『新空港占拠』©︎日本テレビ

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 櫻井翔主演のドラマ『新空港占拠』(日本テレビ系)第7話は、獣たちが追う「山猫」の正体が北見議員(手塚とおる)だと明らかになったが、真の「山猫」が他に存在することが判明。ジェシー演じる新見大河の暴走など、まだまだ予期せぬ展開が続き視聴者を混乱の渦に巻き込んでいる。第7話を振り返り、山猫の正体や大河の行動を考察したい。

参考:『新空港占拠』公式が考察班を挑発? 山猫が“盲点だったある人質”の可能性が急浮上

■北見が獣たちに“首吊りの拷問”にかけられた意味

 第7話では、龍/悠月(高橋メアリージュン)から主人公・神奈川県警捜査一課の武蔵三郎(櫻井翔)に、「全ての嘘の大元である山猫の正体を暴くこと」という指令が与えられた。それができないと人質全員が爆死することに。

 まず、拘置所にいる大和耕一(菊池風磨)が、蛇/駿河紗季(宮本茉由)に“山猫113空港来”と暗号を送ったことについて。大和がなぜ山猫が1月13日に空港に来ることを知っていたかを聞き出すために、本床警部補(瀧内公美)は1人で面会した。

 北見の秘書・茂木忠信は、7カ月前に北見と共に逮捕されていた。北見は保釈中に逃亡したが、茂木は大和のいる拘置所の3号棟に残された。そこに駿河が面会に来たのは、茂木から情報を引き出すよう大和に頼みにきたためだと本庄は推測した。

 一方、茂木は2024年1月6日に拘置所で首吊り自殺していることから、山猫の権力によって消されたと想像できる。北見が獣たちに首吊りの拷問にかけられたのはこれが理由か。

■北見はおそらく“真の山猫”ではない

 80年代に陸奥建設を設立し、政界や財界に力を持っていた陸奥哲夫。彼が、自分が裏に回った方が動きやすいと表舞台から姿を消し、コードネーム「山猫」として呼ばせていた。代わりに表に立ったのが当時20代だった友人の北見で、山猫と有力者の間に立つ窓口となっていた。だが陸奥は10年前に病死。そして陸奥の後を継いだ人間がいる。それを世間に知らしめるのが獣たちの目的だ。また、蛇/駿河と龍/悠月(高橋メアリージュン)は双子だということも大和の発言から判明した。

 初代山猫の陸奥が最後に政財界に関わったのは、首都圏に第3の空港が必要性を訴える目的で、かながわ新空港促進協議会を発足。この協議会は、経産省、資源エネルギー庁などの官僚、政治家、経済団体など150を超える団体で構成された。リストの中の官僚に、北見の国外逃亡を計画した米沢弁護士(長田成哉)が過去に逃亡させた人物が載っていることからも、単純に空港建設だけに止まらない集まりなのが分かる。

 現会長は横浜ベイサイドホテルの丸亀洋一。開港日の14日に総会が行われる予定だった。神奈川県警警備部長である大久保豊輔(生津徹)が和泉さくら管理官(ソニン)指揮官を戻した後、部下に「本来の職務に戻るだけだ。会場の変更は?」「既に手配済みです」という会話はこのことだろう。ここに山猫が出席する予定だったのか?

 そして武蔵が、かながわ新空港社長の天童美香(黒沢あすか)に山猫の正体が分かる場所に案内させ、隠しカメラの映像から北見は窓口のふりをし架空の山猫を作りあげ利用していたことが判明。北見も「俺が山猫だ」と認める。ただ、この言い方がどこか演技チックで、本物の山猫の存在を隠そうとしているようにも聞こえる。誰かを庇っているのか。さらに大河を追っていた警官の綾部(吉田健悟)は、北見の養子だということが判明し、北見を崇拝して手足となっていた。

 逆にもし北見が誰かを庇って山猫と名乗っているのなら、他に養子にした子が真の山猫という可能性も。獣たちのアジトにある北見の写真には既に山猫と記されていて、北見が人質になっているにもかかわらず龍/悠月が「絶対に逃がさない、山猫」と言っていることからも、北見が真の山猫ではないと思っているはず。

■黒幕は武蔵の姉・二葉である可能性

 一方、鼠/新見大河だが、ある場所から手に入れたデータに「Mプロジェクト」というPDFファイルがあった。おそらく陸奥のM。ファイルを開くと「2014年に地下500mで発見」「2018年に採取に成功」「2030年以降に実用化を目指す」と記されている。これが第1話で北見が見ていたポスターや、劇中で度々映り込むクリーンエネルギーのことだろう。2014年は陸奥が亡くなった年、2018年は空港建設反対運動のリーダー格である漁師の浜松功が殺された百首事件が起きた年だ。推測するに、空港建設は地下資源採掘のカモフラージュで、空港を建ててしまえば、周囲を占拠し、漁業権を訴える漁師たちから邪魔されず、また海水汚染の問題なども内密にしやすくなるのだろう。初代山猫は最初から資源を狙っていたのか、それとも純粋に空港建設をしたかったのか。ただ2代目山猫は、当初から資源開発を目論み、下手すると初代山猫を殺していてもおかしくない。

 そして、ここに武蔵兄姉が関わってくるはずだ。30年前の12月24日に失踪した武蔵の兄・健一は横浜市役所土木事務所勤務の職員であり、姉の二葉(奥貫薫)は神奈川県議会議員で、警察のデータに「主なる議員活動として環境問題が中心である。環境問題・クリーンエネルギー開発に関する条例案を中心に活動している」と記されている。二葉は開発推進派なのか、それとも開発側にとって煙たい存在なのか。

 北見が第1話で二葉を見た時、ばつが悪そうに顔を背けた。当初は北見とバレたくないからだと思ったが、バレてからも二葉は大したリアクションをしていない。顔を背けたのは、北見が一方的に敵対心を抱いているだけか、健一を殺した気まずさか。ただ二葉がエネルギー関係で活動しているのなら、さすがに陸奥のことは知っているはずで、良い意味で陸奥の意志を引き継いでいてもおかしくないく、山猫の権力だけを勝手に利用しているから北見はヤバいと顔を背けたのか。大河がCのファイルを開くと、北見ではない真の山猫の姿を見つけるが、それが二葉の可能性は否定できない。

■なぜ百花の手術は後回しにされたのか?

 さて、鼠/大河が単独行動をとる理由は、龍/悠月が「嘘を認めれば解放し、その後の裁きは社会に委ねる」という考えに対し、大河は「解放しないでその場で殺せばいい」と、復讐の方向性の違いでチームから離れた様子。龍/悠月は言う「私たちも獣、でもケダモノまで落ちるつもりはない」と。とはいえ、鶴田輝幸と鹿野芽衣を爆殺しているのだが。そして第7話では暴走し、人質にとっている武蔵の妻・裕子(比嘉愛未)の首に爆弾を仕掛け、「夜明けまでに裕子の罪の暴け」と武蔵に指令を出す。おそらくこれは、大河の姉・百花が自殺未遂の後に病院に運ばれるも、第1話の冒頭にあったように、裕子の上司・棚倉によって手術が後回しにされ亡くなったことへの復讐だろう。

 ただ、後回しにされた理由が、単純に代議士や官僚優先したのではなく、百花は空港を建設した白河組元社長秘書なだけに、口封じをするために、手術をしないよう棚倉に連絡がきていたのかもしれない。第8話では獣側から裏切り者がでるような予告となっていたが、鶏/重原瀬奈(山谷花純)は、親友の百花の復讐の為に動いていたので、百花の弟である大河に付くと思われるし、百花の仇である鶴田(上谷圭吾)と鹿野(秋谷百音)を爆殺したのを見ると、大河と同じイデオロギーを持った人だろう。鶏/重原のお腹の子の父(?)の猿/丹波直樹(岩瀬洋志)も一緒に付いていくと予想。また、牛/掛川瑠美(サーヤ)が百首事件の時に妊娠していたものの、逮捕されたことで流産したというエピソードが語られたが、何か重原の味方になりそうな気もする。

■岩槻と本庄が終盤の鍵を握ることは間違いない

 そして「犬」がまだ登場していないが、武蔵が山猫の正体が分かった際に、駿河宛に「武蔵が山猫の正体を見破った」と通知したメールアカウントが“my5n0x2konE5chan”で、童謡「犬のおまわりさん」の「迷子の迷子の子猫ちゃん」というフレーズにかけて読むことができる。公式サイトのシークレット動画では、情報分析官の岩槻(白石聖)の机が映っていたことからも、岩槻説が有力。同じ分析官の志摩(ぐんぴぃ)は体型的にフード姿の犬のシルエットに合わない。本庄も怪しいのだが、獣ならわざわざ大和と1対1で山猫の話を引き出す必要はなく、既に知っているはず。ただ、大和に聞く前から既に茂木の資料データを持ち込んでいたことから、山猫側の人間の可能性もまだ残っている。それは岩槻も同じで、どっちかだろう。初代山猫が亡くなっているだけに、年齢関係なく誰が山猫でもおかしくない。

 残された人質は、北見、天童、天童の秘書・宇和島(濱津隆之)、そしてなぜかCAの庭瀬美月(結城モエ)。宇和島が健一説や、庭瀬が30歳という設定から同い年の駿河紗季と悠月と三つ子説も。極端な話、和泉だって元はと言えばP2計画のきっかけになった人物で、北見と繋がっていてもおかしくない。登場人物が絞られ、事件の全容がだいたい見えてきたが、山猫と犬はいったい誰なのか。(文=本 手)