「HAJIME」「ジョエル・ロブション」三つ星シェフがサポート!世界一を目指す若き料理人:ガイアの夜明け
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2025年に開催されるフランス料理の世界大会に向けて闘い続ける料理人に密着。日本人初優勝を目指す姿を追う。一方、大阪でさまざまな飲食店を経営する企業が、高級冷凍食品を武器に世界へ! ニッポンの食は世界で勝てるのか? その真価を問う。
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目指すは世界一!若き日本代表の挑戦
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東京・丸の内。高層ビルの35階にある高級レストラン「サンス・エ・サヴール」は、南フランスの料理が中心で、特に女性に人気。副料理長の貝沼竜弥さん(30)は、2年に一度、フランス・リヨンで開催される世界大会「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」日本代表の座をつかみ取った。大会では、世界各国の予選を勝ち抜いた新進気鋭の料理人たちと競い合う。
1987年に始まり、20回開催された大会だが、日本がメダルを取ったのは、2013年に3位になった一度きり。この“美食のワールドカップ”で優勝することが、日本フランス料理界の悲願だ。
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3月。大会に向けて初めての試作会が開かれた。本番では、緻密な調理技術が要求される。貝沼さんが作るのは伝統的なフランス料理「スズキのパイ包み」で、手の込んだ飾りを加え、現代風にアレンジ。付け合せの西洋葱のフランには、タマネギを焼き上げた飾りを添える。
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試食するのは、ミシュラン三つ星を持つ2人のシェフ。「ジョエル・ロブション」総料理長で、フランス料理界最高峰の称号を持つ関谷健一朗さんと、レストラン「HAJIME」のオーナーシェフ・米田肇さんだ。しかし、試食した2人は、早々とナイフとフォークを置いた。「本当にうまいと思って作ったのか。見た目はオシャレで構成力があるように見えるが、 食べても心に響かない」(米田さん)。アドバイスを受けた貝沼さんは、「迷いがそのまま出た」と本音を漏らす。
大会では、毎回課題となる食材が異なる。5時間半という制限時間の中で、大皿盛りと15人分の前菜・メイン・デザートを作らなければならない。
米田さんは前回の大会で初めて審査員を務め、世界と日本の実力差を目の当たりにした。結果は、デンマークが3度目の優勝を飾り、2位はノルウェー、3位はハンガリー、本場フランスは5位で、日本は24カ国中12位。米田さんは、デンマークが作った料理は、見た目の美しさから味わいまで、あらゆる点で三つ星レベルだったと言う。
日本が苦戦する理由について、米田さんは、「(練習のための)費用も自分のお店から出さなければいけないので、練習時間が少ない。海外は、政府が『1年休業してください』とお金を出してくれるので、ずっと練習ができる。そういうところが全然違う」と話す。
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5月中旬、2回目の試作会が開かれた。貝沼さんが挑戦するのは、フランス料理の定番・ローストチキン。前回は見た目にこだわり過ぎたため基本に立ち返り、素材の味を生かすことにした。付け合せは、野菜を中心としたサラダ。ほうれん草のピューレを葉っぱの形にして油でさっと揚げた後、型に挟んで成型すると、本物の葉っぱのように。それを器にして、ミントや大葉などを切って盛り付ける。おいしさとともに、香りにもこだわった料理だ。
試食した米田さんは、「(鶏肉の)火入れはいいと思う」と感想を。しかし、付け合せのサラダについては、「もっとおいしくできる。香りの強い野菜がちょっとあっていい。切ってそのまま入れるだけでもいい」とアドバイスし、自ら作って見せる。
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甘くスパイシーな香りのフェンネル(ウイキョウ)を2.5ミリ角に切り、すだちを加える。食べ比べてみると、貝沼さんは「全然違う」と納得した表情に。料理をあらゆる面から突き詰めていかなければ、大会で優勝を狙うことはできない。
貝沼さんは、地元新潟の調理師専門学校を出てこの世界へ。2年前、国内予選で先輩・石井友之さんのアシスタントを務め、見事石井さんが日本代表の座を獲得。日の丸を背負って戦う姿に感銘し、自分も同じ舞台に立ちたいと思うようになった。
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そして今回、国内予選にエントリー。決勝での課題は「ズワイガニ」「ヒラメ」「ハーブ」で、繊細さと大胆なアレンジが圧倒的な評価を受け、日本代表に選ばれた。
日本は悲願の優勝を手にするため、貝沼さんをサポートする最強のチームジャパンを結成。米田さんだけでなく、2013年の大会で日本歴代最高位の3位を取り、現在は星野リゾート「星のや」総料理長を務める浜田統之さんもサポート。先輩の石井さんも、貝沼さんの試作開発を手伝う。若手とレジェンドたちが一丸となって、世界に挑むのだ。
5月下旬。貝沼さんは、米田さんのレストラン「HAJIME」(大阪市)で5日間の研修を受けることに。サポートする米田さんは、異色の経歴をたどっている。
理系の大学を卒業後、コンピューター関連の仕事に就くものの、子どもの頃からの夢を諦めきれず、26歳で料理の世界へ。30歳からフランスの星付きレストランで修業を積んだ後、2008年に「HAJIME」をオープン。わずか1年5カ月、世界最速でミシュラン最高峰の三つ星を獲得した。
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ミシュランガイドには「イノベーティブ(革新的な料理)」と記され、16品からなるコース料理は、自然をテーマにしている。五感に訴え、食べる人を感動させる料理で、客の9割は外国人。この店を目当てに日本を訪れる人もいる。
世界から注目される店で、覚悟の研修。貝沼さんは、何をつかみ取るのか――。
ニッポンの本物の味を“冷凍”で世界へ!
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「りんくうプレジャータウン シークル」(大阪・泉佐野市)内にある「河内らーめん 喜神」。客の7割が外国人観光客で、一番人気は天ぷらとラーメンを合体させた「大海老の天賦らーめん(超特上)」。大海老の天ぷらが5本も入って一杯2838円だ。観光客は「1回でラーメンと天ぷらを味わえるので便利」と笑顔で話す。
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奇抜なアイデアを考えたのは、この店を経営する「きらく」の専務・辻野太郎さん(42)。関西に9業態、75店舗を構える「きらく」は、食い倒れの街で生き抜いてきた実力店がそろい、年商は約60億円。地元の人から愛され続けている。
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1972年、辻野専務の祖父母が創業し、一軒の食堂から始まった「きらく」。5人の兄弟たちが跡を継ぎ、現在の会長、社長など、幹部を務めている。5人兄弟それぞれの長男も入社している同族企業だ。
辻野専務は証券会社を経て25歳で入社。ラーメン店の店長を皮切りにヒットメニューや新業態を次々と成功させてきたが、ここへきて、海外への事業展開を考えていた。
日本の飲食店が海外に出店しても、品質やコストの管理がうまくいかず、撤退する例が後を絶たない。そのため「きらく」は海外には見向きもせず、国内で堅実な経営を選んできた。しかし今、辻野専務は危機感を抱いている。
「日本は人口がどんどん減っていく。その中でレストランをやり続けると、売り方によっては客数が減ってしまう。日本で作ったものを、どんどん海外に輸出していく事を考え、メードインジャパンの食を世界中に届けたい」。辻野専務は、「きらく」が飛躍するためには、海外にも目を向ける必要があると力説する。
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辻野専務が去年オープンさせた新たな店舗「フローズンドア」は、「きらく」の系列店の人気メニュー40種類を冷凍食品にして販売。一般的な冷凍食品に比べて割高だが、全てのメニューが手作りで、チャーハンも中華店の厨房で働く料理人が作っている。味や商品に自信があるのだ。
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東京・港区にある「青山グランドホテル」は、特に外国人観光客に人気が高い高級ホテル。宿泊客は、部屋からタブレットでルームサービスをオーダーできる。
「きつねうどん」と「から揚げ」をオーダーすると、従業員が向かったのは「フローズンドア」の冷凍食品が並ぶ冷凍庫。客はホテルにいながらにして、店と同じクオリティーの料理を味わうことができる。
「(海外に)出店すると、“働き手がいない。冷凍というアプローチを使えば、スタッフの雇用を守りながら世界中にお届けすることが可能」。辻野専務は、高品質の冷凍食品を輸出することで、“ニッポンの本物の味”を世界に届けたいと考えている。
そんな辻野専務のもとに、3カ月分の予約が5分で埋まる人気店「鮨 郄橋謙太郎」から“ある依頼”が届く。
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