男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:「この子、やたら周りの男友達に会いたがるな」デート中の女性に不信感を抱き、その結果…




穂積(ほづみ)と出会ったのは、マッチングアプリだった。

「美里さんのこと、すごくタイプなんです」

初めて会った時、嬉しそうにそう言ってくれた彼の顔を今でもよく覚えている。

それなのに三度目のデート以降、彼からの連絡頻度は減り、いつの間にか連絡が来なくなってしまった。

「私のこと、好きだったよね…?」

私よりも、明らかに穂積のほうからグイグイと来ていた。むしろ私は受け身だった。

それなのに、どうして急に彼の態度は変わってしまったのだろうか。


Q1:男性からすると意外にNGな言動は?


初めて穂積と初めて顔を合わせたのは、恵比寿のカフェだった。

「初めまして。…美里さんですか?」
「そうです、初めまして」

マッチングアプリのアイコン写真を見た時から「素敵な人だな」と感じてはいたけれど、実際に会ってみると予想以上だった。

少し細身の33歳。慶應卒で、丸の内にある大手総合商社勤めで結婚願望アリ。爽やかな雰囲気で、まったく悪い点が見当たらない人だった。

「美里さん、写真と全然変わらないですね。実は僕、すごくタイプで」
「本当ですか!?嬉しい」
「アプリって、特に女性は写真を盛っている人が多いと聞いたので…」
「ガッカリしませんでしたか?大丈夫でした?」
「はい。お綺麗でびっくりしました」

会話もスムーズで、手応えがあった。穂積もそう感じてくれていたようで、次回のデートは夜にする約束をして別れた。

そして初対面から2週間後。

穂積が予約してくれていたのは、元はガレージだった場所をリノベーションして作られたという『SES(セス)』だった。




アパレルショップか、新進気鋭のデザイナーズ事務所のような小洒落た雰囲気の店内。穂積は店選びのセンスまで良かった。

「お洒落なお店ですね!」
「来たことありました?前から気になっていて、一度来てみたくて」
「初めて来ました♡」

お店が良いと、会話も必然的に弾むもの。また料理だけではなく美味しいグラスワインが多くて、お酒も進む。




「美里さん、お酒強いんですか?」
「強くはないけど…好きなんです♡」

実は、お酒は強い。でもデートで酔っ払うなんて失態は絶対に犯したくないので、弱いフリをしている。多少の計算は必須だ。

そうすると大概の男性は気づかず、本当にお酒が弱いと思ってくれる。

「美里さんって、絶対モテますよね?」
「ふふ♡どうだろう…。でもまぁモテるほうかもしれません」

今年で30歳になるけれど、年齢なんて関係ないと思う。なぜならマッチングアプリでのマッチ率も良いし、デートの誘いもある。

「30歳になって、年上だけじゃなくて年下からも『好き』って言ってくれるのが増えましたね」

自分の年齢が上がるとともに、以前は興味のなかった年下も眼中に入るようになった。

「そんなに『好き』って言われる機会があるんですか!?すごいですね美里さん。大人になるにつれて、減りませんか?」
「どうなんでしょう…。あまり変わらないかもです」
「ずっとモテてきたんですね(笑)」
「ご想像にお任せします♡」

私のこのエピソードを聞いて俄然やる気に火がついたのか、急に前のめりになってきた穂積。私は男性の闘争心に火をつける瞬間が、好きだった。

「やば。美里さんめっちゃ魅力的ですね」

この日は二軒目も行ったけれど、二軒目でも穂積はグイグイと来た。そして次のデートの約束も穂積から決めてきたので、これでほぼ決まりかと思っていた。


Q2:三度目のデートで男がフェードアウトした理由は?


三度目のデートは、韓国料理になった。

― 今日あたり、穂積は何かしら動いてくるはず…。

そう思ったので、体のラインがわかるように少しタイトな洋服に、お気に入りのバッグを持ってデートへと向かう。

「美里さん、洋服大丈夫ですか?匂いついちゃうかもですが…」
「大丈夫ですよ〜。普段こういうお店は来ないから、逆に新鮮です」
「美里さん、高いお店しか行かなさそうですよね」

たしかに、私は有名店や高級店へ行くことが多い。でも決して、こういうカジュアルなお店が嫌いなわけではなかった。

「全然。たまにはいいですよね」
「マッコリとか飲めますか?」

前回はまだ多少の距離があったけれど、カジュアルなお店のおかげか、今回はだいぶ打ち解けることができた気がする。




「美里さんってスタイルいいですよね」
「え〜やめてくださいよ。そんなことないですよ」

とはいえ、さっきから穂積がさりげなく私の胸元を見ていることには気がついている。今日はキャミソールの上にシースルー素材のトップスで、さりげなく女らしさをアピールできる洋服だった。

「美里さんって百戦錬磨って感じですよね。振られたことありますか?」
「振られたことは…ないかもです(笑)」
「やっぱり」
「でも、私男友達が多くて。だから好きになられそうだなと思ったら、友達に持っていくパターンが多いかも」

男女の友情は成り立つと思っている派だ。下手にややこしい関係になって拗らせるくらいなら、友達になってしまったほうが長く付き合える場合もある。

「たしかになぁ…。中途半端な関係で終わってしまうのは、悲しいですもんね」
「そうなんです。しかも私の男友達、イケメンが多くて。みんないい人たちなんです。穂積さんは?女友達、多いですか?」
「どうだろう…。まぁ普通にって感じですかね。同期とかはみんな仲良しですけど」

そしてこんな会話をしている時に気がついた。穂積はずっと敬語だ。敬語だと距離を感じるので、やめてほしい。

「あの…穂積くん、そろそろ敬語やめない?」
「そうだね。もう3回目だしね」




敬語をやめた私たちは、韓国料理屋を出てもう一軒行くことにした。

「どこかあったかなー…」

そう悩む穂積に、私はあるお店の提案をする。

「会員制のバーを知っているんだけど、そこ行かない?この前連れて行ってもらったんだけど、すごく素敵なお店で」

先日知り合いに連れて行ってもらった西麻布にあるバーは、暗くて個室で、雰囲気も良かった。そこなら穂積との距離も縮まりそうだ。

しかも実際にバーへ行ってみると穂積も気に入ったようで、かなり上機嫌になっている。

「この店、カッコイイね。美里ちゃんは普段からこういうお店使ってるの?」
「誰かに連れてきてもらわないと来ないけど…ってごめん!他の人の話をして。私は、穂積くんが一番だよ♡」

そう言いながら、さり気なく穂積の太ももに手を置いてみる。

「一番♡」という言葉とともにそっと体に触れれば、ほとんどの場合、男性から口説いてくる。

「美里ちゃんって嬉しいこと言ってくれるよね。とりあえず飲もうか」

こうして夜も更けていった。

この日は結局25時くらいまで飲んでいたのだけれど、解散するまで穂積は楽しそうにしていたし、変わった点は特になかった。

それなのにこのデート以降、穂積から連絡がなくなった。一体彼は、何が気に入らなかったのだろうか…?

▶前回:「この子、やたら周りの男友達に会いたがるな」デート中の女性に不信感を抱き、その結果…

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

▶NEXT:3月19日 日曜更新予定
男が3回とも見ていた、女のある言動は?