HDDメーカーのSeagateが2022年7月21日に行われた決算会議において、次世代記録技術「HAMR(熱補助型磁気記録)」に対応したHDDを2023年半ばにリリースすることを明らかにしました。最初に登場するのは30TB以上のHDDで、2026年には50TB以上の製品の登場が予定されています。

Seagate Technology Holdings plc (STX) CEO Dave Mosley on Q4 2022 Results - Earnings Call Transcript | Seeking Alpha

https://seekingalpha.com/article/4525027-seagate-technology-holdings-plc-stx-ceo-dave-mosley-on-q4-2022-results-earnings-call

Seagate Aims to Ship 30TB+ HAMR Hard Drives in Mid-2023 | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/news/seagate-aims-to-ship-30tb-hamr-hard-drives-in-mid-2023

Seagate 30 TB+ HAMR HDDs To Ship By Mid-2023

https://wccftech.com/seagate-30-tb-hamr-hdds-to-ship-by-mid-2023/

SeagateはHDDの容量を増やすために、より多くのデータビット(粒子)をプラッタに入れられるよう、1平方インチ当たりの表面積に詰められるビットの密度を高めようと試みているとのこと。ビット数が多ければ多いほど多くのデータを保存できるようになります。すでにSeagateは1平方インチ当たり約1.116Tbの面密度を実現した20TBのHDDを販売していますが、技術的に40TBを実現する1平方インチ当たり約2.6Tbの面密度を達成しており、2030年までに100TBを実現する1平方インチ当たり6Tbに成長させられることが実証されているとのこと。

このような密度を実現するのに役立つのがHAMRです。通常、密度が増えると粒子間の距離が縮まり、各粒子の磁気によって周辺の粒子の磁気方向に影響が出る可能性があるとのこと。これにより常温での粒子の安定性に問題が生じますが、新素材のプラッタを使用することで問題は解消されます。しかし、そのようなプラッタで安定させた粒子の磁気方向をどのように変え、どのようにデータを書き込めばいいのかという別の問題も生じます。

この問題を解消するHAMRは、レーザーにより特定の領域を加熱することでビットの磁気極性を反転させ、データの書き込みを可能にしているとのこと。各ビットは1ナノ秒で加熱・冷却されるそうで、レーザーがドライブの温度に影響を与えたり、メディア全体の温度や安定性、信頼性に影響を与えたりすることはないと説明されています。



SeagateはこのHAMRを搭載した30TB以上のHDDを2023年にリリースすると発表しましたが、この時点で一般のユーザー向けに出荷されることはなく、まずはデータセンター市場の一部の顧客にのみ出荷される予定だとのこと。

Seagateのロードマップでは、2024年後半に40TB以上のHDD、2026年に50TB以上のHDDの登場が予定されています。