TwitterのCEOに就任したイーロン・マスク氏は従業員の3分の2を解雇するという大規模な人員整理を行っていますが、その中でもセキュリティスタッフを大量解雇していたり、Twitter上の嫌がらせやいじめなどの不適切な投稿を防止することを目的とするTrust&Safety協議会(以下、TSC)の元メンバーが突然辞任してその理由を語ったりと、セキュリティやモデレーションを自動化していくことへの懸念も高まっています。そんな中で、Twitterは2022年12月12日に突然TSCを解散することを発表しました。

Twitter dissolves Trust and Safety Council, Yoel Roth flees home - The Washington Post

https://www.washingtonpost.com/technology/2022/12/12/musk-twitter-harass-yoel-roth/

Elon Musk’s Twitter Disbands Trust and Safety Council - WSJ

https://www.wsj.com/articles/elon-musks-twitter-disbands-trust-and-safety-council-11670898329

「ユーザーの安全を擁護し、公共の会話の健全性を向上させる」を目的とするTSCは、Twitterの幹部に対して人権問題や嫌がらせ、自殺防止といった重厚な課題についてのポリシーを指導することを任務としています。しかし、CEO就任後のマスク氏のモデレーションを軽視する動きから、Twitterに長年勤めた幹部3人が「嫌気が差した」として2022年12月9日に辞任を発表し、辞任した理由を説明するツイートにマスク氏が強い言葉で反論したことから、TSCの問題について話題になりました。

Twitterに嫌気が差して辞職したTrust&Safety協議会の元メンバーが辞めた理由を語る、マスク氏も登場して大激論 - GIGAZINE



そして12月12日の夜、TwitterはTSCの解散を発表しました。Twitterは解散に際して、「Twitterが新たな段階に移行するにあたり、製品やポリシーの開発業務に外部の知見を取り入れる最善の方法を再検討しているところです。このプロセスの一環として、Trust&Safety協議会は最適な構造ではないと判断しました」と説明しています。

ワシントン・ポストによると、「TSCの関係者はTwitterの幹部とリモート会議で打ち合わせを行ったところ、その話し合い後1時間も経過しないうちに、解散のメールが届いた」と話しているとのこと。解散を告げるメールには、「近年のあなたの活動、アドバイス、協力に感謝します。あなたの将来の成功を祈っています」と記されていたそうです。

他のTSCの関係者は解散に関し、「これは、私たちが会社にもたらした何年にもわたる組織の記憶を、あっさり捨ててしまうことに他なりません。外部の専門家やサポーターにサービスを監視してもらうことは、プラットフォームをよりよくする賢い選択でなければならないはずです」とTwitterの将来について懸念を述べています。

TSCを解散する代わりに、マスク氏が直接重要な決定に関与するコンテンツ・モデレーション協議会の創設が提案されています。マスク氏は2022年11月末ごろ、多くの凍結されたアカウントを解除する一方で、自身の価値観に依存した判断基準で凍結を解除するかどうか決めているとして猛烈な非難を受けています。

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by Tesla Owners Club Belgium

世界中で報道の自由を促進する非営利団体・ジャーナリスト保護委員会で代表を務めるジョディ・ギンズバーグ氏は、TSCの解散について「オンラインの安全性は、オフラインで生きていくことと同じことを意味する可能性があります。イーロン・マスク氏がジャーナリストやメディアに対し敵対的な発言をしていることと相まって、Trust&Safety協議会の解散は重大な懸念事項となっています」と非難しています。