「1/fゆらぎ」があり、人はそれを感知すると脳からアルファ波を検出する。1/fゆらぎは、焚き火以外にも、木もれ日や水の流れる音、波の音、風に揺れる木立、雲のながれ、雨の音などからも感じられるといわれ、これらはキャンプで体験できるものばかりだ。

焚き火やろうそくの灯りから「1/fゆらぎ」を感じるのだとか!


そのほか、コルチゾール値の減少(=ストレス軽減)や血圧の低下、交感神経の活動の低下…などさまざまな健康効果が証明されているキャンプ。この秋、出かけない手はない!

■キャンプ初心者が気を付けることは?

キャンプは登山に比べると危険度は低くなるものの、それでも自然相手のレジャーなので注意しなければいけないことは多い。そこで気を付けておきたい事項をいくつか紹介しよう。

●子どもから目を離さない

子どものキャンプデビューの一般的な適齢期は3〜5歳といわれている。体力がついて病気になりにくくなり、また食事やトイレもひとりでできるため、親の手がかかりにくくなる年齢だ。ただ、行動範囲が増えて好奇心旺盛になる年齢でもあるため、親は子どもから目を離さないようにしよう。水辺の事故や火の事故など、キャンプには普段の生活とは異なる危険が潜んでいる。川で遊ばせる際はライフジャケットを着用させたり、燃えにくい素材の服を着せたりするのも手だ。

いつもの公園とは違う場所だけにより目を離さないように気を付けたい


●夜の散策は危険!

整備されているキャンプ場とはいえ、周辺の森を夜に散策するのは危険。思いのほか暗いため、方向がわからなくなったり、森の中に棲む危険な生物に気づかなかったり、足元が見えづらく踏み外してケガをしたり…。歩き慣れていない森の中をむやみに散策するのは避けよう。

森の中を夜に散策するのは危険!


●上着や毛布を持参しよう

日中は半袖で過ごせる日でも、夜の冷え込みには要注意!9月半ば以降になると、最低気温が20℃を下回る日もあり、10月以降は太陽が沈むと同時に急激に冷え込んでくる。街中の夜間と山の夜の冷え込み方は異なるので、機能性インナーや上着、ブランケットや毛布を持参していないと“寒くて眠れない”なんてことにも!

●焚き火の後始末

キャンプの醍醐味ともいえる焚き火。楽しんだあとは後片付けまでしっかり行おう。「水を掛ければOKでしょ」と思っていたら大間違い!ベストは最後まで燃やし尽くし、キャンプ場の“灰捨て場”に捨てにいくことだが、もしそれらが不可能だった場合のために“火消し壺”を持参しておき密封して消化するのがおすすめだ。水を掛けるだけでは薪の芯まで消化できていなかった…ということもあるので注意。どうしても水で消化したい場合は、“水を掛ける”のではなく、“1本ずつ水に浸して”消化するようにしよう。

●虫刺されに注意!虫除けグッズの準備を

自然豊かな場所には、普段遭遇しないような虫もいっぱい!テントには虫除けグッズを置いたり、虫除けスプレーを全身に掛けて予防を行おう。背の高い草むらや森の中に入るときは、暑くても長袖長ズボンの着用を!灯りに集まるという虫の習性を生かして、おとりのランタンをテントから離れた位置に置いておくのも手。

半袖だと虫刺されに注意!長袖を必ず持参しよう


■キャンプの初心者あるある!こんな失敗にも気を付けよう

準備万端!と思っていても、初めてのキャンプでは失敗はつきもの。そこで意外と見落としがちな“初心者の失敗あるある”をいくつか紹介しよう。事前に知っておけば防げる失敗なのでぜひ一読を!

●車が入れるか否か

車が入れないキャンプサイトもある。車を横付けできない場合は、荷物はまとめて持ち運べるようにしておかないと、運び入れだけで何度も往復して疲れてしまうことに。

●トイレの場所

意外と盲点なのが、トイレの場所。子連れの場合は、トイレから遠い場所だとなかなか不便。予約前に確認を。

●食材の買い忘れ

キャンプ場は基本的に山深い場所にあるので、最寄りのスーパーまで車で30分以上かかることも。食材の買い忘れなどがないように現地へ向かおう。

●夜の暗さ

想像以上にキャンプ場の夜は暗くて、初心者は驚くことも。ランタンなどの灯りは多めに持って行くほうが無難。

初心者は想像以上に暗くてビックリする


■秋の旅行におすすめ!関東エリアのキャンプ場30選

注意すべき点は多いものの、最近ではキャンプ初心者でも利用しやすいキャンプ場が増えてきた。今回は関東エリアの初心者でも利用しやすいキャンプ場を30カ所セレクト!キャンプによる健康効果に期待しつつ、秋のおでかけ先を選んでみよう。

夏よりも日暮れが早くなるため、星空も美しい


■【東京都】

■江東区立若洲公園キャンプ場

都心でアウトドアを満喫できる施設がこちら。東京湾に面する若洲公園内に位置するため、潮風を感じることも。手ぶらでのキャンプも可能。

■城南島海浜公園キャンプ場

23区内で唯一のオートキャンプ場も備えている施設。人工島の先端に位置し、大パノラマが広がる。車椅子で入場できるボードウォーク、砂遊びや散歩が楽しめる砂浜、スケートボード広場など魅力が満載。

■WOODLAND BOTHY

都内にあるとは思えない隠れたオアシス。大自然が残る里山あきる野市養沢にあり、東京に残された自然を体感できる複合宿泊施設(古民家・グランピング・キャンプサイトあり)。最寄りのバス停や駐車場からは約20分程度の登山が必要だが、登った先には特別な空間が広がっている。

■秋川渓谷リバーティオ

秋川渓谷を望む絶好のロケーション。キャンプ初心者にうれしいコテージを完備している。すぐ近くの河原では釣りを楽しめ、併設されたバ―ベキューハウスでは創業60年を超える松村精肉店厳選の肉が楽しめる。

■氷川キャンプ場

奥多摩駅から徒歩7分の多摩川渓谷沿いに位置する。都心から2時間半で非日常を体験できるキャンプ場だ。川遊びができるのでファミリー層に人気が高い。

■コテージ森林村

木造りのコテージの室内は全棟バス、トイレ、キッチン完備。キャンプファイヤーが楽しめ、雨でも安心バ―ベキューハウスもあるので、初心者におすすめの施設だ。

■【神奈川県】

■長井海の手公園 ソレイユの丘・キャンプ場 The CLIFF CAMP&BBQ

都心から車で約70分の距離にありながら、多彩な施設が充実している自然豊かなキャンプ場。2023年のリニューアルオープンを経て、グランピングコテージ、トレーラーハウスなど多様な宿泊施設も仲間入り。車でそのまま乗り入れられるオートキャンプサイトも 2倍に拡大している。

■PICAさがみ湖

豪華トレーラーハウスからキャンプサイトまでいろいろなタイプの宿泊が可能。園内には日帰りでも満喫できる野外バーベキュー場(ワイルドクッキングガーデン)もあり。

■緑の休暇村 青根キャンプ場

春は桜、夏は川で水遊び、秋には紅葉が楽しめる、裏丹沢山麓の自然に囲まれたキャンプ場。約80組が利用できるフリーサイトのほか、バンガローも70棟備える。また、「いやしの湯」が隣接しているので、遊んだ後は温泉へ。

■みの石滝キャンプ場&相模湖カヌースクール

交通手段は船だけという、まるで離れ島のようなキャンプ場。場内には小川が流れ、吊り橋が設置されている。持込テントのほかバンガローもあり。

■Fun Space 芦ノ湖キャンプ村 レイクサイドヴィラ

箱根芦ノ湖畔で唯一、アウトドア体験できるキャンプスポット。林間学校や企業内研修などといった、様々なシチュエーションに応じた利用も可能だ。

■【千葉県】

■ISUMI Glamping Resort &Spa SOLAS (いすみグランピングリゾート&スパ ソラス)

都心から特急電車で約1時間で着く別天地。自然と共生する北欧スタイルのグランピングリゾート&スパだ。グランピング施設を中心に、キャンプ場も併設。電源付きオートキャンプ6カ所とフリーサイト、レディース専用エリアを設ける。

■農園リゾート THE FARM(ザ ファーム)

大自然を一望できるグランピングエリアや愛犬と一緒に宿泊できるコテージ、農園の中のキャンプサイトのほか、天然温泉やカフェレストランまでそろう。また、野菜収穫やカヌー、ジップライン、火起こしの体験なども充実。

■TACO GLAMP THE MEXICO(タコ グランプ ザ メキシコ)

グランピングとオートキャンプ場が併設されたメキシカンテイストのリゾート施設。廃校となった旧常磐小学校を活用しており、屋根付きバーベキューハウスではメキシカンバーベキューのディナーを楽しむことも。

■WILDBEACH 木更津(ワイルド ビーチ木更津)

手軽にキャンプやバーベキューが楽しめるように素泊まりプランや手ぶらプランも完備しているグランピング施設。22種類の異なるデザインから好みの部屋が選べる。

■マザー牧場オートキャンプ場

動物とふれあえるマザー牧場隣接のキャンプ場。広大な敷地を生かしたフリーサイトとなっており、華美な設備は省き、炊事棟、トイレ、シャワーなどのみと本格派だ。非日常で贅沢な宿泊体験ができる「マザー牧場グランピング」もある。

■シーサイドテラス千葉鴨川

温暖な海洋性気候に恵まれた房総のリゾート、千葉県鴨川市にある複合型リゾート施設。全4棟のドーム型テントグランピング、全2棟のプライベートヴィラを備える。

■九十九里オートキャンプ場 太陽と海

九十九里海岸の最東端に位置し、太平洋を望む解放感あふれるキャンプ場。リゾート気分が味わえ、女性客からも人気。

■【埼玉県】

■長瀞オートキャンプ場

荒川沿いにある広大なオートキャンプ場。キャンプサイトは70区画あり、充実の施設と豊富な自然が魅力のキャンプ場だ。グランピング用バンガローも人気が高い。

■ウォーターパーク長瀞

荒川の清流に面し、ライン下りが楽しめるキャンプ場。秋から春にかけては、フィッシングエリア(管理釣り場)がオープンするので、釣りも楽しめる。

■【群馬県】

■OZE-HOSHISORA GLAMPING&CAMP RESORT

日本最大の山岳湿原のある尾瀬国立公園の玄関口に位置するグランピング&キャンプ施設。白樺に囲まれたフリーテントサイトは全部で約50サイト。夜には満天の星が広がり、朝陽とともに目覚める非日常体験を楽しむことができる。

■丸沼高原CAMPING VALLEY (キャンピングバレイ)

ゲレンデを利用したキャンプ場で、広々と気持ちのいい景観の中でキャンプを楽しむことができる(冬季はスキー場となる)。サウナ付きの温泉施設も利用でき、ツリーアドベンチャーやサマーリュージュなどのアクティビティを楽しむことも可能。

■北軽井沢スウィートグラス

浅間高原北麓にあるキャンプ場で、初心者も安心の充実の施設が魅力。非日常を楽しめるツリーハウスタイプのキャビンなども魅力的。予約制のお風呂「薪焚の湯」もあり。

■榛名湖オートキャンプ場

榛名湖にほど近い緑豊かな森の中に位置し、キッズスペースも完備。日本オートキャンプ協会から4つ星評価を受けているキャンプ場だ。オートキャンプ場だが、レンタル品も豊富に取りそろえられている。

■みなかみアウトドア・ログ&オートキャンプ場

ラフティングやキャニオニング、レイクカヌー、バンジージャンプなど野外アクティビティのお得なアウトドアツアーパックも用意されている。テントや寝袋、調理器具などのレンタルグッズも充実。

■無印良品カンパーニャ嬬恋キャンプ場

自然をそのまま活かし、環境と同化することをコンセプトに運営。標高1300メートルの高原にあり、日本百名山の浅間山、四阿山、草津白根山の三山が一望できる。

■【栃木県】

■森と星空のキャンプヴィレッジ

モビリティリゾートもてぎ内にあるキャンプ場。夜は、ホテルシェフ監修食材のアメリカンスタイルのバーベキューを味わいながら非日常体験を。週末は星のナビゲーターによる星空観察も開催。5種類28サイトのグランピングに加え、ログキャビンやフリーサイトもそろう。

■RECAMP足利(松田川ダムふれあい広場)

松田川ダムを中心に様々な施設が一体化し、リバーサイドエリアとレイクサイドエリアがあるキャンプ場。夜間は幻想的なライトアップが楽しめる。

■ナラ入沢渓流釣りキャンプ場

栃木県と福島県境にある、ナラ入沢の秘境を満喫できるキャンプ場。100サイトのオートキャンプとバンガローのほか、貸しテント、バーベキュー場の設備がある。

■キャンプ・アンド・キャビンズ那須高原

「こどもにきゃんぷ」がテーマのキャンプ場。子どもを飽きさせないイベントや、家族やペットにやさしい工夫で楽しませてくれ、子連れのリピーターがとても多い。

■鬼怒川温泉オートキャンプ場

鬼怒川の河川遊歩道沿いの高台に位置するキャンプ場。目の前に流れる川では水遊びが楽しめ、釣り堀ではブランド鱒の「頂鱒」釣りが楽しめる。また、場内には天然温泉「上滝乃湯」も。

さわやかな風を感じて、家族でリフレッシュしよう


都心からちょっと足を伸ばすだけで、非日常空間へ。夏の暑さも和らぎ、過ごしやすい季候となってきた昨今、外の空気をたっぷり吸い込んでリフレッシュしよう。

取材・文=大庭かおり