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【第1話】から読む。

前回からの続き。私(ヨウコ)には娘が2人います。長女のミユキ(28歳)と次女のアヤ(21歳)です。10年前に夫に先立たれてからは、女手ひとつで娘たちを育ててきました。現在は2人とも自立し、ミユキは結婚して子どももおり、アヤは就職してひとり暮らしです。しかしある日アヤに年末年始の予定を聞くと「帰省しない」と言い出しました。そして私が叱ると「娘をやめる」とまで……! きっと実家を出て、周りの人たちから悪い影響を受けたのでしょう。私はアヤを一刻も早く連れ戻そうと思ったのでした。

仕事を休めるタイミングを見計らい、大きなボストンバッグに数泊分の荷物を詰めて、家を出ようとしました。しかし玄関で靴を履こうとすると、ふと疑問が浮かびます。



私は別に悪くありません。あの子がただ親不孝なだけです。それなのに、こんな仕打ち……。むしろ「娘をやめる」なんて言われないといけない自分が可哀相なくらいです。そう思うと、だんだんアヤのことが憎らしくなってきました。



何となく気持ちがスッキリしてきます。こっちこそあんたの母親、やめてやるわよ……。履きかけた靴をもう一度脱ぎ、家に上がろうとすると「ピーンポーン」とインターホンが鳴ります。ほら、さっそくアヤの方から頭を下げて謝りにきた……。私は訪問者を確認せずに玄関ドアを開けてしまいました。



そこにはお隣の家のユリさんがいました。私が結婚してここへ越してきた当時からの付き合いの友人です。ユリさんの娘さんとアヤが同級生という縁もあります。私はユリさんに家へ上がってもらい、アヤとの一連のやりとりを話しました。



「でも、もう吹っ切れているからいいんだけどね。だって向こうから絶縁宣言してきたんだもん。上等よ。こっちも二度と連絡するものですか」「そ……そんなに簡単に割り切れるものなの……?」「いいのいいの! 私にはミユキもいるし、孫たちもいるんだから」



アヤから「娘をやめる」と言われたときはショックでした。アヤの周囲に何か悪影響を及ぼす存在がいるのかもしれないと心配にもなりました。けれどアヤの元にいざ向かおうとしたとき、ふと「なぜ私がこんなことを……?」と冷静になったのです。勝手に絶縁を言い渡してきたのはアヤの方です。いずれ私にそんな口をきいたことを深く後悔する日がくればいい……。別にアヤがいなくても、ミユキや孫たちがいてくれれば私は幸せです。けれどそんな私の考え方やふるまいが、今回の出来事の原因だとお隣のユリさんは言ったのです。私はその意味をすぐに理解することができませんでした。

【第8話】へ続く。

原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子