匿名の仮想通貨ユーザーが、著名人の仮想通貨ウォレットに少量のイーサリアム(ETH)を送金していることが明らかになっています。

Someone Is Trolling Ethereum Celebs by Sending ETH From Crypto Mixer Tornado Cash

https://www.coindesk.com/policy/2022/08/09/someone-is-trolling-celebs-by-sending-eth-from-tornado-cash/

イーサリアム分析プラットフォーム・Etherscanの調査により、匿名の人物がTornado Cashを用いて仮想通貨取引所・Coinbaseのブライアン・アームストロングCEOや、テレビ司会者として著名なジミー・ファロン氏、コメディアンのデイブ・シャペル氏、NFTアート作家のBeeple氏、衣料品ブランドのプーマ、ウクライナへの寄付のために作成されたイーサリアムアドレスなど宛に、少量のイーサリアムを送金していることが明らかになっています。

各イーサリアムアドレス宛に送金されているのは0.1ETH(約2万3000円)





この謎の送金に使用されたTornado Cashは、複数の取引データをミックスすることで仮想通貨取引の匿名性を向上させるという仮想通貨ミキシングサービスのひとつとして知られるものです。仮想通貨ミキシングサービスはその性質から犯罪組織のマネーロンダリングなどに使用されています。そのため、2022年8月8日にはアメリカ財務省が、北朝鮮系のサイバー犯罪グループのマネーロンダリングに関与したとして、Tornado Cashに制裁を加えたことを発表しています。この制裁により、アメリカでは個人および団体がTornado Cashで取引することが禁じられることとなりました。なお、Tornado Cashの使用を禁止されたのは「アメリカ本土に居住するすべての人および国外在住のアメリカ国籍を取得している人物」です。

アメリカ財務省が仮想通貨ミキシングサービス「Tornado Cash」を制裁、北朝鮮の資金洗浄に関与か - GIGAZINE



「Tornado Cashを用いて0.1ETHを著名人のイーサリアムアドレスに送金する」という謎の事態は、@depression2019というTwitterアカウントが8月9日に投稿した以下のツイートを倣ったもののように思えると仮想通貨関連メディアのCoinDeskは報じています。





そもそも、Tornado Cashではユーザーからの送金を拒否することができません。たとえブラックリストに登録されるような問題のあるアドレスから送金があっても、「その送金を受けるかどうか選択する」ことすらできないわけです。そんなTornado Cashの持つ性質を用い、アメリカ財務省による制裁が持つ矛盾を指摘するというのが、今回の「Tornado Cashを用いて0.1ETHを著名人のイーサリアムアドレスに送金する」の目的なのではとCoinDeskは指摘しています。