近年、「新進気鋭」という名を一度は耳にしたことがあるのでは?

会員制というクローズドな体制ながら“採算度外視”、“圧倒的な食体験”を武器に3年ほど前から話題に。

会員制焼肉店を筆頭に、焼き鳥や鮨、中華、タイ、イノベーティブまで手掛け、計7ブランド35店舗を超えている。

また、グルメサイトへの投稿禁止ゆえ、SNSへのその投稿がもはやステータスになりつつもある。

いま、一大ムーブメントを起こす“新しい飲食業界のリーダー”に、店づくりにかける熱き思いを聞いた!


SNS時代の“大人心”を掌握したビジネスモデル


破竹の勢いとは、まさにこのことである。「新進気鋭」というインパクトのある名を掲げ、3年ほど前に彗星のごとく現れた飲食グループ。

上質な食材のフルコースに加え、「新政」や「イチローズモルト」など高価なお酒も含むアルコールを破格の値段で提供し、グルメ界に衝撃を与えた。

さらにはそれが、住所非公開やグルメサイト投稿禁止というエクスクルーシブさも相まって、大人たちの心を掴む。




活気あふれる町焼肉をテーマにした『一心不乱』、肉も酒も“特別ランク”に限定した『他言無用』など、この夏だけで、コンセプトや店名が異なる焼肉店を、なんと10店舗もオープンさせたというから、その躍進ぶりは推して知るべしだ。




35店舗以上の飲食店を統括するオーナーの塚原和樹さんは食べ歩き好きが高じて、実家のガレージを改装したステーキ店を1号店としてオープン。

飲食店での修業はもちろん、経営のノウハウもまったくないゼロからのスタートだったが「学生時代から国内外を食べ歩く中で、多くの人との出会いや心を突き動かされるような感動的な出来事が何度もあった。それがチャレンジへの情熱になった」と、いまや海外進出も視野に入れる。

『新進気鋭』を会員制としたのは、価値観を共有できる食べ歩き仲間に楽しんでもらうためのサロン的な意味合いも。

「あえて住所も公開しない焼肉店にしたのは、結果であって、意図ではないんです」と塚原さんは話す。

親しい仲間が、焼肉好きの家族や友人とともに店を訪れ、『新進気鋭』1号店のオープン間もなくして予約は半年待ちに。

恵比寿に新店を出す頃には、焼肉好きのSNSに度々“四字熟語”が登場するようになっていた。


顧客満足度を極めたら、常識を覆す店になった


「四字熟語の理由をよく聞かれますが、店のコンセプトをひと言で分かりやすく伝えたいという意味もあります。

新進気鋭って自分で言うのはどうなのか、というところはありましたが(笑)、これは全く新しい価値観を生む焼肉店にするという思いの表明です。

言葉の先にあるストーリーを楽しみにして来ていただきたくて」

系列店のなかで唯一、会員制ではないのが、古き良き大衆焼肉と位置づけた『暴飲暴食』。




現在、新規会員の入会はすべて断っているが、ここに通うことでそのご縁が結ばれる可能性も。

「入会金は100万円なんて冗談で言ったりしますけれど(笑)、どの店舗も会員費・入会金はいっさいいただいたことはありません。

会員制としている一番の理由は、お客さんとの信頼を築ける両思いの関係性を大切にしたいから。僕は飲食の経営者でも料理人でもない目線で、どうしたら喜んでもらえるかということを常に考えているんです。

作りたいのは飲食店ではなく、みんなが幸せでいられる世界。価格よりも満足度重視、良い素材を仕入れるために生産者の方との信頼関係を深める努力をし続けたい。

自分たちが本音で良い店だと思えなければ、そこに真の価値は生まれないと思うんです」

単なるステータスや他人からの評価には一切左右されない。飲食を通して幸せな世界を築きたいというシンプルな気持ちだけを、ブレることなく貫き通している。

目指す道は……“真実一路”だ。


コンセプトや個性を表す“四字熟語”の店名。現在は7ブランドあり!


会員制焼肉店『新進気鋭』から出発し、会員の中でも“超常連”のみ予約可能の『他言無用』や、完全個室でお客自らが肉を焼き「自画自賛の思いに浸る」焼肉店『自画自賛』が誕生。

『一心不乱』は予算約1万円の町焼肉スタイル。「我を忘れて夢中で肉を頰張る店に」という思いが。




さらに、焼肉店が突然鮨店を開業するという意外性から名付けられた『青天霹靂』、イタリアンと和食の融合を楽しむ『自由奔放』も登場。




グループ唯一の非会員制焼肉店『暴飲暴食』は、ドリンクがオール90円という驚愕の価格設定で予約が殺到。

常連になれば他ブランドを紹介してもらえる可能性も。


「新進気鋭グループ」といえば豪華食材と希少なお酒


代表店である『新進気鋭』の迫力ある肉盛り。

このプレゼンにはスマホをかざさずにはいられない。




また、希少なお酒が破格の値段で楽しめるのも大きな魅力。

「飲みたい物を我慢するような食事はしてほしくない」という塚原さんの徹底したお客様ファーストのマインドゆえだ。


お話を伺ったのは……


1987年、川崎生まれ。2023年は10軒以上の新店をオープンし、その勢いは止まらない。直近ではシンガポールやドバイなど、海外出店の計画も。