やはり厳しい!? 就職氷河期世代の貯蓄・投資 世帯総額100万円未満が4割、2割が投資経験なし

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就職氷河期世代(38歳〜46歳)の貯蓄・投資の世帯総額を調べたところ、「300万円未満」の世帯が5割を占めたことがわかった。日本FP協会(東京都港区)が2023年8月8日に発表した。

投資経験を聞いたところ、2割が「経験なし」と答えていたこともわかった。思うような就職先が見つからないなど「就職氷河期」の挫折から、経済面での立ち直りに時間がかかっている様子がうかがえる。

「貯蓄・投資はしていない」人が15%

調査では、いわゆる就職氷河期世代(38歳から46歳)で、かつ個人年収500万円未満の働く男女(n=1000)を対象に、世帯の貯蓄・投資総額を聞いたところ、「50万円未満」と答えた人が15.8%と最も多かった。次いで、「貯蓄・投資はしていない」が15.0%となった。

「50万円〜100万円未満」は8.2%と、じつに約4割の人の貯蓄・投資総額が「100万円未満」。「300万円未満」では5割を占めた。

その一方で、「5000万円〜1億円未満」が0.7%、「1億円以上」の貯蓄・投資総額があると答えた人は0.1%だった。「把握していない」人は18.4%。【図1参照】

就職氷河期世代の人が保有している資産を種類別(全体n=1000)にみると、「普通預金、通常貯金」が85.1%とダントツ。次いで、「定期預金・定額貯金」と答えた人が29.2%で、現金志向が高いことがうかがえる。

「生命保険(医療保険やガン保険を含む)」が16.0%、「株式」は14.5%。最近の投資熱の高まりに伴い利用が増えてきたとされる「NISA」(少額投資非課税制度)は7.8%、「つみたてNISA」が15.6%だった。

また、資産運用や投資、ライフプランを学ぶ機会があった人たちは、「株式」や「投資信託」、「NISA」、「つみたてNISA」といった商品に投資している割合が高い。

投資の開始時期についても聞いた(n=443)。それによると、「2〜3年前」と答えた人が20.8%と、最も多かった。一方、「投資の経験がない」とした人も21.4%いた。【図3参照】

貯蓄・投資の目的は、「老後の生活資金」が第1位

現在の投資・貯金の行動について聞いたところ、「節約している」と答えた人は全体(n=1000)で64.9%と占めて最も多かった。「特に行動していない」は26.2%。

これを、資産運用や投資、ライフプランを学ぶ機会があった人たち(n=324)に聞くと、「節約している」と答えた人は76.9%にのぼった。全体より12ポイント高く、投資などを学ぶ機会がなかった人たちより17.7ポイント高かった。

また、学ぶ機会があった人たちのうち、「投資額を増やしている」と答えた人は24.4%、「貯蓄を増やしている」が22.8%、「収入を増やしている(副業、転職など)」が14.5%、「投資の勉強をしている」と答えた人が18.8%など、学ぶ機会がなかった人たちより10〜20ポイントも上回っていた。【図4参照】

資産運用や投資、ライフプランを学ぶ機会の有無が行動を変化させていることがうかがえる。

また、貯蓄・投資の目的を聞くと、「老後の生活資金」と答えた人が61.9%と最多。次いで、「病気や不測の災害への備え」が40.5%、「何となく将来のために」が36.4%、「何となく不安だから」と答えた人が28.2%と続いた。「貯蓄が好きだから」という人も10.0%いた。【図5参照】

さらに、リタイア後のセカンドライフへの考えを聞いたところ、リタイア後の生活費の不足や、自分や親族の介護が必要になった場合を不安視する傾向があることがわかった。

「リタイア後の生活費が不足するのではないかと不安に思うか」との問いに、「はい」と答えた人は50.1%、「どちらかといえばはい」は32.8%と合わせて82.9%の人が「はい」と答えた。

「現時点で子どもに残せる資産はない」に「はい」と答えた人は42.1%、「両親など家族や自分自身に介護が必要になったときのお金が心配」と答えた人は37.3%だった。【図6参照】

金融への姿勢が積極的なほど、「自由な働き方」を求める傾向

このほか、調査では就職氷河期世代に、キャリア思考について金融への意識や習慣との姿勢に、照らして聞いている。

それによると、金融の意識・習慣が積極的であるほど、キャリアアップにも積極的で、資格取得や大学院などでの専門知識の習得への関心が高いことがわかった。

また現在、正規雇用の人は、金融への姿勢が積極的であるほど、起業やフリーランスなどの自由な働き方で働きたいという希望が高くなる傾向にあるようだ。

調査では、「正社員ではない自由な働き方で働きたいか」との問いに、「はい」と答えた人は「積極派」の人が23.2%だったのに対して、「消極派」は4.1%にとどまった。

「いいえ」と答えた消極派の人は50.8%と、半数を超えた。【図7参照】

なお、調査は超氷河期世代に当たる38歳〜46歳の有職者で個人の年収が500万円(税込み)未満の男女を対象に、2023年4月24日〜26日に実施。サンプル数は1000。