(左から)萩原利久さん、八木勇征さん 撮影/能美潤一郎

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2021年11月にMBSドラマ特区枠にてシーズン1が、そして2023年2月にはMBS/TBSドラマイズム枠でシーズン2が放送され大きな話題を呼んだTVドラマ『美しい彼』。本屋大賞2020、2023受賞作家・凪良ゆうの人気小説を原作に、幼い頃から周囲になじめない ”ぼっち” の高校生・平良一成と、学校カーストの頂点 ”キング” として君臨する清居奏のむずがゆくも甘酸っぱい初恋が丹念に描かれていく。

そして4月7日からはシーズン2のその後を描く『劇場版 美しい彼〜eternal〜』が公開中。平良と清居の美しく繊細な心の交流がスクリーンで展開される、まさにファン待望の一作だ。
本作でW主演を務める平良役・萩原利久さんと清居役・八木勇征さんに、劇場版ならではの見どころやニッチな楽しみ方、「愛」について平良と清居から学んだことなどなど、たくさん語っていただきました!

>>>二人の距離の近さにドキドキ! 萩原利久さん、八木勇征さん撮り下ろしカット(写真17点)

【簡単なことを難しくする二人のお得意芸は変わらない】

――今回の劇場版でドラマよりもパワーアップしたと感じるところと、変わらない部分をそれぞれ教えてください。

萩原 実はシーズン2と劇場版は撮影期間が一緒だったので、演じる上で何か特別変えたことはないのですが、やっぱり劇場版のラストに向けて進んでいった感覚があったので、熱量や感情の飛ばし方はパワーアップしていると思います。ドラマをしっかり観ていただいてから劇場版を観てもらったほうが、その違いをより体感できるんじゃないかなと思います。

変わっていない部分は、もう圧倒的にキャラクターだと思います。清居は社会に出て、周りの人と交流していく中で確実に一歩ずつ前に進んでいるんですけど、平良は本当に何も変わっていないので。

――平良は確固たる自分がある人ですよね。

萩原 確かに。ポジティブに言えば、本当にブレないし流されない。でも、そんな平良を受け入れてくれる素敵な人が周りにたくさんいたということが大きかったと思います。だからこそ、平良は贅沢に悩むことができるんですよね。

ただ、変わらないからこそ起こる二人のしょうもない喧嘩というか、簡単なことを難しくする二人のお得意芸は、引き続き劇場版でも見ることができるので。そんな二人を好きでいてくれる方には、楽しんでもらえる内容になっていると思います。

――八木さんはいかがですか。

八木 ドラマだとやっぱり30分という決められた尺があるので、ちょっと詰まっているところや実際の芝居の間合いじゃないところもありました。それが映画だと、贅沢に時間があるのでよりリアルな間になっていて、作品の世界観に入り込みやすくなっていると感じました。
あとは利久が言ってくれたように、物語が最後に向かうにつれて上がっていく熱量ですかね。
変わらない部分は、やっぱり二人のいつまでもすれ違っちゃうところ。ベクトルが同じ方向を向いていても、些細なことでずれてしまうところは劇場版でも相変わらずです。
でも、自分としてはそこがちょっと嬉しかったところでもあります。すれ違い続ける二人だからこそ、本当に些細なことでも平良が変わってくれたら、清居はすごく嬉しいんだと思います。


【利久は太陽のような存在】

――ドラマ・劇場版とお二人で「ひらきよ」として駆け抜けてこられる中で、お互い印象が変わったところなどありましたか?

八木 基本印象は変わっていないですね。利久はとてもフレンドリーで明るくて、太陽のように周りの人を照らしてくれる存在だと思っています。シーズン1の時からその印象はずっと変わらないです。

萩原 僕も勇征の印象はシーズン1の時から変わっていないですね。シーズン2でも自分の知っているままの勇征がいてくれて、それがすごく心地よかったので、いい意味で変わらないでいてくれたことが嬉しかったです。

変わったところを挙げるとするなら、より食べるようになったことくらいかな。いや、シーズン1の時からたくさん食べていたから、そこもあまり変わっていないかも?

八木 うん、ずっと食べていたね。

萩原 シーズン2以降も変わらず食べ続けてくれました。

八木 逆に利久はちょっと食が細くなってきている気がする。

萩原 どうだろう? 若干細くなっているかもしれない。

八木 だって胃もたれとか気にするんだもん。

萩原 するでしょ、胃もたれ!

八木 しないよ!

――(笑)。では、お互いのどんなところに役者としての魅力を感じますか?

八木 利久はオンとオフがすごくはっきりしていて、その切り替えが「すごいな」と思っています。オンになった時の100%の利久は印象がガラッと変わるんです。自分でそういうスイッチを持っているところは、とても羨ましいですし、尊敬している部分でもあります。

萩原 僕は逆に、勇征が朝から晩まで100%の状態で居続けられるところが「すごいな」と思っていました。僕はオンとオフを切り替えないとやれないというのが本音で、勇征には100%を出し続けられる圧倒的な体力とパフォーマンスがある。だからこそ現場を引っ張ってくれていたし、僕も助けられました。

【平良が清居を見るときの目の温度は48.5度!?】

――改めて、それぞれ演じてこられた役に対してどんな思いがありますか。

八木 清居は当初クールで無口、人と違うことをしているツンツンした子という感じだったのですが、物語が進むにつれて「めちゃめちゃ乙女やん!」と思うようになりました。好きなものに対して、うまく気持ちを表に出せない不器用なところがあるんですよね。
自分の中に譲れないものがあっても平良には譲ってしまったり、来てほしいところまで平良を引っ張り上げようとしていても、彼がきつそうにしていたら寄り添ってあげたり……結局甘々なんですよね。そういうところも含めて、全部が可愛いキャラクターだなと思います。

萩原 平良は鈍感だし、わがままだし、手のかかる子ですが、だからこそ演じる上ではとても楽しかったです。ただ、シーズン2と劇場版に関しては、演じるのが難しかったです。
シーズン1の時は遠くで見ているだけだったのですべて自己完結していたのに、シーズン2以降は根っこの部分が変わらないのにコミュニケーションしていかなきゃいけなくなったので。撮影では、監督の酒井(麻衣)さんや勇征と相談しながら試行錯誤していく日々でした。
正直、こんなに難しいとは思っていなかったです。でも、たくさん頭を使って撮影していけたことは、僕にとってとても良い経験になりました。こんなに長いスパンで一つの役と向き合う機会もなかなか無いと思うので、平良を演じられて本当に良かったと思っています。

――シーズン1の時は特に平良の目線を意識していたそうですが、コミュニケーションをとるようになったシーズン2・劇場版ではいかがでしたか?

萩原 シーズン2以降もそのベースは変わっていませんね。ただ、シーズン2以降はモノローグ以外の会話が増えたので、これまでの目線に加えてコミュニケーションしていく上での伝え方も大事なポイントとなりました。

――ちなみに、萩原さんの目を見て八木さんは「目の温度が36.5度だ」とコメントされたそうですが、その温度は変わりましたか?

八木 シーズン2や劇場版の大事な場面では全然違いました。

萩原 何度くらいなんですか?

八木 そのときはね、48.5度くらい。

萩原 熱いね! 火傷しちゃうよ(笑)。

八木 清居と向き合う時の目の温度は上がっていると感じましたね。逆に自分の敵として認識している相手を見る時は、目にキャッチライトが一切入らなくなる。劇場版でそれを一番感じたのは、廃工場のシーンでした。違う映画が始まったのかと錯覚するくらい怖かったですね。


【シーズン1のラストシーンには心を大きく動かされた】

――ドラマ・劇場版を通して、一番お二人の心が揺れたシーンはどこですか?

八木 やっぱり平良が同じステージで清居の写真を撮りたいと言ったシーンですかね。清居はずっと平良にそうなってほしいと思っていて、何度も何度もそこまで平良を引き上げようとしたので、あそこは一番心が動いたシーンです。

萩原 どこか一つ挙げるとしたら、シーズン1のラストです。お互いすごく強い気持ちがあるのに、ずっとすれ違い続けたのがシーズン1で、あのラストシーンがあったからこそのシーズン2、劇場版だと思うので。

シーズン2以降は、もうすでにある関係の中でどう二人が進んでいくのかという話ですが、シーズン1のラストは何の保証もない世界の中で一つ重なって上手くいって……というシーンなので、今振り返ってもあそこは大きく心を動かされたシーンかなと思います。

【「愛」について平良と清居から学んだこと】

――お二人は平良と清居から「愛」についてどんなことを学ばれましたか?

八木 自分のことを神として信仰している相手に対して、その認識を変えるというのはとても大変なことだと思うんです。その大変さを理解していながら、「認識を変えてでも一緒にいたい」と執着する気持ちは、僕には無いものでした。愛するゆえに執着する気持ちは、平良と清居から教えてもらったことだなと思います。

――信仰といえば、劇場版の予告でも、平良が押し入れに清居の祭壇を作っている場面がありました。

八木 自分が付き合っている相手がそれをやっていたら驚きはしますが、今なら「こんなに好きでいてくれるんだ」と思えるかもしれません。

萩原 本当?

八木 びっくりするとは思うけど(笑)。清居を演じて変わった部分というか、新しく発見できた部分だと思います。

――萩原さんはいかがですか。

萩原 平良も清居も、相手に対して究極にまっすぐじゃないですか。濁りのない綺麗な愛を二人とも持っていて、それを伝えようとする気持ちだけは二人とも強くて。こじらせて回り道もたくさんしたけど、まっすぐ気持ちを持ち続けていれば成り立つものだと二人から教えてもらいました。

【最後に】

――最後に、映画を何度も観に行かれる方もいらっしゃると思うので、そんな方向けのニッチな楽しみ方があれば教えてください。

萩原 撮影の途中で僕が髪を切りすぎてしまったので、何度も観てくださる方には、僕の髪型からそれぞれのシーンの撮影順を当ててもらえたらと思います。

八木 髪型から逆算してね(笑)。

萩原 本当に何度も観て「もう見るところがないよ!」という方はぜひ(笑)。あと、途中で体重が2キロ増えたので、そこもぜひ気付いてもらえたら。

八木 よーく見ても気付けないレベルです(笑)。

萩原 勇征に勧められて、ちょっとお菓子を食べすぎちゃったんです。

八木 おい(笑)!!

撮影/能美潤一郎

<萩原利久>
スタイリスト/鴇田晋哉
ヘアメイク/カスヤユウスケ(addict_case)

<八木勇征>
スタイリスト/伊藤省吾(sitor)
ヘアメイク/大貫希代美(Luana)

(C)2023 劇場版「美しい彼〜eternal〜」製作委員会