RAKURA、『名探偵コナン ゼロの日常』OPテーマ「Shooting Star」インタビュー

17歳の若さでデビューを果たし、国内のみならず海外でも早くから賞賛を受けているシンガー・RAKURA。R&Bなど様々なサウンドにアプローチする彼女が、そんな幅広い音楽性を示す1stアルバム『tint』をリリースした。今回は彼女のルーツから現在、そして『tint』にも収録されているTVアニメ『名探偵コナン ゼロの日常(ティータイム)』OPテーマ「Shooting Star」について話を聞いた。

小さい頃から目指していた“歌うこと”



――RAKURAさんは福岡出身とのことですが、小さい頃はどのようにして音楽に触れていたのですか?

RAKURA まず、私は2歳から音楽教室に通っていて、3歳からミュージカルをやっていました。なので、3歳が私の初舞台です(笑)。

――3歳が初舞台!

RAKURA でもセリフもなければお姉ちゃんたちに手を引っ張られて踊っているくらいだったんですけど、大人もいるちゃんとした劇団で。それで3歳から中学校まで10年以上ミュージカルをやって、歌とダンスとお芝居を学んできました。その後中学校3年生に劇団を卒団して、RAKURAとしてソロ活動を始めました。

――RAKURAとしてのキャリアもその頃からスタートしていたんですね。

RAKURA 14、15歳くらいですね。もちろん当時は曲を作っていなかったので、すべてカバーでしたね。地元のお祭りに出させていただいたり、市内のカフェやライブハウスでライブをしたりしていました。

――ではその頃から、すでに歌をうたっていきたいという想いは強かった?

RAKURA はい、そうですね。中3で始めて、高校もC&S音楽院という音楽専門の高校に進学しました。普通校に進学しつつレッスンを受けてもよかったのですが、その学校が元々音楽学校で強いパイプを持っているところだったので、少しでもその道の近いところに行きたいと思い進学したんです。高校2年生のときに「九州ティーンズオーディション」を受けたことがきっかけで今の事務所に所属して、高校在学中にデビューしました。



――歌手になるという強い意志を持って通われていたんですね。

RAKURA 入学する前から、この高校3年間で契約を決めて必ず東京に行くと心に決めていたんです。その気持ちで学校に通っていたんですが、学校まで片道2時間かかるんですよ(笑)。でも絶対に3年間休まずに、夏休みも冬休みも学校に行ってレッスンをし、お弁当を1人で食べてスタジオに行って練習して……ってやっていたんです。だから高校2年のときにオーディションに受かったときは、「よっしゃ!思ったより早かったぞ」って(笑)。その所属が決まったからといってデビューが決まるわけではないし、そこからが大変だと覚悟はしていたんですけど、半年間くらいの育成期間ですぐにデビューが決まって。その話がきたのが学校に行っているときだったのですが、マネージャーさんから電話がかかってきて「デビュー決まったよ」とサラッと言われて……「どういうことですか……!?」って(笑)。もう、嬉しくてたまらなかったですね。

――それで17歳のときに「Unforgiven」(2020年11月)でデビューされました。自分のオリジナル楽曲がリリースされ、様々なところで聴かれているというお気持ちはいかがでしたか?

RAKURA いつも自分がイヤホンをして通学中に聴いていた音楽のように、私の曲を誰かが今聴いているかもしれないという状況は、最初は不思議な感覚でした。デビュー時はコロナ禍でライブがあまりできなかったので、リリースしたときの反応はSNSで受け取っていたんですよ。あとはYouTubeのMVにコメントしてくれたり、ファンの方がメッセージを送ってくださったりとか、「届いているんだな」と実感しました。



――同時にサブスクを通じて海外からのリアクションも大きいのも特徴的だなと。

RAKURA 言葉の通じない海外でも届いているというのは嬉しかったです。でもデビューする前から、なんとなく世界に向けて発信したいとか、世界を舞台に歌っていきたいというのはビジョンにあったので、デビューしてすぐそういうリアクションがあったのは感慨深かったですね。

――ちなみにリリースした楽曲には英語バージョンもリリースされていますが、英詞の曲なども普段から聴かれていたんですか?

RAKURA スマホを持ち出してからしっかり音楽を聴くようになったんですけど、そのときから洋楽をメインで聴いていたんです。私と同い年の女の子たちや頑張っている方々の映像を見たり、オーディション番組を見たりするのが好きで。そこで中学生のときに見たRUANNちゃんというシンガーソングライターの女の子がすごく好きになったんですよ。そこから彼女がカバーしている音楽を経由して洋楽に入っていきました。彼女も英語がペラペラで、小学生の頃からニューヨークに行ってライブをされていたので、それを真似して歌っていました。あとは「アメリカズ・ゴット・タレント」という海外のオーディション番組が好きで、そこからオリジナルを聴くようになっていきました。

――実際に楽曲を聴くと英語の発音や当て方も堪能だなと。

RAKURA 私のお母さんが帰国子女で、私が生まれた頃から日常に英会話があったんですよね。赤ちゃんの頃から英語を教えていて、それで成長していくと日本語を喋り始めて、英語を嫌がるようになっていったみたいです。今となってはそのとき嫌でも英語を教えてもらいたかったなと思っているんですけど(笑)、そのときの経験があったからこそ発音や英語の勉強で困ったことはないのかなと思っています。英語のテストはそこまで良いわけじゃなかったんですけどね(笑)。

初めての『コナン』、初めてのジャズ



――さて、このたびリリースされた1stアルバム『tint』ですが、これまでリリースされた音源も含めて、ジャンルが多彩な作りになっていますね。いわゆるアメリカのメインストリームの音楽がそうであるように、60’s的なソウルから80’s的ニューウェイビーなものまで、実にバラエティ豊かだなと。

RAKURA まず、元々ジャンルレスにやっていきたいという想いはあったんですけど、こういうふうに様々なジャンルに派生していくようになったのは私に原因があって。基本的に曲作りは、私が書く歌詞や言葉のイメージなどからプロデューサーのRa-Uさんと決めていくのですが、やっぱり曲によってサウンドも変わっていくんですよね。そのときにRa-Uさんとリファレンスにしている曲もたくさん聴くんですけど、そこで聴く曲も様々で。実際に歌い方もこのシンガーの方いいな、って聴いたときのイメージでその曲たちを捉えていますね。

――歌詞の断片やイメージ先行から作られていくというのは珍しいですね。

RAKURA 普段から日常的に思ったことや、悲しかったことや嬉しかったこと、学生時代の思い出とかを箇条書きに書き留めたり、自分の出来事から小説のようにして書いたり、そういうものをRa-Uさんに送っていて。自分の生活の中で思ったことを基にRa-Uさんが曲を生み出してくださるんです。

――そんななか、本作に収録されている「Shooting Star」は、ご自身初となるアニメタイアップ曲となりますが、しかもそれが『名探偵コナン』のスピンオフ作品「名探偵コナン ゼロの日常」という。

RAKURA 『コナン』のタイアップが決まったと知ったときは、本当に嬉しかったです!私の事務所の先輩方が数々の『コナン』の曲を担当されてきたので、私も歌うことができるのはすごく光栄だなと思いました。



――ビッグタイトルなだけに、周囲の反応も大きかったのでは?

RAKURA 家族ももちろん喜んでくれましたし、弟も『コナン』が好きで金曜ロードショーを録画して何回も観ていたので、それも思い出しちゃいましたね。あと、小学生の頃の友達で『コナン』の大ファンの子がいたんですよ。真っ先にその友達を思い出して……そうしたら情報が解禁されたときにその友達から連絡がきて、「すごくびっくりしたよー!おめでとう!」って言ってもらえたのは嬉しかったですね。

――また、そんな「Shooting Star」が、これもRAKURAさんにとって新しいアプローチであるビッグバンドという。ちなみに、今までジャズを歌ったことは?

RAKURA なかったです。これはアニメのタイアップだったので、Ra-Uさんが1から書いてくださったんですけど、この曲が初めての生演奏でのレコーディングだったんですよ。それも私にとって初めての経験で。この生のグルーヴに乗って歌うのが今までと違って難しいところでした。



――今までエレクトロニックなサウンド主体だっただけに意外でもありましたが、実際に歌ってみた印象としてはいかがでしたか?

RAKURA まず、本RECをする前のプリプロの段階で、全然歌わせてもらえなかったんです。いつもならすぐスタジオに入りレコーディングに入るんですけど、何時間もかけて夜までリズムトレーニングをして……ずっとクラップをしたり、指を鳴らしたり、机を叩いたりしてそのリズムを体に入れ込む練習を一日中していました。

――まずは生演奏のグルーヴに体を慣らすことからスタートしていると。

RAKURA そうなんですよ。その日の夜は少しだけ歌って終わりましたね。その後の本レコーディングのときはトラックも打ち込みだったのが生演奏に変わっていて、本レコーディングで初めて聴く、生の演奏の音源を使ってレコーディングしました。どれだけ練習しても打ち込みと生とは違うじゃないですか。だからまたそこもリズムを入れ込んでやって。プリプロの時点でリズムトレーニングをやっていたおかげでスムーズにレコーディングに入ることもできたし、難しかったところもあったけれど、いつもと違うノリで歌えたことが楽しかったですね。



――そうした流れを受けてのレコーディングはいかがでしたか?

RAKURA ジャズはやったことがなかったんですけど、本RECに入る前に楽器陣のレコーディングにもお邪魔して、皆さんの演奏を生で聴かせていただいていたんですよ。それだけでもすごく貴重な経験だと思うんですけど、そこで皆さんがどういうアプローチで音を鳴らしていたのか、ずっとRa-Uさんの指示も含めて聴いていたので、楽器が混ざったときにも1つ1つの楽器に意識して耳を向けることができたんです。MIXされる前の生の音を聴いて、私がレコーディングするときに意識したのはまずベースの音。ウッドベースだったんですけど、演奏された方が弦を弾くような音を8分で鳴らしていて、そこでドラムのライド(シンバル)の音がスウィングしているので意識してノるようにしましたね。あの曲は早く聴こえるんですけど、しっかり聴くとそんなに速くないんです。だから焦って急がないようにやろうっていうのはすごく注意しました。

――そうした新しい経験も含めたアルバムをリリースしたのちの今後について、やはり期待されるのはライブかと思いますが、RAKURAさんのライブへのイメージはいかがですか?

RAKURA 私のライブのイメージは、その場全員の空気感や一体感を持ちながら、みんなが声を出して、みんなが踊って……みたいなイメージなんです。でも今って声も出せなければ人数制限もあって、私のイメージするどんちゃん騒ぎの、曲に夢中で仕方ない、全身で楽しむライブって観たこともなければしたこともまだないんですね。今までデビューして何回かライブに出させていただいたんですが、もっともっと色んなところでお客さんが楽しめるライブがしたいなって思っています。音楽を聴くだけがライブではないので、本当に心から楽しんでほしいっていうライブが近いうちにできたらいいなって思いますし、そのときにはっちゃけられるように、ライブができない今はひたすらに色々な準備をしています。ぜひ『tint』をたくさん聴いて楽しんでください!

INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一

●リリース情報

RAKURA 1st アルバム

『tint』

発売中

【CD+カセットテープ】



価格:\5,000(税込)

品番:JBCZ-9130

<収録曲>

M1. Orange soda

M2. Teenage-Dream

M3. Unforgiven

M4. Runaway

M5. Jewel in the Crown

M6. Shooting Star

M7. Time will tell

M8. the song

M9. We Fallin’

M10. Shinjuku no Nekomae

M11. BIG FLEX

■付属特典/仕様:カセットテープ「tint」(11曲入り/38分)

16P歌詞ブックレット+28Pフォトブック

豪華スリーブケース仕様

RAKURA / Rainy。

「Shooting Star / Find the truth」

【ゼロの日常盤A】



価格:\2,000(税込)

品番:JBCZ-6119

<収録曲>

M1. Shooting Star

M2. Find the truth

■付属特典/仕様:「安室透」オリジナル描き下ろしジャケットA

「安室透」オリジナル描き下ろしアクリルスタンドA

【ゼロの日常盤B】



価格:\2,000(税込)

品番:JBCZ-6120

<収録曲>

M1. Find the truth

M2. Shooting Star

■付属特典/仕様:「安室透」オリジナル描き下ろしジャケットB

「安室透」オリジナル描き下ろしアクリルスタンドB

<Profile>

2003.1.26生まれ19歳。

2020.11月、17歳の時に「Unforgiven」でデビュー。“Music crosses all borders”を掲げ、ジャンルレスな楽曲をハイペースでDigital Releaseし続ける彼女のリスナーは、国内のみならず海外からもファンを多く獲得している。ストリーミングサービスの公式プレイリストでは楽曲が常にピックアップされ、ネクストブレイクアーティストの1人となっている。

関連リンク



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