この記事をまとめると

■ひと昔前までは「ハイブリッド=遅い」という構図だった

■最近のハイブリッドカーはスポーツカー顔負けのスペックを有している場合が多い

■街乗りのみならずオフロードなども軽快に走れるモデルも出てきている

「エコカー」だからといって見下す時代は終わった

 エコカーというと、運転がつまらないとか、ガマンさせられるもの、なんて思われていたのはいまや昔。技術の進化はもちろん、だんだんとエコカーづくりのノウハウが培われ、ユーザーからのフィードバックなども積み上がり、近年ではエコとは思えないほど、スポーティな走りが楽しめるモデルが増えています。

 1台目は、ハイブリッドを生まれ変わらせる、というエンジニアたちの強い意志のもと、誕生した5代目のトヨタ・プリウス。今回はPHEVも同機種の一員として位置付けられ、ハイブリッドカーの代名詞、エコカーの先駆けとしての存在感をさらに強くしています。「乗りたいと思わせる、一目惚れするデザイン」を目指して妥協ナシで作られたスタリイングは、4ドアクーペのように伸びやか。

 ラゲッジ容量が410リットル(Xグレードは422リットル)確保されるなど、実用性も優秀です。走りのほうはというと、2リッターに排気量アップしたグレードはひと踏みめからスッと速く、あっという間に制限速度に達するなめらかさ。市街地ではドライブモードがノーマルだと速すぎると感じるほどで、エコモードでちょうどのんびり走れる感覚です。より上質なスポーツカーをドライブしているような感覚に浸れるのはPHEV。

 バッテリーを先代より低い位置に搭載したこともあり、路面に吸い付くような低重心感で、アクセルをひと踏みしたときの加速フィールも爆発的です。

 2台目は小型エンジンを発電専用に搭載し、100%モーター走行をするエコカーといえば、日産のe-POWER。今ではSUVからミニバンまで多彩なモデルに搭載されていますが、1番の売れ筋なのがノートe-POWERです。そのノートシリーズのなかで、もっともスポーティな走りを体験できるのがノートオーラNISMO。

 その名のとおり、日産のモータースポーツを長年支えているNISMOが手がけたモデルです。ベースとなるのは、ノートより4cm拡大した全幅と豊かな張り出しのフェンダーで堂々とした存在感を放つノートオーラ。ボディは一部補強され、サスペンションもハードになっています。第2世代となった最新e-POWERが持つ性能を最大限まで高めており、136馬力/300Nmを実現。3つある走行モードのノーマルでも、瞬時に引き出せる力強い加速に驚くほど。エコモードとスポーツモードでは、アクセルペダルだけで加速から減速までが操れるようになり、慣れればよりキビキビとスポーティな走りも楽しめます。

 高速道路に入ると、まさに「ロケットダッシュ」の超パワフルな加速。シートがレカロになり、真っ赤なシートベルトになっているのも、スポーティな気分を高めてくれますね。

パフォーマンスはラインアップのなかでピカイチ!

 3台目は、トヨタと並んで早くからハイブリッドモデルに力を入れてきたホンダが、先進技術を注いで展開している最新の2モーターハイブリッド「e:HEV」。これがもっともバランスよく、上質で爽快にスポーティに楽しめると好評なのが、シビックe:HEVです。

 大人のプレミアムなスポーティ感はそのデザインからも伝わってくるほどで、タイプとしてはハッチバックに分類されるものの、4ドアクーペのように優雅さも兼ね備えています。エンジンには新開発となった2リッター直噴のアトキンソンサイクルエンジンが搭載され、多くのシーンをモーター走行することで、なめらかかつパワフル、上り坂や追い越し加速などではスカッとするほどの力強さを見せる走り。

 レスポンスがリニアで、アクセル操作に対して思い通りの加減速が引き出せるのが、とても気持ちがいいのです。カーブでのしなやかな足まわりや、乗り心地の良さもある大人のスポーティが味わえます。

 4台目は、SUVでもスポーティな走りが楽しめるエコカーといえば、三菱のアウトランダーPHEV。従来から走りの良さには定評がありますが、新型はPHEVコンポーネントからツインモーター4WDといったすべてを進化させ、さらに快適性、安心感、スポーティな爽快感といった魅力が大きくアップ。フロントに85kW、リヤに100kWの高出力モーターを搭載し、駆動用バッテリーも20kWhにアップしており、発電効率を高めた2.4リッターエンジンとの組み合わせで、EVのみで走れる頻度を高め、日常の走行もなめらかで上質になっています。

 そして、さすがはラリー競技で圧倒的な強さを誇り、速く走るための4WDを研究してきた三菱らしいところが、ツインモーター4WDをベースにさまざまなシステムによる統合制御を行い、どんなシーンでも常時きめ細かく四輪を制御する「S-AWC(スーパー・オールホイール・コントロール)」。コーナリング時の思い通りのライントレース性は、SUVだということを忘れてしまうほど。

 ダカールラリーの常勝チームでもあっただけに、オフロードや悪天候向けを含む7つのドライブモードを使い分けることで、安心かつワクワクするようなドライブが楽しめるようになっています。

 5台目は、ルノーがF1で培ったハイブリッド技術や、小型EVのZOEで得た知見を注ぎ、日本では輸入車唯一のフルハイブリッドとして登場したE-TECHシリーズのなかで、洗練されたフレンチデザインとともに、意のままの走りが楽しめるコンパクト、ルーテシアE-TECH HYBRIDです。

 スタートボタンを押すと静かにシステムが始動し、100%電気の力で発進するところから、別世界のドライブがスタート。E-TECH HYBRIDは、一般的なクラッチやシンクロナイザーを省き、モーター側とエンジン側の6つのギヤで合計12通りの変速比となり、動力を切れ目なく引き出すのが最大の見どころ。市街地の加減速を繰り返すようなシーンでも、瞬時のレスポンスでなめらかさが続き、それが楽しくて何度も減速したくなってしまうほど。

 郊外路や高速道路では、どこまでも伸びていく加速フィールが爽快。基本的に高速走行ではエンジン直結となるのですが、追い越しなどではモーターアシストが得られ、コンパクトクラスを超えた余裕のクルージングが味わえます。軽やかな中にも、上質感や剛性感がしっかりと感じられるスポーティな走りです。

 ということで、エコカーに食わず嫌いをしている人にこそぜひ体験してほしい、スポーティな走りが楽しめるエコカーたち。乗れば、価値観の新しい扉が開かれるのではないでしょうか。