男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「同棲2年目、女が家を出て行った理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:「結婚も考えている」と言葉にしたはずなのに…。同棲2年目で、女が男を置いて出て行ったワケ




同棲して2年、交際は4年にも及ぶ大好きだった大輔を目の前にして、私はさっきから涙が止まらない。

「大輔、ごめん。私大輔とは結婚できない…」

自分で出した答えのはずなのに、いざ言葉にすると想像以上に悲しくて、そして残酷だった。

「未央、それは本気…?」

大輔の優しい眼差しが、今は辛い。大好きだった左右アンバランスな二重幅。右は綺麗な二重なのに、左だけ少し奥二重なところが、私は好きだった。

「うん。ずっと悩んでたくさん考えたけど、やっぱり無理だよ」
「なんで?何かあれば直すから。何でも言って」
「大輔、そう言うことじゃないんだ。私たち、頑張ってきたけど無理だったじゃない」

「本当に別れていいのか」何度も自問自答して、出した答えだ。だから私はもう振り返らないと決めていた。

― サヨウナラ、大輔。

34歳からの再スタートは厳しいかもしれない。でも私は荷物をまとめて、1ヶ月後に彼の元を去った。


大好きだったはずの男の元から女が去った理由は…


A1:同棲における“ゴール”を明確にしていなかったこと。


大輔との出会いは友人主催の食事会だった。ただ最初は友達として仲良くなった。

しかし何度かみんなで遊んでいるうちにいつの間にか好きになっており、そして付き合うように。

交際当初は別々に住んでいたけれど、世の中がパンデミックになりおうちデートが増えたタイミングで、私たちは一緒に住むことにした。

ちなみに彼の家のほうが広かったので、私が大輔の家へ引っ越すことになる。




ただ同棲を開始するにあたり、懸念事項がいくつかあった。

「結婚前の同棲はすべきではない」「結婚というゴールを設定してからにしたほうがいい」など、いろんな人から聞いていたから。

だから私は、同棲をする前に一度大輔に、私の両親へ挨拶に来てほしかった。そもそも“嫁入り前”なのだ。

男のケジメとして挨拶くらいはしてくれるだろうと思っていたが、彼の考えは違った。

「大輔。一緒に暮らすことの意味、わかってる?」
「え、まぁ一応…」
「今年で、私は32歳。大輔は35歳。お互いいい年齢でしょ?だから同棲する前に、一度私の両親に挨拶に来てほしいんだけど」
「え!なんで?」

むしろ、この反応に私は驚いた。まったく将来のことを考えずに「一緒に住もう」なんて言ったのだろうか。お互いいい年齢なのに、納得のいっていなさそうな大輔を見て、若干の怒りさえ湧いてきた。

「ケジメっていうものがあるでしょ。それにこういう挨拶は大事だから」
「わかった。でも一旦生活が落ち着いたらにしよう」
「それっていつなの?」
「その時が来たら、ちゃんとご挨拶に伺うから」

たしかに、大輔はこの時「ちゃんと挨拶へ行く」と言った。

「本当に?約束だよ」
「うん、約束する」

「約束する」とも言った。

けれど結局コロナなどで私の両親への挨拶は果たせないまま、同棲が始まってしまった。

ただこれは、私にも責任があると思う。無理矢理でもいいから、ちゃんとケジメをつけておくべきだったと思う。

こうして、ゴールを明確に設定せずに始めてしまった同棲。

もちろん日々の生活の中で募る不満もあった。

「大輔、ゲームしている暇があるんだったら洗い物くらいしてよ」
「わかった、後でする」
「後でじゃなくて、今やって」
「これが終わったらするから」

でもこんな日常生活の些細なことなんて、どうでもいい。私が別れを決めたのには、もっと他の、大きな理由があった。


「いつまでもそばにいる」と思っていた男の勘違い。女の本心は…


A2:結婚に対して煮えきれなすぎる。我慢の限界が来た。


たしかに、私たちは喧嘩も多かった。

例えば大輔は、想像以上に家のことをしなかった。何度促しても家事にはノータッチ。

また趣味のサッカーのことになると夢中になりすぎて、好きなクラブの試合がある日などは、私のことは基本的に放置...。

けれども比較的にすぐに仲直りをしてきたし、その点はあまり気にしていない。

私が一番失望したのは、いつまで経っても煮え切らない大輔の態度だった。

「大輔ってさ、本当にいつもいい加減だよね。『一緒にこれをしよう』と言っても守らないし、結局私の親への挨拶にも来てないし」

同棲を開始して、気がつけば2年が経っていた。

交際を開始した時は30歳だった私も、もう34歳。大輔に至っては、もうすぐ38歳になる。

世間一般からすれば結婚に適した年齢だと思うし、付き合って4年も経つのに、未だ結婚に対して逃げ腰な大輔に私はイライラしていた。

「そんなことないだろ。やる時はやってるし。未央のご両親への挨拶は、タイミングを逃しただけで…」
「結局、結婚だって決めきれていないんでしょ?私、もう34歳だよ?」
「もう少しだけ待って、って言ってるよね?」

いつも、大輔が言うセリフは一緒だった。「もう少しだけ待って」、と。

ただ私は、そのセリフで4年間も待ってきた。それでも彼は変わらないし、何も行動に移さない。

むしろ今の、責任も伴わないけれども一緒にはいられる“同棲”という、快適な関係性にあぐらをかいているだけだ。

「いつもそれしか言わないじゃない」
「僕なりに考えているから、ちょっと待ってて。タイミングもあるし」
「タイミングってなに?とりあえず、私しばらく実家に帰るから」

何度話し合っても、同じことの繰り返し。

そして4年も経っているのに、いつまでも結婚の話から逃げ続けている大輔が、ほとほと嫌になってしまった。




この後私は、1週間ほど実家へ帰り冷静に考えた。

大輔のことは大好きだし、人としてこれからも大切な人であることに変わりはないと思う。でも結婚したら、どうなのだろうか。

そもそも4年も自分を放置しておくような、責任感のない男と結婚していいのだろうか。

私は愛されたいし、大事にされたい。

こんなに一緒にいるのに決意できない男は、もうこちらから“お断り”だ。

それに、私たちの交際は長すぎた。これがまだ交際2年目だったら違うのかもしれない。何よりも、私があと5歳若ければ、こんなにも焦らなかったと思う。

でも私は子どもも欲しいし、結婚もしたい。だから、時間を無駄にはできない。

そう決意して1週間後に家へ帰ると、大輔は私の顔を見るなりこんなことを言い始めた。

「未央、ごめんな。こう見えて、僕なりにちゃんと結婚のこと考えているから」
「…本当に?」
「うん。本当に。だから信じて」
「わかった。ありがとう、大輔」

― だから、それを実行に移すのはいつなの?

大輔のタイミングを待っていたら、一生結婚できないと思う。彼と私では、生きている時間軸が違うから。

私の貴重な30代は、信じられないスピードで流れていっている。

そして別れるなら早いほうがいいに決まっている。だから私はキッパリと大輔と別れ、新しいスタートを切ることにした。

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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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どうしても落とせない女