©️PantherMedia / Valerio Rosati

 火曜夜にマンチェスター・ユナイテッドは、短い声明の中でクリスチアーノ・ロナウドと「双方合意の下で、即時に」退団することを明らかにした。そしてバロンドールを5度受賞しオールド・トラッフォードで346試合に出場して145得点を挙げた、稀代のストライカーに対する感謝の気持ちも綴っている。確かに彼ほど近代サッカーでインパクトを与えた選手もそういないだろう。ただ最近ではピッチ上よりむしろ、ピッチ外の方が注目を集めており、特に直近で物議を醸したインタビューでは、テン・ハフ監督などクラブへの批判や暴言を公の場で展開していた。だがこれに対して『赤い悪魔』は、決して慌てることもなく冷静に「適切な措置を講じる」ことだけを発表。そして今回の身近な声明分によりスーパースターとの協力関係に終止符が打たれたのである。
 
 2003年から2009年まで在籍し、世界的スターとなって2021年夏に復帰したクリスチアーノ・ロナウドだったが、かつての栄光の日々をここで続けることはできず、次第に欠場が目立つようになっていき、確かに2度目の在籍期間では53試合に出場して27得点をマークしてはいるものの、それでもベンチスタートとなることが少なくなく、今季はリーグ戦10試合で1得点のみにとどまっていた。これから37歳となった点取屋がどこに向かうかはわからない。ベンゼマが負傷離脱した古巣レアルに売り込んだという話題や、オーストラリア・リーグ最高責任者が「話し合い」を認めるなど既にこちらの話題も豊富だが、ただ現在はポルトガル代表主将としてカタールの滞在中で、今はW杯優勝という念願達成を目指しているところ。ちなみに前述のインタビューで代表内の雰囲気にも影響を及ぼしたとの噂は、代表側が否定している。

 一方でマンチェスター・ユナイテッドの今後はどうなるのか。ロナウドとの決別発表からさらに、クラブ側からは将来の方向性に関する新たな発表がなされた。それは「クラブの将来を更に推進していく」ことを目的としており、「究極の目標」としてはクラブが「競技面とビジネス面の両面でのチャンスを活かせるようにすること」。そのために「新たな投資やクラブ売却の可能性」など、あらゆる選択肢を検討することにしており、老朽化が進むオールドトラッフォードの改修や、クラブのインフラの整備など「世界規模での商業活動の拡大」をテーマをして掲げている。「これらは全て男子、女子、ユースの長期的な競技面の成功を促進すると共に、ファンや関係者への付加価値を創出することを目的としています」

 2005年以来オーナーを務めるアメリカのグレイザー家は、ここのところはファンとの間で厳しい時を過ごしているところであり、不人気なオーナーに対する強い抗議が繰り返し行われているところ。なおプレミアで戦略的再編が検討されているのは、直近ではリバプールが明らかとなっており、最高経営責任者であるトム・ヴェルナー氏はクラブのオーナーであるフェンウェイ・スポーツ・グループがレッズの売却を検討しているとBoston Globe紙に語った。