Image: NASA|Boeing社は2019年と2022年に、ISSへの無人飛行を実施しました

先日、Boeing(ボーイング)社の新型宇宙船「スターライナー」による、初の有人飛行試験の打ち上げが延期になりました。宇宙飛行士を乗せて国際宇宙ステーション(ISS)に向かう同ミッションの再打ち上げは、現地時間6月1日以降に予定されています。

NASAは1958年から存在しているにもかかわらず、同局の宇宙飛行士たちを宇宙へ輸送したことのある宇宙船は選ばれたごく少数のみ。Boeing社の宇宙船「スターライナー」も、ISSへのドッキングと宇宙飛行士たちの輸送に成功すれば、その限られたグループに仲間入りできるのです。

これまでにNASAの宇宙飛行士を乗せて飛行、または近々飛行する予定の有人宇宙船をまとめました。

マーキュリー宇宙船

Photo: NASA

2961年5月5日、マーキュリー宇宙船に乗っていたアラン・シェパードは、宇宙に行った初めてのアメリカ人宇宙飛行士となりました。15分間の弾道飛行はNASAが慎重に踏み出した宇宙への一歩で、その主な目標は宇宙環境での人類の能力を評価して宇宙飛行士を安全に地球に帰還させることでした。

アメリカ初の有人宇宙飛行計画であるマーキュリー計画は1958年から1963年にかけて実施されました。上の写真では同計画のジョン・H・グレン・ジュニア宇宙飛行士が、1962年2月20日の打ち上げを前にマーキュリー宇宙船「フレンドシップ7」に乗り込んでいます。グレンは5時間弱のフライトで、地球周回軌道を飛行した初めての米国人宇宙飛行士になりました。

フライトは耐熱シールドに問題があると示すセンサーの異常によって切り上げられたものの、彼は3周の飛行を終えてから無事に地球に戻っています。

ジェミニ宇宙船

Photo: NASA

軌道宇宙空間を体験した宇宙飛行士たちは、今度は月に向けての訓練をすることに。ジェミニ計画は、マーキュリー計画とアポロ計画との橋渡しの役目を果たしました。

NASAはジェミニ計画では、軌道上での有人宇宙船2機によるランデブーを成し遂げました。この写真は1965年12月15日に撮影され、地上から258km上空にいる有人宇宙船「ジェミニ7号」のハッチ窓越しに「ジェミニ6-A号」が見えます。

宇宙飛行士1人が何とか収まるほどの広さしかなかったマーキュリー宇宙船とは異なり、ジェミニ宇宙船の定員は2名でした。ミッションを通して、宇宙飛行士たちは軌道変更でき、船外活動を行ない、少なくとも2週間は宇宙に滞在できたのです。

アポロ司令・機械船

Photo: NASA

1969年7月20日、NASAのニール・アームストロング宇宙飛行士とエドウィン・“バズ”・オルドリン宇宙飛行士が史上初めて月面に降り立った人になりました。

「コロンビア」と名付けられたアポロ司令・機械船(CSM)は搭乗したアポロ11号のクルーを、月周回軌道へと輸送。そこから前述の2名は月面へのタッチダウンに使う月着陸船(LM)に乗り込み、司令船操縦士のマイケル・コリンズは軌道上のCSMに留まりました。LMは7月21日に月を離陸し、そしてクルーは3日後に地球に帰還しています。

ですからNASAは、このミッションでCSMとLMという2つの有人宇宙船を活用したとも言えます。とはいえ、後者は宇宙飛行士たちを月面から宇宙空間に戻しただけでした。

上の写真が撮影されたのは1972年12月14日。アポロ17号の宇宙飛行士ロナルド・エヴァンスが操縦していたCSMの姿を、ユージン・サーナンとハリソン・シュミットが搭乗していたLMから捉えています。

スペースシャトル

Photo: NASA

NASAを象徴するスペースシャトルの時代は30年間に及び、1981年から2011年まで運用されました。部分的に再利用できた地球低軌道向けの宇宙船は計135回打ち上げられ、宇宙飛行士を軌道に運ぶだけでなく、宇宙空間でのハードウェアの修理や地球の軌道上で最も大きい人工物ISSの建設も支えたのです。

スペースシャトルはNASAが宇宙にアクセスする機会を増やしただけでなく、宇宙飛行における新時代をもたらしました。上の写真は2011年3月7日に分離した後の、ISSから見たスペースシャトル「ディスカバリー号」。

ソユーズ宇宙船

Photo: NASA

スペースシャトルの退役を受けて、NASAはISSへの宇宙飛行士の輸送にはロシアの宇宙船「ソユーズ」に大きく依存するようになりました。ソビエト連邦の宇宙計画のために設計されたソユーズは、1960年代から現役です。このまとめに掲載されている他の有人宇宙船と違って、こちらはNASAが開発や援助をした宇宙船ではありませんが、取り上げるにふさわしいでしょう。

同宇宙船はカザフスタン共和国から打ち上げられ、6時間ほどでISSに到着します。ロシアの宇宙機関「ロスコスモス」との座席交換を行なう協定があるため、今でもNASA宇宙飛行士がソユーズに搭乗する姿を目にすることがあります。

SpaceX社のクルードラゴン宇宙船

Photo: NASA

ISSへの輸送にソユーズに頼りすぎるのをやめる必要があったNASAは、民間企業と宇宙飛行士を宇宙に輸送するためのパートナーシップを結びました。

その当時SpaceXが獲得したNASAとの契約は、26億ドル(約4080億円)と価格の高くないほうの提案でした。よい実績のあるボーイング社の方がより確実な企業だと見なされていたからです。それから物事は激変したと言っても過言ではありません。SpaceXが2024年3月にISSへの8回目の商業乗員輸送プログラムを打ち上げたのに対し、もう一方はかなり後れを取っています。

SpaceXの宇宙船「ドラゴン」は地球軌道への往復に最大7名の乗員を搭乗でき、全長は8m。地球の大気圏再突入後に安定させるためのドローグ・パラシュート2つと、洋上着水の前に速度を落とすためのメイン・パラシュート4つが備わっています。

BoeingのCST-100 スターライナー

Photo: NASA

42億ドルを獲得していたボーイング社のスターライナーには、苦難の道が続きました。今度の有人飛行実証試験でNASAの宇宙飛行士2名を乗せる準備ができていても、まだ有人宇宙船ではありません。

2010年に考え出されたCST-100 スターライナーは、アポロ計画の宇宙船を設計し開発してきた長いレガシーの上に築かれました。宇宙船の直径は4.5mで最大7名の宇宙飛行士を乗せることができ、大きさはドラゴン有人宇宙船と同じぐらい。しかしSpaceXのドラゴン宇宙船とは異なり、スターライナーにはタッチスクリーンとともに昔ながらの手動のコントローラーとスイッチがあるそう。

有人飛行試験(CFT)ではNASAのバリー・“ブッチ”・ウィルモア宇宙飛行士とスニータ・ウィリアムズ宇宙飛行士が搭乗します。

オリオン

Photo: NASA

宇宙飛行士に月面着陸させる準備を進めるNASAは、次世代の探査者を月の軌道へと輸送する有人宇宙船を開発しました。実際に宇宙飛行士を乗せた状態でのミッションはまだ実施していませんが、その任務に臨む準備は整っています。

宇宙船「オリオン」は最大4名の宇宙飛行士を地球軌道以遠へと運べるよう設計されていて、乗員は21日間滞在できます。

オリオンは2022年末の無人試験飛行「アルテミス1」で既に月周回の旅をしており、現在は2025年9月に実施予定の初の有人飛行、待望のアルテミス2ミッションに向けて準備中です。とはいえ、同宇宙船には耐熱シールドなど次のミッションを危うくしかねない未解決の安全性に関する問題がまだいくつか存在している状況です。

Source: NASA(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7,), National Air and Space Museum(1, 2,), NASA Space Science Data Coordinated Archive, Vox, ESA, SpaceX, Boeing, The Globe and Mail,

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