Galaxyのカメラの100倍ズーム機能「スペースズーム」で撮影した月の写真は「AIによる偽造」という指摘
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2020年に登場したSamsungの「Galaxy S20 Ultra 5G」をはじめとするSamsungのハイエンドスマートフォンでは、AI処理を施した最大100倍の「スペースズーム」を特徴のひとつとしています。しかし、Samsungのスペースズームで撮影した写真は「正確なものではない」とRedditユーザーのibreakphotosさんが指摘しています。
Samsung "space zoom" moon shots are fake, and here is the proof : Android
It looks like Samsung is cheating on 'space zoom' moon photos | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/23/03/11/samsungs-smartphone-space-zoom-may-lean-heavily-on-ai-for-moon-shots
Redditユーザーのibreakphotosさんは、SamsungのAI処理を加えることで最大100倍ズームを実現する「スペースズーム」機能の信ぴょう性にかねがね疑問を抱いていたそうです。そこで、実際にスペースズームを利用して撮影できる写真を検証したところ、「スペースズームで撮影した写真は、完全な捏造というわけではないものの、本物というわけでもないことがわかりました」と説明しています。
アメリカのテクノロジー系YouTuberとして人気のMKBHD氏ですら、YouTubeショートでスペースズームで撮影したとされる写真が捏造されたものではないと主張しています。しかし、「これは正しくない」とibreakphotosさん。ただし、「Samsungのスペースズームで撮影した写真が、偽造されたものであると証明することができた人はいません」とも述べています。
ibreakphotosさんが行った検証作業は以下の通り。まずは月の高解像度画像をインターネット上からダウンロード。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/2/8/2813e_88_099a673fa897ec1aa418c673a0bd2f75.jpg)
次に、月の高解像度画像を170×170ピクセルに縮小し、ガウスぼかしで全体をぼかします。これにより、月のディテールは判別できないようになりました。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/e/f/efef8_88_9c1e1850f0d3a19f0e97bd44340f2316.jpg)
以下はぼかし処理により月のディテールがどれくらいつぶれたのかを分かりやすく示すために、170×170ピクセルのぼかし処理済みの月写真を4倍に拡大したもの。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/f/b/fbfde_88_7a4744aa29d27d4f4449d4d44a555cf7.jpg)
170×170ピクセルのぼかし処理済みの月写真をモニター上に全画面で表示し、部屋の照明をすべて消し、モニターから可能な限り離れてGalaxyのスペースズーム機能を使った100倍ズームでぼけた月の写真を撮影。撮影の様子は以下の画像を右クリックして「再生」をクリックすればチェックできます。
そうして撮影した写真が以下のもの。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/0/0/00079_88_d854d2a377f421c754725e8973364eb0.jpg)
モニターに表示していた月の写真(左)はぼかし処理によりディテールが完全につぶれていたにもかかわらず、撮影した月の写真(右)はディテールがかなり精細になっていることがわかります。
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複数のフレームを組み合わせて写真のディテールを精細に表現する超解像度処理と、さまざまな月の写真でトレーニングされた特定のAIモデルによるディテールの復元処理には明らかな違いがあると、ibreakphotosさんは指摘。ibreakphotosさんが行った実験が示しているように、復元するディテールが存在しないにもかかわらず、ディテールがより精細に表現されているため、Samsungのスペースズームは月の写真でトレーニングされたAIモデルが利用されている証拠であるというわけ。
そのため、ibreakphotosさんはSamsungのスペースズーム機能について、「マーケティング的に欺瞞であり、AIを用いて本来存在しないディテールを追加しています。メディアによるスペースズーム機能のレビュー記事では、マルチフレームやマルチ露光などについての言及がありますが、実際は光学系の処理はほとんどなくAIを用いたディテールの追加のみが行われているようです。光学系の処理では目に見えない細部まで復元することはできません。月は地球に潮汐ロックされているため、月の画像でAIモデルをトレーニングし、月のようなものが検出されたときだけテクスチャを貼りつけることで月の写真のディテールを精細にすることは非常に簡単です」と言及しました。
しかし、Samsungはスペースズームで撮影された月の写真が精細過ぎるという疑念に対して、「写真を撮影するときに画像のオーバーレイやテクスチャ効果は適用されていません。シーンオプティマイザーによりオブジェクト検出が混乱した場合、類似のオブジェクトに同じテクスチャパターンを実行してしまうなどのミスにつながるためです」と述べていますが、「実際にそのような処理が行われている」とibreakphotosさんは指摘しています。
なお、Galaxyのカメラ設定からシーンオプティマイザーをオフにするとスペースズームで撮影しても月のディテールが精細に処理されることはなくなるそうです。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/5/6/56ae5_88_22b9db6532516b4dd9ab631831778796.jpg)