コンピューター用プロダクトを取り扱うドイツの製造会社「Machdyne」が2024年5月15日に、200年以上のデータ保存が可能な容量8KBのUSBストレージデバイス「Blaustahl Storage Device」をリリースしました。

Blaustahl Storage Device - Machdyne

https://machdyne.com/product/blaustahl-storage-device/

Blaustahl USB storage device features 8KB FRAM with up to 200 years of data retention - CNX Software

https://www.cnx-software.com/2024/05/15/blaustahl-usb-storage-device-8kb-fram-200-years-data-retention/



This USB flash drive can only store 8KB of data, but will last you 200 years | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/pc-components/usb-flash-drives/this-usb-flash-drive-can-only-store-8kb-of-data-but-will-last-you-200-years

一般的なUSBメモリやSSD、メモリーカードなどで使われるNAND型フラッシュメモリは、安価に大容量化することが可能な一方で書き換え回数に上限があり、データ保持期間も16年から20年と比較的短いといわれています。また、ルーターやプリンター、デジタルカメラの内蔵ストレージなどで用いられるNOR型フラッシュメモリでも、データを保持できるのは「55度環境で最大20年」だとのこと。データ保持期間を過ぎると、もちろん保存したデータが消えてしまうおそれがあります。さらに、EEPROMは55度で100〜200年のデータ保持が可能ですが、書き込み時間が長くなるほか、書き込み回数の上限が比較的少なくなります。

一方で、強誘電体メモリ(FeRAM)と呼ばれる不揮発性メモリは、従来のフラッシュメモリと比べて高速書き込みや高書き換え回数、低消費電力の点で優れています。このFeRAMを採用したUSBメモリが「Blaustahl Storage Device」です。

Blaustahl Storage Deviceは8KBのFeRAMを搭載しており、EEPROMやNOR型フラッシュメモリと異なり、電力消費量を極限まで抑えつつ、高速な書き込みと100億回もの読み取り・書き込みサイクルに耐えうる高い耐久性を実現することが可能です。

Machdyneによると、FeRAMを備えたBlaustahl Storage Deviceは、35℃の環境ならば200年以上データを保持することが可能とのこと。



わずか8KBの容量しかないBlaustahl Storage Deviceは、約8000文字、原稿用紙4ページ分のデータしか保存できませんが、Machdyneは、パスワードの保存や仮想通貨の秘密鍵の保管、メモ・リストの保存、ジオキャッシングデータの保管、タイムカプセル、FRAMの開発などユースケースを挙げています。

またBlaustahl Storage DeviceにはRaspberry Pi RP2040マイコンチップのほか、ファームウェア用の4MBのNOR型フラッシュメモリも搭載されており、さまざまなセキュアストレージアプリケーションに導入することができます。

その他、PuTTYやTeraTermなどのVT100エミュレーションをサポートするシリアル通信プログラムからアクセスできるテキストエディタが組み込まれています。



加えてMachdyneは今後のファームウェアアップデートで、デバイスのセキュリティをさらに強化する暗号化機能を追加する予定であることを報告しています。

Blaustahl Storage Deviceの価格は29.95ユーロ(約5075円)です。なお、MachdyneはGitHub上でBlaustahl Storage Deviceの回路図や設計図、ファームウェアを公開しており、ユーザーはニーズに合わせてデバイスの改造などを行うことも可能です。

GitHub - machdyne/blaustahl: Blaustahl Storage Device

https://github.com/machdyne/blaustahl/