昨年末、お笑い芸人、天才ピアニストのますみさんと竹内知咲さんは熱狂の渦中にいた。

女性コンビとしては36年ぶりに「NHK上方漫才コンテスト」で優勝。続いて「女芸人No.1決定戦 THE W」でも前回準優勝の雪辱を晴らし、見事頂点へ。

年が明けて目まぐるしい日々が続く中、天才ピアニストのふたりにインタビューを敢行。

おしゃれなスタンディングバーで、ナチュールワイン片手にふたりが明かすリアルな本音は、必読です!




勝者のふたりは、路地裏のワインバーで立って杯を交わす


普段は上沼恵美子さんのモノマネメイクが常のますみさんと、地味な服が多い竹内さんだが、ガラリと艶っぽく変身した姿でカウンターに立つと、店が一気に華やいだ。

竹内:ますみちゃん、えらいおっきいパールして、ゴージャスやなぁ。なんや、大阪万博2025のパビリオンにでも、呼ばれたんかと思たわ。

ますみ:竹内さんこそ、普段はスカートなんか穿けへんし、そのスケルトンな二の腕とかも、めっちゃレアちゃう?世界を狙う新進気鋭のデザイナーにしか見えへんけど。

竹内:しっかし、ナチュールワインのお店って聞きましたけど、このおしゃれなお店はなんですの?

ますみ:実家のお母さんは、いつも紙パックのワイン飲んではったけど、それとは違うんやろか。でも、この料理、すっごい個性的な味して美味しいで。

竹内:ますみちゃん、このオレンジワインってのも、めちゃくちゃ飲みやすいわ。けど、ワインの素人に「飲みやすい」って言われるの、絶対にだるいやろな。ホント、すいませんねぇ。



撮影中、ますみさんが興味津々だったイケメンシェフ・野堀さんは、ナチュール好きが高じて、「自分たちが通いたい店を」と『ORI』をオープン。築70年の和食店をモダンに改装し、全国の作家ものの器をそろえるなど、こだわりは随所に


目の前で繰り広げられる純度100%の“おばちゃんトーク”に、思わずシェフの野堀貴則さんも吹き出した。

だが、普段から“あるあるネタ”をYouTubeにアップしているふたりだけあって、その観察眼は鋭い。

ボケをかましながらも、「洗練された感じやけど、そんなに堅苦しくないですし、リラックスできる雰囲気がいいですね」と竹内さんが言えば、「若い人でも入りやすいんじゃないですか」とますみさん。

それはまさに、「20代、30代の人たちが気軽に集える場所を作りたい」と野堀シェフが話す店の核心そのものだ。



ナチュールに合うチーズも随時用意されている。この日、竹内さんが味わったのは北海道で作られた白カビのチーズ 500円〜


だが普段のふたりの外食事情はというと、拠点が大阪のため、東京では駅近くの居酒屋でパッと食べて新幹線に飛び乗るのが常。

泊まりの場合でも、ますみさん曰く「スマホで検索して近くの店で済ますことが多い」という。

東京カレンダーの存在も、竹内さんは「不勉強で申し訳ないんですが、品川駅の本屋で立ち読みしたことがあるくらい」とのこと。

当然、神楽坂は元より、港区、西麻布経験もゼロだ。

ますみ:まだ行ったことないですね。月末にテレビ局の人と食事するんですが、もし連れてってもらえたら、テンション上がると思います。

竹内:ますみちゃん、あのニーハイブーツ、履かなあかんのちゃう?

ますみ:ほんまや。あれは私の“イキリ”アイテムやから。優勝した今のうちに、履き始めな。

竹内:マジで1回も足通してへんかったもんな。けど、劇場に履いていっても、先輩に突っ込まれるだけやで?

ますみ:せやから、東京で履きたいんやんか。うわ、せっかくやったら、今日、神楽坂に履いてきたら良かったな。

竹内:たしかにジャージでは歩かれへんような、おしゃれな街やったもんな。

ますみ:ほんま、上本町(※大阪)の坂とは、全然ちゃうかった…。



恒例の上沼恵美子さんメイクを披露してくれたますみさん。撮影の感想を尋ねると、すぐさま強烈な掛け合いで返してくれるふたりであった


現在、出演するライブは即日ソールドアウトが続く。だがそれも自分たちの実力ではないと竹内さんは言い切る。

「ゲスト出演してくださる芸人さんが、みんな人気者ばかりですから。これからは単独で300、400っていう席を埋められる芸人になりたいですね。

ルミネやNGKでの単独ライブは、今年中に絶対叶えたい目標です」

賞レースは、あくまでも自分たちの実力を確かめるツールに過ぎないと考えているふたり。

ネタが好き、ネタでお客さんを笑わせたい。それこそがお笑いの醍醐味だと信じているのだ。

「もしチケットを逃しても、配信でも楽しめますからぜひ!」

いい時代になったと思いながら、次の現場へと急ぐふたりを見送った。ますみさんのニーハイブーツがデフォルトになっていくのが楽しみだ。


撮影したのは…『ORI』


これまで神楽坂には、スタンディングといえど、“立ち呑み”、“角打ち”と呼んだ方がしっくりくる大衆的なスタイルの店が占めていた。

ところが近年、クラフトビールが楽しめる『BEER OLYN』や、生ハムとワインのマリアージュを推す『生ハムCOMPANY』など、若い店主たちによるおしゃれスタンディングが続々誕生。

昨秋には、人気スペイン料理『エスタシオン』の姉妹店として、ナチュールと小料理をコンセプトにした『ORI』もオープン。

客の年齢層が高めといわれる神楽坂に、新世代の飲み手がじわじわと増えている。

■店舗概要
店名:ORI
住所:新宿区神楽坂3-4 河村荘
TEL:03-5579-8979
営業時間:16:00〜23:00
定休日:日曜
席数:スタンディング10席


■プロフィール
天才ピアニスト 2016年に結成した女性漫才コンビ。京都府出身の竹内知咲がツッコミとネタ作りを担当。奈良県出身でボケ担当のますみは、元看護師という異色の経歴を持つ

■衣装
[竹内さん]ブラウス 26,400円、スカート 35,200円〈ともにピンキー&ダイアン TEL:03-5785-6423〉、その他スタイリスト私物
[ますみさん]すべてスタイリスト私物

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東京カレンダー最新号では、天才ピアニストのインタビュー全文をお読みいただけます。
東カレに語ってくれた、ライブの話や嬉しくなることとは?

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