内田慈(うちだ ちか)さん
4月期の『9ボーダー』(TBS)の会計事務所の事務員・久美子さんに、『Re:リベンジ-欲望の果てに-』(フジテレビ)の岡田医師など、さまざまな役を演じ分けながら、顔を見ないことがない俳優・内田慈(うちだ ちか)さん(41歳)。

現在も映画2本が公開され、公演中の舞台も抱える内田さん自身の素顔とは? 年齢を重ねるにつれ「お母さん役」が増えていく日本のエンタメ界の実情などを直撃すると、内田さん自身が7年前に結婚した当初に覚えた違和感を語ってくれました。

◆演劇を始めたのは「大人計画」松尾スズキに会いたかったから

――現在、映画やドラマ、舞台と引っ張りだこですが、もともとは大人計画主宰の松尾スズキさんに会いたかったのが、俳優を目指したきっかけだとか。

内田慈さん(以下、内田)「松尾さんの舞台のあるシーンの映像をテレビで観たんです。ものすごく強烈に引き付けられて、そこから松尾さんのことを雑誌などで追うようになりました。彼に会いたくて、そのためには演劇界に入るしかないと、演劇を始めたんです。大人計画の準劇団員オーディションなども2〜3回受けたんですけど、書類で落ちました」
(※現在内田さんは、松尾さん作、演出の舞台『ふくすけ2024−歌舞伎町黙示録−』に出演中)

――そうなんですか。

内田「自分には何もないから、何か個性的なアピールをしなきゃいけないと思って、妙なプロフィールを作っていたような気がします(苦笑)。のちのち松尾さんのインタビューを読んでいたら“そういうことじゃない”とおっしゃってました。まあ、落ちた実際の理由は分からないですけど。

もともと歌ったり踊ったりは好きでしたし、一番憧れた人にすぐ近づけなかったので、あの演劇も面白い、この芝居も面白いとやっていくうち、いろんな角度から演劇に触れることができました(※内田さんは特定の劇団に所属せずに活動)。テレビではできないビックリするような表現・キレイもキタナイも同じ土俵にあるような表現に惹き込まれて、とにかく小劇場自体に興味があったんです。俳優になりたい、とかでなく」

◆基本7キロ!体力に衰えを感じて走り始めた

――いまではキャリア20年超えです。俳優さんは体が資本だと思いますが、40代に入ってより気を付けていることや、なにか感じている変化はありますか?

内田「体力の変化は、30代半ばを過ぎたくらいで初めて感じました。舞台で大役をもらって、ほかにもやることがいろいろ多かった時期だったのですが、全然体力が持たなかったんです。“体力だけは自信があったのに、いつの間に私こんなに体力がなくなったんだろう”と、慌てて走り出しました」

――走り出した。

内田「はい。いま一番大事にしているのは走ることです。体力維持と、あと脳の活性化と、肌の細胞の循環にも良い感じ。

俳優は体が資本だと言っていただきましたけど、屋内で一日机に向かうような日もあるんです。台本を読んだり、コメントを書いたり。煮詰まったときなんかも"もうやだ!"と走ると、急に脳が回って感覚が鋭くなる。近くに公園があるので、そこで基本7キロ」

――7キロ!!

内田「もともと中学時代にマラソンをやってたんです。文化部だったんですけど、マラソン大会に出たら成績がよくて、朝練と大会だけ出てくれと言われて出てました。朝練がきつくてやめちゃいましたけど(苦笑)。

でも今は走るの嫌いじゃないですね。7キロの最後に“もう無理!”ってくらい追い込んで終わらせるんです。そうやって限界と立ち向かうことに慣れておくと、日々ラクになります。これを頑張れたんだから、たとえば次、撮影が朝から晩あったとしても大丈夫だと。思考のクセをつけられるんです」