「家賃は誰が払ってる?」麻布十番に住む、事務職28歳事務職女。デート相手に不信に思われ…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:お座敷へ上がるタイプの和食店でのデート。女が靴を脱いだ時に、男が見ていたのは…
「陸くんってさ…話が面白いよね。カッコいいうえに面白いって最強じゃない?」
「そう?嬉しい。莉緒ちゃんが聞き上手だからだよ」
「そうかなぁ」
彼女とは、週に1度のペースでここ1ヶ月会っている。毎回莉緒は楽しそうにしているので、たぶん僕に気があるのだろう。
だから僕は、3度目のデート帰り道で莉緒に思い切って聞いてみた。
「あのさ、莉緒ちゃんって付き合う気あるの?」
「陸くんと付き合う気?うーん…それはないかも(笑)」
「え?」
あまりにアッサリとした返答に、僕は一気に奈落の底へと突き落とされた。
「でも、一緒にいると楽しいし、僕たち相性もいいじゃん?」
「そうだね」
でも、莉緒は僕とは付き合えないらしい。一体どうしてなのだろうか…。
Q1:初デートで女が考えていたコトは?
莉緒とは、先輩経営者が開いた食事会で出会った。
正直、最近は食事会へ参加するのも面倒だと思っていた。いい人に巡り合う確率は非常に低く、非効率だ。その点、マッチングアプリのほうがはるかに高確率で出会えると思っていた。
でもお世話になっている先輩の誘いだったので断るわけにもいかず、僕は渋々その食事会に顔を出した。しかし、そこで莉緒と出会ったのだ。
「名前はなんて言うんですか?」
「僕は陸です。お名前は?」
「莉緒です。よろしくお願いします」
黒髪ロングヘアの清楚系美女だった莉緒。華奢な感じも目を引く。
「陸くんのお仕事は?」
「僕は自分で会社をやっています」
「へ〜どんな会社なんですか?」
「ゲームの会社だよ。まだまだスタートアップだけど」
「すごい!どんなゲームですか?私、意外にゲーマーで」
見た目とは違い、まさかのゲーム好きだった莉緒。僕のなかで彼女に対する好感度が上がっていく。
「マジで?めっちゃいいね。どんなゲームが好き?」
そこから莉緒の好きなゲームの話や僕がいつもやっているゲームの話などで盛り上がり、連絡先を交換することになった。
「良ければ、今度二人でご飯行かない?」
「うん、行こう行こう!」
こうして、僕と莉緒はすぐにデートをすることになった。そして初デート。店は、溜池山王にあるカジュアルなダイニングバーにした。
「こっちのほうとか来ることある?」
莉緒は麻布十番に住んでいると言っていたので、電車一本で来れる店を一応選んだつもりだ。
「たまに来るけど…このお店は初めてかも」
「実は僕も初めて来た」
「え、そうなの?」
正直、ちょっとチェーン店っぽすぎたかなとも思った。でも莉緒は何も言っていないし、とりあえずはいいのだろう。
「うん。あまり店とか知らなくて」
「そうなんだ。食事とかそこまでこだわりない人?」
「そうだね…忙しいから」
「お仕事、そんな忙しいんだ!」
「毎晩、この時間は基本的に仕事をしているかな。夜中まで仕事していることも多いから」
「陸くん、すごいね」
一生懸命話を聞こうとしてくれる莉緒。その姿勢が嬉しくて、僕は上機嫌になる。
「莉緒ちゃん、普段は何してるの?…というか、普段はどこで食事することが多い?」
「仕事は普通に事務職だよ。食事は、西麻布とか六本木が多いかな」
「そうなんだ」
たしかに、前回しれっと交換していたインスタのアカウント。莉緒の投稿を見ると、予約の取れなさそうな、高そうな店がいくつか載っていた。
「もしかして莉緒ちゃんって…その、すごいグルメだったりする?」
「どうだろう。美味しいお店が好き。高いお店ももちろん好きだけど、誰と行くかが大事だよね」
「いいこと言うね!」
そしてこのデートはかなり楽しくて、僕はしっかり莉緒にハマってしまうことになる。
Q2:女が男と付き合えないと判断した点は?
すぐにやってきた2度目のデート。でもこの日莉緒と会えたのは、2軒目からだった。
「莉緒ちゃん忙しそうだね」
「ううん。今日は、この前いたタカちゃんたちと飲んでたの」
“タカちゃん”とは、僕と莉緒を出会わせてくれたタカシさんのことだ。僕の先輩する尊敬であり、有名な経営者でもある。
「タカシさんと仲良いんだね」
「仲が良いというか、飲み仲間かな」
前回のデートのときから感じていたが、莉緒は僕が想像していたより10倍くらい顔が広い。莉緒の知り合いには、有名経営者も相当いる。
だから、僕は若干不安にもなってきた。
― もしかして、この子ってトンデモナイ港区女子だったりする…?
嫌な予感がする。それに住まいは麻布十番と言っていたけれど、それもちゃんと本人が払っているのか急に疑問に思えてきた。
「莉緒ちゃんは、十番のどの辺りに住んでるの?」
「二の橋の近くだよ」
「そうなんだ。ひとり暮らし?」
「もちろん」
家に行けば、どんな暮らしをしているのか大体わかる。下心がないわけではないけれど、莉緒の家を見て確かめたい気持ちに駆られていた。
「莉緒ちゃんって、自炊する人?」
「するよ。でも外食のほうが好きかな」
「今度、莉緒ちゃんの家行ってご飯食べてみたいなー」
「私のご飯?そんな大したものできないと思うけど…」
「なんでも嬉しいよ!」
「…考えておくね」
結局、一旦この話はここで終わってしまった。でも僕はまだ莉緒に対して疑問が残っている。
「莉緒ちゃんの周りってすごい人ばかりなのに、なんで僕とも飲んでくれるの?」
「陸くんは、話していて面白いから、かな。それにみんな気を使っているのか私を誘ってこないなか、陸くんはグイグイ来たから」
「それって良い意味で?」
「うん、もちろん。そうじゃないと会わないよ」
この言葉は嬉しかった。数々の有名経営者を見てきたであろう莉緒。それなのに僕とデートをするということは、僕もそれなりに彼女に認められているのだろう。
でもまだ一歩踏み込めない。だからもう少し様子を見ようと思った。
「莉緒ちゃん、来週は忙しい?」
「来週はちょっと飲みが続いているかも。でも今日みたいに遅くからだったら会えるよ」
「本当?じゃあ来週も会いたい」
こうして、僕たちは翌週も会うことになった。
順調にデートを重ねているように見えた僕たち。でも莉緒は僕とは「付き合えない」らしい。
まだ上場してないから?僕にお金が足りないから?
果たして、莉緒は僕のどこを見て判断したのだろうか…。
▶前回:お座敷へ上がるタイプの和食店でのデート。女が靴を脱いだ時に、男が見ていたのは…
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:2月11日 日曜更新予定
女が男に対してリアルに思っていたコト