カナルタイプのイヤホンが全盛の昨今ですが、音楽などへの没入感が高い一方で、圧迫感は少なからずあるほか、外の音が聞こえないことを不便に感じる場合もあります。マイクを使って外の音を取り入れる機能を備えた製品もありますが、圧迫感が軽減されるわけではありません。こうしたことから、連続して装着していられるのはせいぜい3時間といったところで、音楽はまだまだ聴いていたいのに、耳が痛いからという理由で外してしまう人も多いのではないでしょうか。今回紹介する「cheero Wireless Open Earphones」は、カナル型と異なり、耳たぶに挟んで使う構造を採用したクリップ型のワイヤレスイヤホンです。発売されたばかりのこの製品、今回はメーカーから2週間ほど製品を借用して試用してみました。製品本体。バナナのようなクリップが特徴ですクリップ部とイヤホン部が連結された構造本製品は、バナナのような形をしたクリップと、イヤホン部が連結された形状になっています。これを指先で広げ、耳たぶに挟み込んで使用します。カナル型のように、耳の穴に差し込んで使うわけではないため、耳が痛くなることもなく、また音楽を聴きながら外部の音もとらえることができます。圧迫感が苦手、あるいは環境音が聞こえないのは困るという理由でカナル型のイヤホンを敬遠している人にはぴったりです。この隙間を耳たぶに挟んで使用しますクリップは挟む力を調節する機能はありませんクリップ部が耳の後ろに回るように挟みますAirPods Pro(右)との比較。クリップはやや大きめ耳たぶに引っ掛けるオープンイヤー型と比べた場合はどうでしょうか。本製品はクリップで耳たぶに挟み込むことから、激しく動いても脱落の恐れがほぼ皆無なのが、オープンイヤー型との大きな違いです。うつむいたりしゃがんだりといった姿勢の変更はもちろんのこと、走るなどの激しい動作でも、脱落する事はまずありません。ジョギングなど運動をしながら使うイヤホンとしては最適だといえます。もちろんリモコン機能も備えています。右耳のピースには、1回押すと再生/一時停止、2回押すと早送りといった、基本的な操作が割り当てられています。一方の左耳のピースには、いちど押すとモードの切り替え、2回押すと早戻しといった具合に、右耳とは別の役割が割り当てられています。左右の割当が逆のように思わなくはないですが、慣れればそれほど気にはならないでしょう。またコーデックが一般的なSBCやAACに加えて、aptXに対応するのも、昨今のイヤホンの中では珍しい仕様です。aptXは遅延が少ない特徴があるものの、決してメジャーなコーデックではないため、対応するワイヤレスイヤホンを探そうとすると骨が折れます。そうしたユーザーにもハマる製品と言ってよいでしょう。充電用ケースはワイヤレス充電にも対応しますケースで充電しつつ最大20時間の再生が可能ですAirPods Pro(右)の充電ケースに比べると大柄ボディカラーはほかにグレーとホワイトがあります注意したいのは、外部の音が聴こえる状態で使うことから、音量はある程度上げる必要があり、それゆえ音楽がすみずみまで聴こえるようボリュームを上げると周囲からも音が聞こえてしまうことです。電車の座席のように、隣の人の耳がすぐ傍にあるような環境での利用は、あまりおすすめしません。図書館のように、ほかの人がいる静かな部屋での利用も、避けたほうがよさそうです。そんな本製品に馴染めるかどうかの最大のポイントは、耳たぶに挟むという仕組みがどれだけ馴染めるかでしょう。本製品のクリップは挟む強さを調整できるわけではないため、思ったよりもキツいなと感じても、それを和らげる術はありません。それゆえ、気になる人とならない人とがはっきり分かれそうです。筆者の場合、常用している骨伝導イヤホンは、つけたことをすっかり忘れて家の中を歩き回るほどなのですが、本製品はそこまで存在を忘れるほどではなく、2週間ほど試用した限りでは、何かをつけたままという違和感は解消されないままでした。圧迫感のなさや脱落しにくさはカナル型と比べた場合の大きなアドバンテージですが、カナル型とはまた違った意味で、ユーザーを選ぶ製品であるといえそうです。DATA製品名:cheero Wireless Open Earphones(CHE-643) 
実売価格:9,880円 
発売元:ティ・アール・エイ 
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B0BJ6RCNM2/