男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:「会っている時は、いい感じだったのに…」日程調整LINEを、彼に送ったら未読スルーされたワケ




まさに、青天の霹靂だった。

年末どうするか、瞳の予定を聞こうと思ってデートの約束をしていた僕たち。でも「ご飯へ行こう」と言っていたのに、前日になって急に「やっぱりご飯じゃなくて、軽くどこかで飲もう」と連絡が来た。

― 年末だから忙しいのかな。

それくらいに思っていた。でも実際に会ってみると、妙に瞳はよそよそしい。

そしてまさかの開口一番にこんなことを言われてしまった。

「龍ちゃんごめん…。私、龍ちゃんとはこれ以上付き合えない」
「…え!?」

僕は33歳。瞳は29歳。お互いいい歳だし、結婚も見据えて交際していた。

でも、2023年の年末に、彼女との関係はあっけなく終わってしまった。


Q1:話し合いで擦り合わせた金銭感覚。女の本音は?


瞳と出会ったのは、共通の知人を介してだった。

「紹介したい人がいる」と言われてセッティングしてもらったのだけれど、紹介者が急に来れなくなり、初めから二人で会うことになった。

「寛貴、今日来れなくなったみたいで…」
「聞きました(笑)最初から二人って…ちょっと緊張しますね」

でも瞳とは最初から会話が自然と弾み、初対面な感じがしなかった。

「僕たち、どこかで会ったことありました?」
「私も思いました!でもたぶん初対面ですよね?」

最初からフィーリングが合っていたので、数回デートをした後、僕たちは交際することになった。

「改めて、よろしくお願いします」
「こちらこそ。龍ちゃん、よろしくお願いします」

こうして、順調に交際は始まった。

でも付き合っていれば、お互いに合わない点もある。例えば、瞳はお金にルーズなところがあった。




当初、瞳が当たり前のように財布を出さないことに僕は驚いた。毎回ほぼ100%、全額僕の支払いだった。

「龍ちゃん、ごちそうさまです」

別に僕は年収3,000万ほどで、瞳より多いだろうし支払うのは構わない。けれども、せめて2軒目くらいは支払ってほしい。

でも瞳は、2軒目もおごってもらうのが当たり前のように振る舞う。

短期で終わるような関係だったらいいけれど、瞳とは長く付き合いたい。そうなると金銭面に関しては、ちゃんと話し合っておきたい。だから交際を開始してすぐに、僕は瞳と話し合うことにした。

「あのさ、瞳。お金のことなんだけど」
「う、うん」
「毎回僕が支払うのかな?」

外資系金融に勤めているせいか、僕はお金にルーズな女性が苦手だった。

「この先のこと。例えば結婚とか…瞳は、ちゃんと考えてる?」
「もちろん!龍ちゃんと、この先も一緒にいたいと思っているよ」
「そっか。そしたら尚更、ちゃんとしておこう」

瞳は、日系の広告代理店勤務だ。年収は僕のほうが多いかもしれない。でも結婚を考えている以上、根本的な擦り合わせはしておきたい。




「例えばなんだけど、1軒目は俺。2軒目は瞳…とかはどうかな」
「それなら私にも支払えそう!でも私、龍ちゃんほどお酒飲まないけど…」
「だったら逆に、安くなるから良かったじゃん(笑)」

1軒目のほうが金額は倍以上行くし、年収の差を見てもこれなら良い落としどころだと思う。別に全額支払ってほしいわけではない。

それに、払えないときには僕が支払う。

「無理のない範囲でね。僕が飲みすぎた時とかは、さすがに払うから(笑)。それに、本当にキツいときは言ってほしい」
「わかった。ありがとう」

大切なのは、瞳の気持ちと姿勢だった。

「良かった。瞳がちゃんと話し合える人で」
「この先も一緒にいるなら、大事なことだよね」

こういう話し合いを避ける人もいる。

全額、男性に支払ってもらって当たり前の女性も多い。

でも瞳は冷静に話し合いができるし、何より理解力がある大人の女性で助かった。

「結婚するなら、やっぱり瞳みたいな人がいいな」
「ありがとう♡」

こうして、この先も順調な交際が進んでいたはずだった。なぜなら今年の年末年始、僕の実家へ瞳が遊びに来ることになっていたからだ。


Q2:実家への挨拶がプレッシャーになった?


今年の頭に付き合い始めた僕たち。あっという間に交際して約1年になる。

合鍵も渡しているし、瞳が作ってくれるご飯を僕の家で一緒に食べる頻度も高くなっていた。

― 龍介:ちょっと遅くなるかもだから、俺の家で待ってて!冷蔵庫の中、何もないよ〜。
― 瞳:わかった。スーパーで夕ご飯の材料買ってから行くね。

まるで新婚夫婦のような会話に嬉しくなる。

― そろそろ、次のステップに進む頃かな…?

僕は思い切って、年末年始に瞳を僕の実家へ誘ってみることにした。

彼女が作ってくれたご飯を食べながら、僕は切り出した。

「瞳は、今年のお正月はどうするの?実家に帰るの?」
「帰るけど…横浜だし、すぐに帰ってくるよ。なんで?」
「良ければ、うちの実家に来ない?親戚が集まるし、その時に瞳を両親に紹介しようかなと思って」
「え…?それって…?」

僕の家は千代田区にあり、すぐに行ける距離ではある。でも瞳は、距離の問題ではなく、“お正月に僕の実家に行くこと”がどういう意味なのかを知りたいのだろう。




「もうすぐ交際して1年になるし、そろそろ両親にも紹介しておこうかなと思って」

すると驚きつつも、パァッと瞳の顔が明るくなった。

「本当に!?ありがとう!でも緊張しちゃうな」
「母親の機嫌さえ取っておけば大丈夫だよ。今回紹介できたら、瞳と一緒に実家へ行く頻度も増えるだろうし、まずは慣れるということで」
「それって…結婚への第一歩という認識でいいのかな?」
「もちろんだよ」

いざ言葉にすると、急に照れくさくなる。でも、お互い結婚は最初から意識しているから、当然の流れだった。

「まぁ、結婚しても今とあまり変わらないと思うけど」
「たしかに…最近、龍ちゃんの家でご飯食べる日も多いしね」

家で一緒にご飯を食べ、その後はテレビを見ながらダラダラとする日々。瞳は、日常生活の一部になっていた。




でもこの日。瞳は片付けをしてしばらくすると「帰る」と言い始めた。

「え?もう帰っちゃうの?」
「うん。片付けも終わったし、明日朝が早いから今日は帰ろうかな」
「わかった…。気をつけてね」

そして、この日を境に瞳は僕の家へ来る頻度が低くなっていった。

でも年末だし、忙しいのかと思って僕は特に気にしていなかった。

しかし、1週間ぶりに瞳に会ったとき、突然振られてしまった。

― 実家へ一緒に行くのが、そんなに嫌だった?結婚のプレッシャーを感じた?急に怖気づいた?

いろいろな理由が浮かんでは消えていく。

この1年、仲良くやっていたからこそ、僕は突然の別れにまだ理解が追いついていない。

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