付き合いたての土曜夜のお家デート。完璧だったはずなのに、数日後に突然男が振られたワケ
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:麻布十番でひとり暮らしする28歳事務職の女。港区女子なのか判断するために男が取った行動は…
それは、本当に突然のことだった。いつものように沙希と家でご飯を食べていると、突然沙希が神妙な面持ちで箸を置いた。
箸を置く音が、僕たちの間に奇妙に響き渡る。なんだか、嫌な予感がする。
「雄也…」
「は、はい」
胸騒ぎを抑えたくて、僕の声は変に上ずっている。でもそんなこと、沙希には一切関係ないらしい。
「別れたい」
「……冗談だよね?」
「冗談でこんなこと言うわけないでしょ」
今まで聞いたこともないような、冷たい沙希の声。
交際して2ヶ月で、何事もなく順調かと思っていた。それなのに、なぜ彼女は急に「別れたい」と言い始めたのだろうか…。
Q1:最初に女が気がついておくべきだった点は?
沙希とは、大学時代の友人・壮平の紹介で出会った。
壮平と飲むことになり、お互い彼女もいないので誰か呼ぼうと話していたところ、彼が女性を2人呼んでくれたのだ。
その1人が、沙希だった。
「こちら、沙希ちゃん。この前別の飲み会で知り合って。今は…IT系だっけ?」
「うん、そうだよ。初めまして沙希です」
僕に対して会釈をしてくれたので、僕も挨拶を返す。
「初めまして、雄也です」
沙希と初めて会った時から、僕はいいなと思った。沙希もそう思ってくれていたようで、僕たちはこの後連絡を取り合いデートすることになった。そして、二度目のデートで付き合うことになった。
付き合うことになった二度目のデートの時、僕はとても緊張していた。
沙希に喜んでもらいたくて、僕は串に刺さない焼き鳥屋として人気の『鳥焼き 小花』を予約していた。
「沙希って、焼き鳥が好きって言っていたよね?だから今日は焼き鳥にしたよ」
聞いた話をちゃんと覚えておくこと。これはデートの鉄則でもある。
「覚えていてくれたの?嬉しい!焼き鳥って、家だと炭火の美味しさが出ないし、やっぱり外で食べるのに限るよね」
「たしかにな〜。家で焼き鳥はできないか」
「あと中華とかも、絶対外食のほうが美味しいと信じてる。そもそも火力も違うし、プロが作った物のほうがはるかに美味しいのは明確だし」
「麻婆豆腐とかは?」
「家でも作れるかもだけど、レベルが違うでしょ」
「そうなんだ」
僕はあまり料理をしないのでよくわからないけれど、家では麻婆豆腐は作れないらしい。沙希の話を聞きながら、「へぇ、そうなんだ」と思っていた。
「雄也は、食べ物だと何が好きなの?」
「なんでも好きだけど…ベタかもだけど、唐揚げとか?」
「胃が若いね(笑)。他には?」
「あとは焼肉とかかなぁ。沙希は?焼き鳥以外だと何が好きなの?」
「私はお鮨かな」
「鮨もいいよね」
見た目も華やかで美味しい「手羽元とキンカンのポン酢がけ」を前にして、僕たちも話に花が咲く。
「普段、沙希ってどういう生活をしているの?」
「普通だよ。朝起きて会社行って、夜は友達とご飯食べたりして。雄也は?」
「僕は在宅ワークも多いから、家にいることが多いかな」
ここ数年リモートワークに慣れて以来、週に2回くらい家で仕事をするようになった。出社しても良いのだけれど、意外に家でも仕事がはかどることに気がついてしまった。
「リモートワークできるの、いいよね」
「なんで?沙希の会社はできないの?」
「結構みんな出社してるかな。それに家だと集中できないし」
「そうなんだ。まぁ人によるよね、どちらが良いかは」
そんなほのぼのとした会話が続いていたけれど、この日僕は意を決し、2軒目へ行った後、帰り際に告白をして付き合うことになった。
しかし今となって振り返れば、早く付き合いすぎたのだろうか。お互いのことをもっと知ってからのほうがよかったのだろうか…。
Q2:女がどうしても許せなかった男の言動は?
無事に交際まで至った僕たち。その後も順調で、僕たちは週末ごとに会う約束をしていた。
「雄也、今日は何食べたい?」
「先週外で食べたから、今週は家でよくない?」
交際してからは、家で食事をすることが多くなっていた。
「いいけど…私、外食のほうが好きなんだけどな」
「でも沙希のご飯がいいな」
「じゃあ材料買って、家で作ろうか」
こんな会話が日常茶飯事で、基本的に夕方から一緒にスーパーへ買い物へ行き、僕の家でご飯を作って、その後はテレビを見たりのんびりして沙希が一泊して帰る…というのが定番コースになっていた。
もちろん、買い出しの材料費は僕が全額支払っている。
「雄也って、家が好きだよね」
「そうだね〜。のんびりするのが好きだから」
沙希が作ってくれたハンバーグを食べながら、僕たちはゆっくりと土曜の夜を過ごす。
「雄也、今日のハンバーグ上手くできたと思うんだけど、どう?美味しい?」
「うん!」
「ニンジンのグラッセは?」
「…グラッセって、なんだっけ」
たぶん、今食べているのが“グラッセ”なんだろうけれど、実際にはなんなのかがわからない。
「も〜。今雄也が食べている、ニンジンをバターで煮たやつだよ」
「なるほどね」
沙希が作る料理は全部美味しいので、何を食べても失敗がない。だから料理は基本的に沙希に任せて、僕は食べ終わった後の洗い物を担当するようにしていた。
「沙希、食べ終わった?洗い物するよ」
「ありがとう」
「お風呂入ってきたら?」
「そうだね。じゃあ先に入っちゃおうかな」
こんな感じで、平和な日々が続いていた。だから何も問題はないと信じていた。それに結婚の話もちゃんと僕なりにしていたつもりだった。
「沙希ってさ…結婚願望あるの?」
「あるよ!34歳だし、一秒でも早く結婚したいと思ってるよ」
僕も結婚願望があるし、早いに越したことはない。
「そうだよね。僕も35だし、そろそろって思ってるよ。もう少し待ってて」
「…わかった」
結婚も見据えた交際。
しかし沙希は突然、僕に愛想を尽かしたらしい。
一体、僕は何をしてしまったのだろうか…。
▶前回:麻布十番でひとり暮らしする28歳事務職の女。港区女子なのか判断するために男が取った行動は…
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:2月18日 日曜更新予定
女が男に絶望を感じた言動は?