男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:どんな美女でも、デート中に男が引く女の言動。西麻布の個室バーに2人きりでも口説かれなかったのは…




私は大介という男性に、完全に振り回されている。

最初に出会ったとき、彼は長期にわたる離婚調停中だったため、私たちは正式に付き合っているとは明言できない状況だった。

「もう少し待っていてほしい」

彼を好きだったからこそ、この言葉を信じて私は離婚の成立を待った。

けれどもただ時間だけが過ぎていき、結局半年くらい曖昧な関係が続いた後に私から別れを告げた。

それで終わりかと思っていたけれど、最近になって風の噂で「彼の離婚が成立した」と聞き、もう一度連絡をしてしまった。

そこから再び前のような関係になっていった。

もう私たちの関係はオープンにできる。それなのに今回も、大介から「付き合おう」と言われないまま時間が過ぎている。

こんなにも好きなのに、どうして彼は関係を進めようとしてくれないのだろうか…。


Q1:一度目の期間で、男が女に対して驚いたことは?


大介と最初にデートしたのは、今から約1年前のこと。当時私は33歳で、大介は38歳。

彼は5歳年上の余裕もあり、優しくて穏やかな性格。すべてを許してくれるような包容力のある大介に、私は会うたびに惹かれていたった。

ただ当時大介は離婚調停中ということもあり、会うのは基本的に私の部屋。大介の家には上がれなかった。

「奥さんが離婚してくれなくて…」

何度もそう嘆いていたのを覚えている。

財産分与などで揉めていたらしく、一緒に暮らしていた期間は3年。その後2年の別居を経ての離婚調停だったらしい。

「離婚って大変なんだね」
「そうだよ。結婚のほうが、ずっと簡単だよ」




私は結婚も離婚もしたことがないからわからないけれど、大介の話を聞く限り大変そうだった。

でもそんな彼を、私は献身的に支えていた。

「澪、ごめんな。こんな中途半端な状況で」
「ううん、いいの。仕方のないことだから」

大介に出会った時、すでに彼は調停中だったので私のことは離婚の理由には直接関係ないけれど、慎重になるのは仕方ない。

「もっと早く成立すると思っていたんだけど…」
「大変だね…」

落ち込む大介のそばにいる時は、極力何も言わないようにしていた。口うるさく言うと嫌われるのは目に見えていたし、私はとにかく、彼の癒やしになることを努めた。

「大介、今日のご飯はどうする?外で食べる?それともうちで食べる?」
「今日はちょっと疲れたから、澪の家でもいい?」
「わかった。大介の好きな物を作って待ってるね」

偏食家の大介のために、私はせっせと料理もした。もともと家事は嫌いではないし、好きな人のために何かをするのは楽しかった。

それに離婚が成立した後に一緒に暮らすシミュレーションのようで、私はワクワクもしていた。




でも当然のことながら、オフィシャルな交際宣言はなかった。

「大介、私たち付き合ってるの?」
「今はちょっとね…。もう少し待っていてね」

大介の立場もあるだろうし、ここで下手に動いて慰謝料などが跳ね上がったら大変だ。もう冷え切っていてお互い会ってさえいないとはいえ、書類上はまだ独身ではない。

だから私は、大人しく待っていた。彼の離婚が円満に成立することを。

でも時間だけが過ぎていき、状況は何も変わらない。その事実に耐えられず…また自分の年齢が34歳になると同時に、恐怖を覚えた。

「私、このまま結婚できないの?」

そう思って、泣きながら大介に別れを告げた。

しかしすぐに良い人が現れると思ってたけれど、現実は厳しかった。

結局大介と別れて半年近く経っても他の人を好きになれず、街のいたる所に大介の香りや思い出を探してしまう。

「どうしよう…。あんなにも好きになれる人は、もう現れないかも」

そう悩んでいた矢先。友達から、「大介さん、ようやく離婚が成立したらしいよ」と聞いた。

そして私はしばらく迷った後、懐かしい連絡先にLINEを送ってみたのだった。


Q2:久しぶりに女から連絡が来たときの男の心境は?


離婚が成立したと知り、久しぶりに連絡をした。本人は何も変わっていなくて、LINEのやり取りを続けたあとすぐに会うことになった。

「…久しぶりだね」

待ち合わせ場所にいつも通り遅れてやってきた大介を見て、私の心は踊る。相変わらずかっこいい。

「澪、久しぶり。なんか痩せた?」
「そう?少し痩せたかもだけど…。大介は何も変わっていないね」

あんなにも離婚を待ち望んでいたはずなのに、大介は意外に飄々としている。

「澪は何飲む?最初は、グラスのシャンパン?」

半年間デートを繰り返していた時のことを、忘れていなかった大介。彼は私の食の好みから靴のサイズまで覚えてくれていた。

「…大介。私やっぱり大介のことが好きだよ」




そんな本音が、思わず漏れてしまった。

大人になってから、本能的に“大好き”と思える男性にどれくらい出会えるのだろうか。

年齢を重ねるにつれてトキメキもなくなってくるし、そもそも人を簡単には好きになれなくなる。

だからこそ、大介のような存在は貴重だった。

好きだし、一緒にいたいと思える。そんな彼を今度こそ離さないと決めていた。

それに離婚が成立した今、結婚への障害は何もない。




でも、ここから予想外の出来事が起こる。

一度も足を踏み入れたことのなかった大介の家に、ようやく上がることができた。目黒にあるタワマンに住んでいる大介の部屋は広くて、いつか私もここに住めるのかと思うと心が晴れやかになる。

「キッチン広くていいね」
「でしょ?とは言っても僕は料理しないからあまり使っていないけど」
「今度ここで、ホムパしようよ!友達とか呼んでさ。私が料理作るから」
「ホムパかぁ。いいね」
「私の友達に大介のことを紹介したいし、何より私も、大介の友達に会ってご挨拶したいの。色々とお世話になるだろうし」

大介の友達には、ほとんど会ったことがない。でもホムパをすれば、周りの人たちにも会える。「私が今の大介の本命です」と、アピールするチャンスでもあった。

「いいよ、そんなことしなくて」
「こういうのは、最初が肝心だから。それに結婚して子どもが生まれたら、横のつながりも大事になってくるから」
「それはそうだね」

そう納得していたはずの大介だった。

しかし復縁してから半年。いまだに友達も紹介されていないし、結婚の話も進んでいない。

果たして、大介は何を考えているのだろうか…。

▶前回:どんな美女でも、デート中に男が引く女の言動。西麻布の個室バーに2人きりでも口説かれなかったのは…

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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復縁した男と女。男が先に進めようとしない理由は…?