金メダルの熱狂から4ヶ月後、ウルフ・アロンは銀座の肉割烹にいた。

世界一の男を包むのは、白い道着から黒いスーツへ。少し伸びた髪をアップにして、ワイルドな色気が漂う。

スタッフから「格好いい!」という声があがると、本人は「今日はぐっすり眠れそうです」とニヤリ。

そんなウルフさんをインタビューし、今日と1/13(木)の2回に渡ってお届けします!

【前編】
■ウルフさんが明かしてくれた、柔道ファンを増やすためにしていることとは?




「普段でも、ずっとしゃべっていられます」と、得意の会話術で撮影現場を盛り上げていた。それもこまめにボケを挟んでくれる。

スタッフ:お酒はよく飲みますか?

ウルフ:いや〜、まったく飲まないですね。飲んでもまあ10Lくらい。

スタッフ:次はバストアップの撮影です。

ウルフ:バストダウンでもいいですよ。

とにかく技が早い。「柔道選手は面白い人が多くて、一緒に生活していたら鍛えられました」という環境からの瞬発力か。

オリンピック後はそんなキャラがメディアにはまり、この日も撮影後にテレビ収録が2本入っていた。

活動は多岐にわたって、キリンビールのCMからサッカー中継の副音声、始球式、大食い番組まで何でも器用にこなす。アスリート屈指の人気者となっている。


柔道はまだまだファンが少ない。年内は普及活動のため、出られるだけメディアに出ていきます


年内はメディアに極力出ると決めた。

そして、年明けから柔道を本格始動。4月の全日本選抜体重別に向けて調整していく。

「いまのうちに柔道の広報活動を」と奮闘中。金メダルのフィーバーを体験しても、柔道の普及はまだまだと当事者として実感している。

「試合があっても観客が関係者や柔道経験者。サッカーや野球はそれをやってなくても観にくる人がたくさんいます。柔道はまだファンが少なくて、なぜなのか考えたんです。

やっぱりファンは、プレイはもちろん人を観に来る。野球でいえばこの選手が好きだからヤクルトを応援しようとなる…と思います。

じゃあ、どうしたらそういうファンを獲得できるか。柔道は試合だけじゃ足りない。金メダルを獲ってもメディアに何も出なかったら、オリンピックだけで終わりです。

結局、その後も観てくれる人がいないと、いくら僕が勝っても、そのスポーツの価値は上がらない。だから第一線で戦う選手がメディアに出るのは大事。

こういう人がいるなら一回試合を観に行きたいと思ってもらうことを目指しています」


モデル級にかっこいい、モノクログラビアは必見です!




柔道への興味に繋がるのなら、いくらでも出るし何を聞かれてもいい。

「柔道はどうしても堅い印象があるので選手も堅い性格に思われがち。そこを僕が壊したい。親しみある選手もいると感じてもらうためにはNGなし」

なお、強い、格好いい、面白いのなかで一番言われて嬉しい言葉を聞くと、「面白い、ですね。強いは既に強いので、言われなくても大丈夫」とのこと。ユーモアは意外や強さにも関わってくる。

「練習や試合は真面目ですけど、ずっとじゃ疲れるのでそれ以外の時間はふざけて笑う。

試合と試合の合間も会話するようにしています。オンとオフの切り替えが大事と思ったうえでのギャグ。すべて柔道に繋がっているんです」

その他の性格も試合に出るようで、「大雑把な人は隙が多かったりするし、やっぱり繊細な人が強いイメージはあります」と話す。

ならばウルフさんは繊細でもある。そういう見方もある柔道は、会場で観戦すれば楽しさは倍増。



努力を積み重ねて手にした金メダル

やっぱり、勝ってこそ。一番になって初めて、それまで歩んだ道のりに意味ができます


「人と人がぶつかり合う音も迫力ありますし、他のスポーツと違って一瞬の隙が命取りとなるので、かなり緊張感があります。会場ではそういった雰囲気を味わえるので、ぜひ足を運んで欲しいです」

そこで目にするのは、勝利を渇望する柔道家の姿だ。

「やっぱり、勝ってこそ。一番になって初めてそれまでの道のりに意味ができます。競技をするにはお金もかかっているので、勝つしかない。勝たないと誰にも見てもらえず、普及活動もできません。

そのために目標をしっかり設定する。近くの目標があってもっと先に夢があって、一個一個の目標をクリアすることで夢に近づき、最終的に夢も目標に変わる」

では、いまのウルフさんの目標とは?

「年内は柔道の広報をしっかり務めて、3年後のパリオリンピックに向かって進んでいくこと。

まずは来年4月の選手権でしっかりと結果を残す。目の前のことを一つひとつ、今まで通りにやっていければいいかなと思います」

ウルフ・アロンが築く柔道というエンターテインメントを、同じ時代に生きる私たちは追いかけていけるのだ。



【後編】 1/13に公開!
■ウルフ・アロンさんも唸った、銀座の肉割烹『肉屋田中』の魅力

■プロフィール
ウルフ・アロン 1996年生まれ、東京都出身。6歳で柔道を始める。2017年の世界選手権など100kg級での優勝歴多数。東京オリンピック柔道男子100kg級を制し、全日本選手権、世界選手権との3冠を成し遂げた。所属は了徳寺大学。得意技は大内刈り。魚を捌くのも得意。自身のYouTubeチャンネルでは焼肉動画も投稿

■衣装
時計 6,655,000円〈オーデマ ピゲ/オーデマ ピゲ ジャパン TEL:03-6830-0000〉、シューズ 53,900円〈ロトゥセ/リエート TEL:03-5413-5333〉、その他 スタイリスト私物

▶このほか:生田斗真が「仕事を頑張った日」に訪れる、とっておきの“ご褒美グルメ”とは?




東京カレンダー最新号では、ウルフ・アロンさんのインタビュー全文をお読みいただけます。
東カレに語ってくれた、金メダリストだからこそ出来た、嬉しい体験話とは?

アプリのダウンロードはこちらから。