男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:豪華タワマンで医者とホムパ。「電車で帰るので」とタクシー代を断った28歳女に、男の反応は…




二度ほどデートをした涼から、連絡が来ない。

正確に言うと、連絡は来るけれど向こうのテンションが明らかに下がっているのが伝わってくる。

― 桃香:この前話していた恵比寿のお店、いつ行く?

以前だったらすぐに既読になっていたし、既読がついた途端に返信も来た。けれども今は、既読がつくのも遅いし、返信も3、4日経ってからだ。

― ryo:今月出張が多いから、また来月行こう。

一応、行く気はあるらしい。でも最初のほうは、涼から積極的にアプローチしてきていた。

一体、私はデートで何をしてしまったのだろうか…。


Q1:男が初デートで乗り気だった理由は?


涼とは、友達の紹介で出会った。“結婚願望がある独身男性”と私はリクエストしており、紹介してもらったのが涼だった。

友達は今妊娠中でお酒が飲めないため、初対面は夕方に表参道のカフェで軽く顔合わせをした程度だった。

32歳の塩顔経営者。

初めて会った時から、私は涼のことをいいなと思った。涼も同じ気持ちを抱いてくれたのか、すぐに連絡が来て、私たちはすぐに二人でデートをする約束をした。

しかしお互いの予定が合わず、直近で会えるのが翌週の金曜の夜、お互い会食が終わってからの2軒目だった。

私たちは、恵比寿にある隠し扉がお洒落すぎるバー『A10』で会食終わりに落ち合うことになった。




「本当は食事したかったけど…また今度ゆっくりね」
「そうだね」
「こうやって桃香ちゃんに会えただけでも嬉しいし」

涼のスマートな発言。特に意味もないとは思うけれど、期待値も上がってしまう。

「桃香ちゃん、忙しそうだね」
「涼くんのほうこそ。ここのバー、よく来るの?」
「うん、この雰囲気が好きで」
「そうなんだ。素敵なバーだね」

エントランスもだけれど、中もかなりお洒落で、こんなお店を知っているというのもかなりポイントが高い。

「このカクテル、美味しい!」
「でしょ?この演出もすごいよね」




バーで、肩を寄せ合う私たち。前回会った時も思ったけれど、涼は話し方も穏やかで素敵だった。

「桃香ちゃんは、今本当に彼氏いないの?」
「いないよ」
「どういう人が好き?」
「優しくて、顔で言うと塩顔かな…」
「え、俺じゃん!(笑)」

自分で言ってしまうところが可愛くて、思わず笑ってしまった。

「涼くん、それ自分で言う?」
「あ、間違えた?」
「間違えてないよ♡」

涼といると、純粋に楽しいなと思った。それは涼も同じだったようで、私たちは次に会う日程をその場で決めた。

「再来週の金曜は?」
「その日ならいける!」
「じゃあこの日に決定で。店選んでおくね。桃香ちゃん、苦手な食べ物とかある?」

サクサクと次のデートまで決まり、気がつけば二人で、深夜1時過ぎまで話し込んでいた。

「今日楽しかったな〜。ありがとう」

お店を出ると、涼が爽やかな笑顔をこちらに向けてくる。そんな涼の言葉に、私も大きく頷いた。

「私も!涼くんといると楽しいな」
「次も楽しみだね」

― これって…もしかすると、次のデートで告白とかされるんじゃない!?

そう思ってしまうほど、かなりいいムードだった。しかしこの次のデートをして以降、涼の態度は急に変わってしまうことになる…。


Q2:お座敷デートで男が見ていた点は?


二度目のデートは、西麻布の和食店を予約してくれた涼。しかし私は、お店に着いた途端に「しまった」と思った。

案内されたのが靴を脱いで上がる、お座敷タイプの部屋だったからだ。

― 今日のタイツ、大丈夫かな…。

どうしてタイツは洗濯をすると、白い毛玉がつくのだろう。今日は靴を脱がないと思っていたので、捨ててもいいような物を履いてきてしまった自分を悔いる。

極力つま先を見せないようにして座敷に上がったが、涼は意外にも気になっていないようだった。

「桃香ちゃん、何飲む?」
「ハイボールにしようかな。涼くんは?」
「俺もそうする」

― 男性は、女性が気にするほどそんな所は見ていないのかな。

ほっと胸を撫で下ろし、私たちの二度目のデートが始まった。




最初はタイツの件もあって、お座敷スタイルは少し嫌だなと思っていたけれど、お酒が入るとゆっくりとくつろげるのでとても良い。

「俺、日本酒にしようかな」
「いいね。私もそうする」

食事も進み、日本酒も飲み始めた私たちはすっかりリラックスムードになっていく。

「脚伸ばしちゃお…ここ、くつろげていいね」
「いいよね。あと冬って、こういうくつろげる感じがいいよね」
「お鍋とか、おでんとかいいよね〜」

まったりした雰囲気の中、正面に座る涼とふと目が合う。その視線にドキッとしたせいか、銀杏がなかなか上手につまめない。

「銀杏って、食べるときにコロコロ転がりがちだよね」
「そう?こやって箸持ったら上手くできない?」

器用に銀杏をつかむ涼。そんな感じで和気藹々としていると、彼が、私の顔を覗き込んできた。

「あれ…桃香ちゃん、魚もしかして苦手だった?ごめん、先に聞いてからオーダーすれば良かったね」
「全然!好きなんだけど、上手く食べられなくて」
「まだまだ食べられる部分あるから、やってあげようか?」
「いいの?ありがとう」

涼は、まさかの魚の骨まで取ってくれる男だった。




「涼くんって、絶対モテるよね」

綺麗に魚の骨と身をわける涼を見ながら、思わず感心してしまった。それにさっきから私のグラスが空いたら気がついてくれるし、佇まいからして品がある。

「そう?」
「こういうこともさり気なくしてくれるし…」
「普通だよ」

そんなふうにサラリとかっこいいことをしてくれる涼に対し、私の気持ちは強くなる一方だった。

食事が終わり、外へ出ると夜風がひんやりと気持ちが良い。

「どうする?もう1軒行く?」
「うん、行きたい!」

こうしてもう1軒行き、この日までは涼とはいい感じだった。

しかしデートを終え、しばらくしてから急に連絡の頻度が落ち、私に対する興味を若干失ったように見える。

― どうしたんだろう…?

一体、私は何をしてしまったのだろうか。やはり毛玉のついたタイツがダメだったのだろうか…。

▶前回:豪華タワマンで医者とホムパ。「電車で帰るので」とタクシー代を断った28歳女に、男の反応は…

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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男が二度目のデートの後、急に態度が変わったのは…